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【わかりやすく解説】高額介護合算療養費制度とは 

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【わかりやすく解説】高額介護合算療養費制度とは 

高齢になると医療保険と介護保険のどちらも利用することが多くなります。

医療保険と介護保険を利用することで医療費や介護費用は、13割の自己負担で済みます。

しかし、1回ごとの自己負担は少額だとしても、長期にわたって利用し続ければ、金額は高額となっていきます。

それを軽減する仕組みが、高額介護合算療養費制度です。

申請が年度の途中で行われ、制度がわかりにくいということで、利用していない方も多いのではないでしょうか。

そこで、この制度をわかりやすく解説いたします。

高額介護合算療養費制度

高額介護合算療養費制度とは

同一世帯における医療保険と介護保険の自己負担額が1年間(毎年81日から翌年731日)に自己負担上限額を超えた場合に、申請をすることにより超えた金額が「高額介護合算療養費」として支給される制度です。

基準日(731日)時点で加入している医療保険(国民健康保険、後期高齢者医療、被用者保険等〈協会けんぽ、会社の健康保険組合等〉)に申請をします。

自己負担上限額

自己負担の上限額は、被保険者の年収、年齢に応じて設定されています。

対象者の区分と負担上限額の内訳は、次のとおりです。

区分負担の上限額
70歳未満70歳以上74
年収1,160万円以上212万円212万円
年収770万円以上1,160万円未満141万円141万円
年収370万円以上770万円未満67万円67万円
年収165万円以上370万円未満60万円56万円
住民税非課税世帯34万円31万円
住民税非課税世帯(一定額以下)19万円

【計算例1】

70歳未満で年収165万円以上370万円万円未満

夫(68歳)世帯主 自己負担額 医療費:25万円 介護費:20万円

妻(67歳)    自己負担額 医療費:15万円 介護費:5万円

(1) 世帯の自己負担合計額  医療費:40万円  介護費:25万円  合計65万円

(2) 自己負担上限額  60万円

(3) 高額介護合算療養費 65万円−60万円=5万円  5万円が支給されます

【計算例2】

70歳以上74歳で年収165万円以上370万円未満

夫(74歳)世帯主 自己負担額 医療費:30万円  介護費:30万円

妻(72歳)    自己負担額 医療費:15万円  介護費:12万円

(1) 世帯の自己負担合計額  医療費:45万円  介護費:42万円  合計87万円

(2) 自己負担限度額  56万円

(3) 高額介護合算療養費 87万円−56万円=31万円  31万円が支給されます

上記のケースで妻が70歳未満の場合は、まず夫に70歳~74歳の自己負担上限額を適用し、その後妻に70歳未満の上限額を適用します。

夫(73歳)世帯主 自己負担額 医療費:30万円  介護費:30万円

妻(68歳)    自己負担額 医療費:15万円  介護費:12万円

(1) 夫の自己負担上限額  60万円−56万円=4万円

(2) 夫の残りの自己負担額と妻の自己負担額を合算して

56万円+27万円=83万円

(3) 70歳未満の自己負担上限額を適用

83万円−60万円=23万円

(4) 高額介護合算療養費  4万円+23万円=27万円  27万円が支給されます

【計算例3】

計算例2で夫が75歳になった場合で年収165万円以上370万円未満

夫(75歳)世帯主 自己負担額 医療費:10万円  介護費:30万円

妻(72歳)    自己負担額 医療費:15万円  介護費:12万円

夫は後期高齢者医療となり、妻は国民健康保険で医療保険が異なり合算することはできません。

高額介護合算療養費は、夫と妻別々に計算することになります

この場合は、どちらとも自己負担額が上限額を超えていないので対象となりません。

後期高齢者医療の場合は自己負担分の医療費が安くなるケースが多いので、高額介護合算療養費の対象とならないケースが多々あります。

高額介護合算療養費の対象となる費用ならない費用

医療費と介護費のうち、実際に支払ったにも関わらず対象となる費用とならない費用があります。

・ 介護費における食費、差額ベッド代、滞在費、住宅改修費、福祉用具の購入費とレンタル料金は費用となりません。

・ 医療費における差額ベッド代、高度先進医療、予防注射、食事代、保険適用外の手術代は費用となりません。

・ 医療保険の高額療養費を受給している場合は、それを控除した金額となります。

・ 介護保険の高額介護サービス費を受給している場合は、それを控除した金額となります。

70歳以上の方は、実際に支払った自己負担額が対象となりますが、70歳未満の方は、医療機関ごとに1か月2万1,000円以上のもののみが対象となります。

申請手続き

国民健康保険および後期高齢者医療に加入している方は、市区町村にて申請をします。

協会けんぽや会社等の被用者保険等に加入している方で介護保険の自己負担額がある場合は、市区町村で介護保険の「自己負担額証明書」をもらいます。

この証明書を被用者保険等に提出して申請をします。

申請に必要なものとしては、健康保険証、介護保険証、通帳等の振込先口座番号がわかるもの(原則は世帯主の口座)です。

医療及び介護費用の支払った領収書は必要ありません

市区町村によっては、印鑑、マイナカード、本人確認書類等が必要なケースがありますので、事前に確認をしておくとよいでしょう。

また市区町村によっては、高額介護合算療養費制度の対象となる可能性の高い世帯に対して、勧奨通知を発送しています。

しかし、お知らせのない市区町村も多いので、制度の対象となるかもしれないと思ったら、市区町村の担当窓口に問い合わせをしてください。

忘れても2年間は申請できます

高額介護合算療養費制度は、高額になりがちな医療費と介護費の負担を軽減できる便利な制度です。

申請が年度の途中なので、忘れがちな方が多いのですが、忘れても2年間は申請できますので、「申請を忘れた!」「お金がもどってくるのかわからない!」場合は、市区町村に問い合わせることをお勧めします。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)

《菅田 芳恵》
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執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵 菅田 芳恵

グッドライフ設計塾 代表。大学卒業後、証券会社、銀行、生保、コンサルティング会社勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立開業。その後さらに6つの資格を取得。現在、13の資格に裏打ちされた様々な知識を活かして、企業コンサルティング、研修講演講師、コラム執筆、労働トラブルや資産運用の相談対応、キャリアカウンセリング、心の健康に関するカウンセリング等幅広く活動。 <保有資格>:特定社会保険労務士、1級FP技能士、CFP、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ハラスメント防止コンサルタント、医療労務コンサルタント、知的財産管理技能士等 寄稿者にメッセージを送る

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