医療保険やがん保険はその名の通り入院や病気やがんになってしまった時のための保険です。
終身保険は、どのような時に必要でしょうか。
「いつ入院しても受け取れる保険?」
「ずっと続けられる保険だけど落とし穴もありそう…」
このような疑問について、3つのメリット・デメリットと活用方法を解説します。

目次
終身保険とは=一生涯続く死亡保険
結論から言うと、終身保険は一生涯続く死亡保険です。
何歳で死亡しても保険金が出るので、
と言い換えられます。
終身医療保険や終身がん保険など名称に「終身」が付く保険は他にもありますが、全くの別物です。
「終身がん保険」= 保険期間が終身の「がん保険」
終身保険は死亡保険です。
入院してもがんになっても保険金は出ません。
あくまでも死亡時に適用される保険ですのでご注意ください。
終身保険の3つのメリット
では、終身保険のメリットとは何でしょうか。
メリット1. 死亡保障が一生涯続く
終身保険のメリットの1つめは、何といっても死亡保障が一生涯続くということです。
いつ死亡しても遺族に保険金を確実に遺せます。終身保険に加入される方の最も多い目的がこの「絶対に遺せる」という点にあります。
これが終身保険最大のメリットです。
メリット2. 解約返戻金がある
2つめのメリットは、解約返戻金があること、すなわち掛け捨てではないということです。
解約時=解約返戻金 → 契約者が受け取る
受け取る人は違いますが、いずれにせよ無駄にはならないのも終身保険の特徴です。
解約返戻金の使い道は老後資金、教育資金などさまざまですが、死亡保障を確保しつつ積立できるので一定の人気があります。
メリット3. 税制面での優遇がある
3つめは、税制面での優遇があることです。
他の死亡保険とも共通していることとして
→ 一般保険料控除(医療保険や年金保険とは別の控除枠)
みなし相続財産
→ 死亡保険金を受け取る際に「500万円 × 法定相続人数」までは非課税
がありますが、終身保険の解約返戻金を受け取る際にかかる税金が「一時所得」だというのも大きなメリットです。
貯蓄型保険で最も有名な年金保険の場合には「雑所得」です。
詳しい言及はここでは避けますが、簡単にいうと「一時所得」のほうが税金が安くなるということです。
終身保険の3つのデメリット

ここからは、デメリットを見ていきましょう。
デメリット1. 掛け捨ての保険と比べると掛け金が高い
死亡保険は大きく2つに別れます。
「終身保険」= 一生涯続く死亡保障(解約返戻金あり)
この特徴を見ていただくと当然かもしれませんが、「終身保険」のほうが掛け金が高くなります。
「子供が小さい間のみ」など、保険金を確保しておきたい期間が定まっている場合には「定期保険」のほうが安く保障を確保できます。
デメリット2. 解約返戻金がプラスとなるのは掛け金の払込終了後
メリット部分で解約返戻金があることを解説しました。
解約してもお金が返ってくるので損はしないということです。
しかし、払い込み掛け金を解約返戻金が上回る(利息が付く)のは、基本的に払い込み終了後のことです。
掛け金の払い込みをしている間に解約するとほとんどの場合に元本割れします。
貯蓄目的で終身保険に加入される場合には、超長期での資金計画が必要になりますのでご注意ください。
デメリット3. 返戻率が下がり続けている
返戻率とは「払い込んだ掛け金に対してどのくらいの割合で解約返戻金が返ってくるか」を表したものです。
この「返戻率がどんどんと下がってきている=貯蓄効率が落ちている」というのが最近の特徴です。
かつては「30歳で終身保険に加入し、60歳まで払い込みをして、70歳まで据え置くと返戻率150%超え」などという保険もありました。
外貨建でうまく組んだ場合には200%超えもあったほどです。
40年間という長い期間ですが資産を確実に1.5倍以上にできたのでそれなりに有益でした。
ところが、今はその返戻率も右肩下がりです。
「長い期間のわりには増えない」という落とし穴が顕著に現れています。
終身保険の活用法
ここまでは終身保険のメリットとデメリットについて解説してきました。
では、この終身保険をどのように活用したらよいのでしょうか。
これから加入を検討される方は「お葬式代目的」これ一択です。
具体的にいうと
・ 子供が小さい間など大きな保障が必要な時期 → 収入保障保険などの定期保険で必要な分、必要な期間だけ上乗せ
という形で2階建で保障を確保するのが得策だと考えます。
実際に多くの保険代理店でこのような提案が行われています。
貯蓄と保険は分けて考える
返戻率の高かった頃は老後資金や教育資金の準備として終身保険を活用できましたが、今ではかなり非効率です。
「貯蓄は貯蓄、保険は保険」で分けて考えるべき時代だとご理解ください。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)