日本の年金制度には多くの方が当てはまる制度として国民年金と厚生年金があります。
国民年金は学生やフリーターであっても国内に在住する限り「第1号被保険者」として強制加入となり、厚生年金は企業に就職して原則として週30時間以上働く場合は加入しなければなりません。
しかし、少子高齢化の時代にあって保険料は低額とは言えません。
国民年金には第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者という3つの種類があり、今回は第3号被保険者にフォーカスし、解説してまいります。
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目次
第3号被保険者とは
第3号帆保険者とは第2号保険者(会社員等)の被扶養配偶者となります。
例を挙げると会社員の夫に扶養される妻という構図です。
なお、年齢は20歳から60歳までの間であり、2020年4月から「原則国内居住要件」が設けられました。
この改正はこれまでの生計維持要件(被扶養配偶者の年収は130万円未満であること)に加えて日本国内に住所を要する(住民票がある)ことが追加されました。
例えばグローバル化の時代にあり、海外転勤も珍しくなく、夫の海外転勤に同行する妻については、「日本国内に生活の基礎がある」場合、国内居住要件の例外として、第3号被保険者の要件を満たすことができるようになっています。
年金額は減らないのか
第3号被保険者の保険料については第2号被保険者が負担する保険料等から負担されることから第3号保険者として単独で負担する必要はありません。
また、第3号被保険者期間は、国民年金から支給される老齢基礎年金の年金額に保険料を適正に納めた期間と同様に反映されることから不利益となることはありません。
しかし、当然、年金制度の2階部分とされる厚生年金から支給される老齢厚生年金には反映されません。
第3号被保険者の年齢要件
第3号被保険者の年齢要件は20歳以上60歳未満です。
特に認識が抜け落ちがちな部分として第2号被保険者である年上の夫が定年退職により第2号被保険者でなくなった場合、その後も継続して第3号被保険者であり続けることはできなくなります。
よって、第3号被保険者であった妻は第1号被保険者に種別変更する必要があります。
また、第2号被保険者の年齢要件は「原則65歳」です。
原則とは65歳を契機に老齢を支給事由とする年金の受給権がある場合、その後も会社に残り、厚生年金の被保険者であり続けたとしても国民年金第2号被保険者の資格は喪失します。
よって、妻は第3号被保険者から第1号被保険者に種別変更しなければなりません。
5歳以上年の離れたご夫婦の場合は頭に入れておいて損はない部分です。
第1号被保険者が活用できる保険料納付が困難な場合の選択肢
【免除制度】
詳細は下記記事をご覧ください。
【納付猶予制度】
免除制度との相違点として年金額には一切反映されません(免除制度は免除の割合によって年金額への反映割合が異なる)。
端的には2016年7月以降は「50歳未満」の方が対象であり、一定の収入要件を満たした場合に納付猶予制度の対象となります。(収入要件の対象者は本人と配偶者)
【厚生年金における免除制度】
厚生年金で整備される免除制度は大きく分けて次の2つの制度です。
いずれも出産育児に特化した制度であり、疾病等により労務の提供が困難となった場合に法律上の免除制度はありません。
第3号被保険者であっても活用できる年金増額のための選択肢
【iDeCo】
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2017年1月からiDeCo(個人型確定拠出年金)は原則として全ての被保険者が加入することが可能となりました。
しかし、被保険者の区分ごとに保険料の上限額が定められています。
iDeCoに関しては下記記事をご覧ください。
各自確認しておきましょう
第3号被保険者は国民年金のみに設けられた制度であり、厚生年金にはない制度です。
そもそも厚生年金への加入は会社に属することと(アルバイトなどの場合は)原則週30時間以上の労働契約の締結が必要です。
また、大企業の場合は週20時間以上の労働契約の締結等の要件を満たす場合であっても加入義務が生じます。
社会保険の適用拡大については下記議事をご覧ください。
国民年金の保険料は毎月(年によって変動はあるものの)月額約1万7,000円となること、また、第3号被保険者は男性であっても対象となる(例えば退職後に独立し一定期間、妻の扶養に入る場合)ことからおさえておきたい内容です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)