銀行の預金に預けているだけではなかなかお金を増やすことはできない昨今、投資未経験者の間でも投資ニーズが高まってきています。
しかし、いざ投資を始めるとなると、何から手をつければいいのか分からないという人も少なくないでしょう。
「とりあえず…」と、いきなり口座開設をして投資先を決定する人もいますが、それまでの事前準備も大切です。
土台作りをしっかりしておくことで、成功率も変わると考えます。
今回は投資を始めたいと考えている人に向けて、事前準備しておきたい4つのポイントについてご紹介します。

目次
事前準備1:目的を明確にする
投資を始めるにあたって目的を明確にしておくことは大切です。
「50歳までに資金を作ってセミリタイアをしたい」
「子どもの教育資金を貯めたい」
など将来に備えた資産形成を見据えている人がいる一方で、
「社会の動向を知りたい」
と投資への興味から始める人もいるでしょう。
将来に備えて投資を始めたいと考えている人にとっては、リスクをとって大きな利益を得るよりも、少額で始められて長期的、安定的な投資商品のほうがおすすめです。
目的をもとにいつまでにどれぐらい増やしたいのか分かれば求めるリターン率も計算でき、これまでの運用実績を参考に商品もある程度絞ることができます。
投資の勉強を目的にしているのであれば、少額に分けてタイプの異なる投資商品を分散保有するほうがよいでしょう。
そうなれば、幅広く投資知識を得られるうえ、どれかの商品で失敗をしても他商品でカバーすることも可能です。
このように、投資をする前に目的をはっきりとさせておけば、商品選定のある程度の方向性が見定められ、コロナショックような相場急落時に遭遇した際にも「こんなはずじゃなかった」となるリスクが幾分か減らせると考えられます。
事前準備2:3か月~1年程度の生活防衛費を貯める
投資は元本割れリスクのある商品です。
万が一の際でも投資を続けられるよう、「生活防衛資金」を貯めておくことも大切です。
生活防衛資金とは、投資家の間では聞きなれた言葉であり、簡単に説明すると「いざというときに備えるお金」と言われています。
この度のコロナショックでは、生活が立ち行かなくなり保有している投資商品を解約せざる負えない状況となった人も少なくありませんでした。
含み損を出したまま解約となってしまった人もいたことでしょう。
商品にもよりますが、投資は基本的に長期保有を前提としたものが多いです。
長期で保有するなかで突然の不測の事態が起こった際にも投資資金に頼らないで生活できるよう想定して、生活資金は最低でも3か月~1年程度は貯めておけると安心です。
現在、手元に十分な生活防衛資金がないという場合は、家計の体力づくりのためまずは数か月分の生活防衛資金が貯められるよう目指して家計の現状把握から努めてみてください。
事前準備3:投資について基本を学ぶ
投資を始める前に、ある程度知識を深めておくことも大切です。
何も知らないままに開始してしまっては危険です。
銀行や証券会社の窓口にて説明を受けられますが、売れ筋の商品や銀行や支店にとって都合のいいおすすめ商品を薦められてしまう可能性も否めません。
ある程度自身でも考えを持てるよう、知識をつけて始めるように努めてください。
資産運用にはどんな種類のものがあるのか、それぞれリスクはどれぐらいあるのかなどはしっかりと調べておくようにしましょう。
また、運用利回りについて理解しておくことも重要です。
運用利回りでは
で計算できます。
「〇年で〇%も増えた」と理解できれば、このままうまくいけば何年後にいくら貯まるとシミュレーションも可能となり、モチベーションにもつながります。
長期で投資するためには、モチベーションも欠かせません。
将来の具体的なイメージが持てるよう、ある程度自身でも学ぶ姿勢を大切にしましょう。
事前準備4:アプリ活用で投資状況を把握
家計の収支を把握するのに便利な家計簿アプリですが、近頃は証券口座と連携できるアプリもたくさん出てきています。
事前にダウンロードしておけば日々の家計管理にも使えるだけでなく、運用商品の評価損益も確認できて一括管理できるため、初心者にありがちな運用したまましばらく存在を忘れてくそのまま放置、なんてこともありません。
アプリは有料のものもありますが無料のものもあるため、まずはお試しで使ってみたいという人は無料アプリから始めることもできます。
十分な土台作りが成功へのカギ
「まわりのみんながやっているから」と投資に手を出す人も少なくありませんが、投資は自己責任です。
何となくで始めてしまうと、この度のコロナショックのような相場下落時に遭遇したときに痛い目に合うことになるかもしれません。
今回紹介した4つのステップは、基本的なことですがきちんとこれを実践するとしないでは長期的な目線で見たとき、成功率が大きく変わって来る可能性も考えられます。
「分からないからとりあえず始めてみよう」となる気持ちも理解できますが、リスクを下げたいのであればまずはしっかり土台を固める準備から始めましょう。(執筆者:元銀行員 吉村 みき子)