日本国内に居住している20歳以上60歳未満で厚生年金保険に加入していない方は、国民年金に加入する義務があります。
国民年金に加入するということは、国民年金保険料を納付しなければなりません。
しかし、20歳以上であっても大学生などの学生でまだ就職をしていない方は、国民年金保険料を払うのが大変です。
このような学生のために、国民年金には「学生納付特例制度」というものがあります。
今回は、この「学生納付特例制度」について詳しく解説していきます。
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目次
「学生納付特例制度」とは
日本に居住する20歳以上のすべての方は、国民年金の納付義務があります。
しかし、本人の所得が一定以下の学生については、在学中の保険料の納付が申請により猶予されます。
この国民年金の保険料の支払い猶予制度のことを国民年金の「学生納付特例制度」と言います。
「学生納付特例制度」の対象者
次の要件を満たしている方が対象です。
(1) 本人の所得が次の式以下であること
(2) 以下の学校に在籍する学生であること
大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校(修業年限が1年以上の課程)、一部の日本国内にある海外大学の日本分校(文部科学大臣が個別に指定した課程)に在学している方
「老齢基礎年金」の受給資格期間
「老齢基礎年金」の受給資格を満たすためには、原則として10年以上の保険料納付済期間が必要です。
しかし、「学生納付特例制度」の承認を受けた期間であれば、その期間に国民年金保険料を納付していなくても「老齢基礎年金」の受給資格期間に含まれます。
ただし、この期間は「老齢基礎年金」の受給額の計算式には含まれませんので注意が必要です。
「障害基礎年金」の受給資格
「障害基礎年金」を受給するには以下のいずれかの保険料納付要件が必要です。
・ 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
・ 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
しかし、「学生納付特例制度」の承認を受けている期間は、上記の保険料納付要件を満たしていなくても保険料納付済期間と同様の扱いになります。
10年以内であれば保険料を追納できる
このように、学生納付特例期間は受給資格期間には加算されますが、「老齢基礎年金」の受給額には反映されません。
国民年金保険料を払っていない学生納付特例期間については、10年以内であれば保険料を追納できます。
「老齢基礎年金」の保険料を増やすためにも追納することをおすすめします。
また、国民年金の「学生納付特例制度」を申請しないで国民年金保険料を払わなければ、保険料未納として受給資格期間に加算されませんので注意が必要です。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)