障害年金とは、病気やケガによって生活や仕事が制限されるようになった場合に、年金を受け取れる制度です。
病気やケガで初めて医師等の診察を受けた時、国民年金に加入していれば「障害基礎年金」、厚生年金に加入していれば「障害厚生年金」が請求できます。
会社員や公務員等の場合は、両方に加入しているので、両方から年金を受けられます。
そして障害厚生年金の場合は、年金に該当する状態よりも軽い障害が残った時に受け取れる「障害手当金」があります。
この障害手当金について詳しくご紹介します。

目次
障害手当金とは
厚生年金に加入している間に、初めて医師等の診察を受けた病気やケガが、その初診日から5年以内に治り、障害年金3級に該当する障害より軽い障害が残った時に支給される一時金です。
障害手当金の額は、老齢厚生年金の計算で使用する報酬比例部分の年金額の2年分で2020年度の最低保障額は、117万2,600円です。
この金額は、3級の障害厚生年金最低保障額の2倍です。
厚生年金の年金額は、保険料の計算のもととなる平均標準報酬月額により計算をされるため、報酬比例と言われます。
高額のお給料をもらい加入期間が長ければ年金額も高くなり、反対にお給料が安くて加入期間が短ければ年金額は低くなります。
障害厚生年金や障害手当金も同じ計算方法のため人によって金額は異なります。
しかし、最低保障額が決められていますのでどのような働き方であっても厚生年金に加入していれば、この最低保障額が受給できます。
障害手当金の支給要件

次の全ての要件を満たした場合に、障害手当金が支給されます。
(1) 厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やケガの初診日があること
(2) 障害の状態が、次の条件全てに該当していること
・ 初診日から5年以内に治っていること(症状が固定)
・ 治った日に障害厚生年金を受けることができる状態よりも軽いこと
・ 障害等級に定める障害の状態であること
(3) 保険料の納付要件を満たしていること
納付要件とは、初診日の前日において、初診日がある月の2か月前までの被保険者期間で保険料納付済み期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること
参照:日本年金機構(pdf)
障害等級の程度の差を知っておこう
障害の程度は、上記の日本年金機構の「障害年金ガイド」に各等級別に基準が書かれています。
一般にどの程度かの目安は知っておくとよいと思います。
傷病手当金の程度について厚生年金保険法では、こう表現しています。
厚生年金の加入者が、労働者であることを考えると労働に制限があることは、納得できるでしょう。
ちなみに、障害年金3級の場合は、「労働に著しい制限があること」というように「著しい」という言葉がつけ加えられています。
このため年金の申請には、医師の診断書の記載の仕方が大いにポイントになり一般の人では難しいと言われています。
障害手当金をもらうと障害年金がもらえない
1度障害手当金をもらうと障害が重くなって、年金に該当する障害になった時に申請できないと言われています。
そのため障害手当金の申請は、慎重にすべきだとの意見もあります。
確かに障害手当金は症状が固定した障害に対して支給されるので、障害がその後重くなっても同じ障害であれば年金は申請できません。
しかし、障害手当金の支給決定時に「傷病が治った」ことの認定が誤りであったため、障害が重くなって年金に該当する場合や、別の障害を負った場合には、年金の申請は可能です。
このように障害手当金をもらっても、後から年金の申請ができるケースが細かい規程であります。
疑問に思われた場合は、日本年金機構に問い合わせることをお勧めします。

申請のポイント
申請は、ご自身で行いますが、障害年金よりも一般的に申請は簡単だと言われています。
ただし、注意してほしいポイントが2つあります。
1つ目は、「症状が固定」したかどうかを必ずしっかりと確認してください。
申請してもこの固定したかどうかの判断で認定されないケースも出ています。
ご自身の主治医と日本年金機構で申請の認定をする医師との捉え方に差があるからです。
2つ目は、申請は病気やケガが治ってから5年以内です。
期限が決められています。
治ってから障害が重くなるかもと申請を考えていると時期を逃してしまうかもしれません。
障害が年金や手当金に該当するのかどうか確認しましょう
障害手当金は、労働が制限を受ける程度の障害を負った場合に一時金で支給されるもので、障害年金と比べて軽い障害の方に支給されます。
病気やケガで障害を負ったからといって、仕事を辞めるわけにはいきません。
その場合は、その障害が年金や手当金に該当するのかどうか確認をしましょう。
年金や手当金をもらいながら働いている方は、案外多いです。
そこで、この程度で申請できるかどうか悩むのであれば、各地の年金事務所で障害の程度を話して、相談をしてみてはいかがでしょうか。
申請の仕方も教えてもらえます。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)