保険は非常に難しく、法律や携帯電話料金と同じで素人には分かりづらい文言がたくさんあります。
「結局どの保険に入ったら良いの」
「いろんな保険を勧められるけど私たちにはどの保険が必要なの?」
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
「保険相談をする前の心構え」をしているかしていないかで結果が大きく変わってきます。
保険外交員でも保険ショップでも保険契約の際に発生する手数料で収益を得ている点は同じです。
つまり保険の担当者はより多くの保険に加入してくれた方が喜ぶわけです。
不要な保険に加入しないためにもユーザー側でもできる対策を取っておきましょう。

目次
家庭に取って必要な保険を見極めるコツ
各家庭によって状況は違います。
配偶者や子どもの有無、会社員なのか自営業なのか、資産があるのかまだないのか、などさまざまです。
保険を選ぶ上で大切なポイントは人それぞれです。
素人目からすると実際にどの保険に加入すべきなのかわからないというのが本音の方も多いと思います。
家庭に取って必要な保険を見極めるために、まずは保険の本来の目的から整理していきましょう。
と考えると分かりやすいと思います。
あくまでも「経済的に困る事」に対しての対策です。
つまり経済的に困らない場合は保険に加入する必要がありません。
経済的に困るか困らないかの基準は「貯金が減る」とかではなく「借金しないと回らない」といった様などうしようもない状況のことを指すと考えてください。
約9万円の貯金があればその月の医療費は十分まかなえる
「起こってしまうと収支がマイナスになってしまうけれど貯金でまかなえる」といった事については保険で保障を確保しておく必要はありません。
起こる確率が低くて経済的にも困らない事に掛け金を払い続けるのは非合理的です。
貯金が全くない家庭は医療保険にも加入しておく必要があります。
緊急予備資金(半年分の生活費)が蓄えとして確保されている家庭については入院給付金などの医療保険は不要です。
入院して必要になる費用は収入によって上限が定められています。
高額療養費制度を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
平均年収の会社員であれば月8万100円が基準額となり、それを超える自己負担金はほとんどかかりません。
つまり1か月単位で見ると9万円の貯金があればその月の医療費は十分まかなえるという事です。

必要な保険を見極めるポイント
がんなどの大病についても同様です。
健康保険適用のガイドラインに沿った治療のみを希望する場合は大きな保険は不要です。
高額療養費が同様に使えます。
入院中の収入低下や退院後の必要費用など心配になることもあるかもしれません。
半年分の生活費の貯蓄があれば十分対応可能だとお考えください。
・ 貯金でまかなうことはできないのか
これが家庭に必要な保険を見極めるポイントです。
緊急予備資金が貯まっていない家庭は貯まるまで保険に加入する。
緊急予備資金が貯まった時点で対応可能な保険については解約する。
この流れで問題ありません。
私個人的にはがんになってしまった場合「あらゆる手を尽くしてでも治したい」という気持ちがありますので診断一時金がしっかり出るがん保険に加入しています。
しかし万人にとって必要かというとそうではありません。
最低限必要なのは「死亡保障」
これまで解説してきた通り緊急予備資金(半年分の生活費)があれば巷で勧められる様な保険のほとんどは不要です。
ですが緊急予備資金でも対応できないのが死亡時のリスクです。
「配偶者に十分な収入があるから大丈夫」と安易に考えないでください。
子どもが小さい家庭などは遺された1人で仕事、家事、育児をする事になります。
夫婦の時よりも仕事にさける時間は少なくなってしまいます。
配偶者に収入があったとしても子どもが独立するまでは死亡保障は必要だとお考えください。
死亡保障も不要な家庭はひと握り
死亡保障も不要な家庭は
・ 遺族年金だけで十分余裕を持って生活できる
・ 余りある資産があり収入が激減しても困らない
といった少数派です。
多くの方にとっては死亡保障は必要です。
医療保険やがん保険には加入しなかったとしても死亡保障については「不要という確信」が持てない限りは加入しておくことを強くおすすめします。
収入保障保険という掛け捨てタイプの死亡保障であれば30代男性でも月2,000円~3,000円程度で十分な保障を確保することが可能です。
必要となる死亡保険金額については過去に記事を書いておりますのでそちらを参照ください。
まず家族で話し合おう

家庭としての考え方をしっかりと持って相談しましょう。
冒頭にも書いた通り保険はとても難しいものです。
よくわからないから専門家に相談しようという人も多いと思います。
「わからないから相談する」ということ自体は全く問題ありません。
少なくとも「家庭としての考え」は事前に準備しておくべきです。
家庭の資産状況や家族構成、今後のライフイベントから時間をかければある程度は検討することが可能だと思います。
専門家はあらゆるトークスクリプトを用いてリスクを説明してきます。
何の考えも持たずに説明を聞くと不要であるはずの保険に加入してしまう事になりかねません。
「私たちはこう考えます」という意見があるのとないのとでは大きな違いがあります。
日々の仕事、日々の家事、日々の育児で手一杯な方がほとんどなのは経験上理解しております。
ですが、専門家側からするとここに時間がさけるかさけないかで変わります。
家庭にとって本当に必要な保険に加入するためにもしっかりと検討されることを強くおすすめします。(執筆者:FP歴10年 冨岡 光)