この春に社会人になったという方、お子さんがこの春から社会人になったという親御さんも多いと思います。
その方々を待ち受けているものの1つが保険の勧誘です。
多くの企業では、保険外交員が「職域活動」によって保険営業をしています。
保険会社にとっても、取ってきた契約でお給料が決まる保険外交員にとっても、職域活動は最も重要な活動と言ってもよく、高いお給料を貰っている保険外交員は職域活動で成功した人とさえ言えます。
それほど重要な職域活動ですから、保険外交員もかなり熱心で中にはしつこいくらいの外交員もいると思います。
そこで、ここでは職域活動で保険外交員に保険を勧められた場合に備えて保険加入の注意点などをまとめます。

目次
保険外交員の職域活動の流れ
コロナ禍において、リモートで仕事をする人が多くなっています。また、職域活動にもさまざまな制限が加えられていると思いますが、日常が戻った時に備えて職域活動の流れについて説明します。
1. お客さま情報の収集
保険設計に必要なのは年齢と性別です。性別は本人と接することで分かりますが、生年月日(と氏名)を知るためにいろいろな工夫がされています。
キャンペーン
その1つがキャンペーンです。
初めてキャンペーンの案内をされると、
と思うものですが、期間が3~4か月程度のキャンベーンは、1つが終わると次のキャンペーンが始まるといったように、実は年中やっているものなのです。
応募用紙には氏名、生年月日、住所、連絡先などを記入しなければなりませんので、これによって提案に必要な情報を得られる仕組みです。
豪華商品は抽選ですが、ほとんどのキャンペーンでは漏れなく受け取れる物があります。
情報は一度提供されればずっと管理されますので、情報収集としてのキャンペーンの役割は1回で終わりますが、新しいキャンペーンの案内や漏れなく受け取れる品物を渡すなどの積み重ねが、なじみを深めて信頼関係の構築につながっていくのです。
アンケート
今では「個人情報」いう考え方が定着してきて、氏名、生年月日、住所、連絡先などの提供に抵抗感を示す人が多くなっています。
また、キャンペーンが年中あることやキャンペーンが提案に必要な情報収集のツールになっていることが分かると、楽しんで、あるいは喜んで応募する人も少なくなってきます。
キャンペーンによる情報収集が難しい場合には、無記名のアンケートも使います。
アンケートを取りながらたわいのない会話を展開し、家族構成や年齢を聞き出したり予測して提案書作りにつなげるのです。
予測した年齢がずれていても、相手に具体的にイメージしていただくため、関心を持っていただくために、魅力的な保険をどの位の保険料で提供できるのかを伝えます。
2. 提案は松、竹、梅のセット

キャンペーなどで情報を得ると、保険外交員は必ず提案します。提案内容は、たとえて言えば松、竹、梅のセットだと思われます。
それぞれの特徴と意義はおおむね次の通りです。
梅ランクの保険
保険料がとにかく安いのが梅ランクです。この保険を見せることで、思ったよりも安い保険料で加入できるという印象を与えます。
同時に、
という安心感も与えられると考えます。
松ランクの保険
内容がとにかく良いのが松ランクです。
新商品や会社が売りにしている保険(特約)を十分すぎるほどの保障額で組み立てて、自社保険の良さをアピールします。
真剣に聞いているとどれも欲しくなる特約ばかりですが、保険料も高いので、
と相手も断りやすいです。
しかし、内容の良さはしっかりと伝わっているはずですし、断ったことで多少なりとも保険外交員に対する負い目という心理が働きます。
竹ランクの保険
前述の2つの良さを備えた、内容もそこそこ良くて保険料もそう高くはないのが竹ランクです。
保険料の安い梅ランクで感じた安心感と松ランクの保険の加入を断りながらも内容の良さは感じていたり、断ったことで負い目を感じた人が、竹ランクの保険に向かうのは無理のない話です。
提案するほうもそれを分かって松と梅のプランを設計するのです。最終的には竹ランクの保険に加入してもらえることが目標と言ってよいことでしょう。
内容を吟味する際の3つのポイント
しかし、竹ランクと言っても幅があります。
提案されるがままにその保険に加入するのではなく、内容を十分に吟味したうえであくまで自分で決めてください。
その際にチェックしなければならないのは次の3つのことです。
(1) 保険期間
安い保険だと思うと保険期間が短く、10年後には保険料が高くなる等の理由がありますので、要チェックです。
(2) 保障額
公的な保障もありますので、そう大きな保障は必要ありません。公的な保障を知ったうえで決めましょう。
(3) 保険料
無理のない金額で予算は明確にしておきましょう。
既に保険に加入している人が注意すべきこと

新社会人の中には既に保険に加入している人もいることでしょう。
今の保険は、マイナス金利の影響で保険料が高く貯蓄性は低くなっていますので、次の事に留意して、既に加入している保険を安易に解約や見直しはしないでください。
終身保険
バブル期の保険は、本当に「お宝保険」です。
その頃に生まれた人でも今は30才前後なので、該当する人は少ないかもしれません。
しかし、
といったメリットがあります。
仮に、保険外交員に「こんなに大きな保障はいらない」と言われても、決して解約や見直しをしてはいけません。
貯蓄性で言うなら、いずれ解約返戻金が支払った保険料を上回り、今のどのような貯蓄より大きく増えますので、老後の資金作りとしても有効です。
医療保険
医療保険についても、「今はもっと保障内容が良くなっている」と見直しや解約をすすめられることでしょう。
しかしながら、既に入っている医療保険は保障のわりに保険料が安いはずですので、解約しないことをおすすめします。
ただし、入院給付金が1日目から出ないのは著しく医療の現状と乖離していますので、このような場合には入院日額など保障を小さくして、それを補う形で医療の現状に合った保険に小さな保障で加入するのがよいと言えます。保険料との相談です。
仮にそれが難しい場合で終身保険とセットになっている保険なら、医療特約(こんな形態の保険の医療保障は特約)だけを解約して終身保険はそのまま残したうえで、新しい医療保険に加入しましょう。
保険に未加入の人が注意すべきこと
今は昔と違って保険も分かりやすくなっていますが、保険外交員もFPもさまざまな保険会社の保険を説明するためにはそれなりの準備を要します。
従って、一般の人がどのような質問をしても、恥ずかしがる必要はありません。納得のいくまで質問をして自分に合った保険にご加入ください。
この過程は、たまたま担当になった人が丁寧に付き合ってくれる頼れる保険のプロかどうかの試金石にもなると考えます。
自分が持っている「お宝保険」を見極めて、将来の万が一に備え自分にあった保険にムダなく加入してください。(執筆者:金澤 けい子)