家計相談を受ける際によく聞かれるのが
というものです。
学生時代に年金を払っていないとどうなるのでしょうか。
また、これからどうしたらよいのかを解説していきます。

目次
学生時代に年金を支払いましたか
(2) 学生納付特例制度を使っていた(申請する必要があります)
A:大学、大学院、短大、高校、高専など国が定めた学校に通う学生が対象
B:本年度の所得が「118万円 + 扶養親族等の数 × 38万円 + 社会保険料控除額等」以下の方も対象
(3) 単純に未払い
(1) の場合は特に問題はありません。65歳から年間78万円を受け取ることができます。
(2) の場合には、追納したほうが老齢基礎年金を多く受けれます。
「学生納付特例制度」は「猶予」であり「お金のない学生時代の年金の支払いは待ってあげる」というわけです。
追納しないと65歳からの老齢基礎年金が減りますが、学生特例納付猶予期間は、遺族年金や障害年金を請求する時には、保険料納付済期間・免除期間と同様の扱いを受けるので、未納とは異なります。
(3) の場合には未納ですから、1年未納につき老後の受給額が2万円/年が減ります。
将来の年金が減るのは避けたい「追納」と「3つの敗者復活戦」
ここからは、未払い分を埋める方法を見ていきましょう。
未払い分を追納する
(2) と(3) の場合、後から未払い分を追納できます。
(2) の場合には「支払う猶予をください」と申請しているので10年間は待ってもらえます。
(3) の場合には猶予期間が2年しかありません。これを過ぎると時効によって納められなくなります。
また、追納すると加算額によって納付額が少し多くなります。
そしてこの加算額は、未納期間が長いほど高くなるので注意してください。
参照:日本年金機構
「こんな高額では払えない」と心配される方もいらっしゃいます。
安心してください。追納金は分割で納付できます。

追納期間も過ぎてしまったら「3つの敗者復活戦」
追納期間も過ぎてしまっても手立てはあります。
【手立て1】国民年金の任意加入制度を利用する
これは追納ではなく、その時の保険料を納めるという形です。
また、10年の保険料納付済み・免除・猶予期間がない場合には、65歳から70歳までの間も国民年金に任意加入できます。
【手立て2】厚生年金に加入して働く
60歳になっても退職せずに働く場合には、社会保険料を支払うことになります。
イメージとしては、
というものです。
また、10年の保険料納付済み・免除・猶予期間がない場合には、70歳以降も厚生年金に高齢任意加入できますので、事業主と相談してみましょう。
【手立て3】運用して自分で老後資金を作る
「iDeCo」や「つみたてNISA」などを利用して老後資金を自分で増やすこともできます。

国民年金を追納するメリットとデメリット
会社員の方は、年末に生命保険料控除の証明書を提出しています。
それと同じように、秋頃に届く証明書を会社に提出することで税金が安くなります。
「年金なんて、もらえるかわからないのに払うのは損ではないか」と心配される方もいらっしゃいます。
「受け取り開始の年齢が上がる」「受給額が減額になる」といった懸念はあるかと思いますが、まるごと年金を受け取れなくなるという可能性は低いと言えます。
老後資金のために確認する
学生特例納付制度は、あくまで「支払いを猶予してもらえる」制度です。自分がどうだったかを確認しましょう。
「払っていなかった」という方も諦めないでください。
追納という方法に加えて、3つの敗者復活戦があるので今からでも老後の資金を増やすことは不可能ではありません。
また、学生の方が国民年金保険料の支払いが厳しいときには、20歳の誕生月および毎年4月に学生特例納付制度の手続きを忘れないようにしてください。(執筆者:元証券ウーマン 成瀬 なぎさ 監修:拝野 洋子)