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国民年金の保険料は2023年度に減額でも、2024年度は過去最高額になる 対策を紹介

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国民年金の保険料は2023年度に減額でも、2024年度は過去最高額になる 対策を紹介

公的年金(国民年金、厚生年金保険)は原則として、これらの加入者が納付した保険料を、その時点の高齢者などに年金として支給する、賦課方式で運営されています。

つまり納付した保険料をどこかに積立し、それを将来に自分が受給する積立方式ではないのです。

賦課方式の問題としては、公的年金の加入者が減って、年金を受給する高齢者などが増えると、財源不足に直面するため、保険料を増額しないといけない点です。

近年の日本はそのような状況が続いてきたので、公的年金の加入者の負担が重くなっていたのです。

そこで公的年金の加入者が納付する保険料に上限を設定し、この上限で賄える範囲内に年金の給付水準を自動的に調整する保険料水準固定方式が導入されました。

これにより財源不足を解消するための主な手段は、公的年金の保険料の増額から、年金の給付水準の抑制に変わったのです。

また所定の上限に達するまで、国民年金は毎年 4 月に280円ずつ、厚生年金保険は毎年9月に0.354%ずつ、それぞれの保険料を増額すると決めたのです。

国民年金の保険料の増額は2004年4 月から始まり、2017年4月に完了しました。

ただ産前産後期間の免除制度が2019年4月に導入され、この財源のために月100円ほど保険料が増額されたので、国民年金の保険料の増額が止まったのは2019年度からです。

2024年度は保険料過去最高額の見込み

2024年度の国民年金の保険料は過去最高額になる

産前産後期間の免除制度が導入された後の国民年金の保険料は、次のように推移しています。

・ 2019年4月~2020年3月(2019年度):月1万6,410円

・ 2020年4月~2021年3月(2020年度):月1万6,540円

・ 2021年4月~2022年3月(2021年度):月1万6,610円

・ 2022年4月~2023年3月(2022年度):月1万6,590円

保険料の増額が止まったため、もう変動しないはずなのに、新年度が始まる4月になると少しだけ、増額または減額されているのです。

この理由としては物価や賃金の変動に合わせて、保険料の金額を毎年度改定しているからです。

2023年1月に厚生労働省から、2024年度の国民年金の保険料が発表されました。

昨年の同時期に発表された、2023年度の国民年金の保険料は、2022年度より70円ほど少ない月1万6,520円でした。

一方で2024年度の国民年金の保険料は、物価や賃金の変動により、2023年度より460円も多い月1万6,980円になるようです。

この金額は1961年4月に、国民年金の保険料の徴収が始まってからの約60年の歴史の中で、過去最高額になるのです。

また大幅な物価上昇と、それに対応するための賃金上昇が続いているため、2025年度も過去最高を更新する可能性があるのです。

そのため負担増を抑えるための対策を各人が考え、実施する必要があると思います。

国民年金の保険料が安くなる前納制度

2023年度に納付する国民年金の保険料は、上記のように月1万6,520円になります。

この保険料を所定の期間分だけ前納すると、次のような金額の割引が適用されるのです。

年金の前納制度を活用しよう

6か月分を前納する場合

・ 現金納付:9万8,310円(毎月納付よりも810円の割引)

・ 口座振替:9万7,990円(毎月納付よりも1,130円の割引)

1年分を前納する場合

・ 現金納付:19万4,720円(毎月納付よりも3,520円の割引)

・ 口座振替:19万4,090円(毎月納付よりも4,150円の割引)

2年分を前納する場合

・ 現金納付:38万7,170円(毎月納付よりも1万4,830円の割引)

・ 口座振替:38万5,900円(毎月納付よりも1万6,100円の割引)

これを見るとわかるように、口座振替で保険料を前納すると、現金納付の前納より保険料が安くなります。

また6か月分(4~9月)、1年分、2年分の保険料を、口座振替で前納したい場合、新年度が始まって保険料の金額が変わる直前の2月末が、申込みの期限になります。

そうなると2024年2月末までに手続きを済ませ、できるだけ長期間の保険料を前納すると、2024年度以降の負担増を抑えられるのです。

もし前納するほどの資金がない場合には、口座振替による毎月納付で月50円ほど保険料が安くなる早割を、利用した方が良いと思います。

またクレジットカードで前納した時の割引額は、現金前納と同じになりますが、国民年金の保険料の納付をポイント還元の対象にしている場合、その分だけお得になるのです。

一部免除を受ければ前納よりも保険料が安くなる

前納による割引よりも、国民年金の保険料を安くできる制度があり、それは一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)になります。

例えば2023年度の場合、月1万6,520円という国民年金の保険料は、次のような金額まで安くなるのです。

・ 4分の3免除:月4,130円

・ 半額免除:月8,260円

・ 4分の1免除:月1万2,390円

これらの一部免除を受けるには、所定の申請が必要になると共に、収入(所得)の要件を満たす必要があります。

例えば会社員などの給与所得者の場合、「国民年金保険料の免除申請について」によると、前年の年収が次のような金額以下なら、4分の1免除を受けられる可能性があるのです。

・ 単身世帯:296万円

・ 2人世帯(夫婦のみ):376万円

・ 4人世帯(夫婦と16歳未満の子供が2名):486万円

日本人の平均年収は400万円程度なので、申請すれば4分の1免除を受けられる方は、意外に多いのではないかと思います。

一部免除を受けた期間は、原則65歳になると国民年金から支給される老齢基礎年金に対して、次のような割合で反映されます。

・ 4分の3免除:1か月分の保険料を納付した場合の「8分の5」

・ 半額免除:1か月分の保険料を納付した場合の「8分の6」

・ 4分の1免除:1か月分の保険料を納付した場合の「8分の7」

このように例えば半額免除を受けて、保険料を半分しか納付しなかった場合でも、その期間の老齢基礎年金は半分にならないのです。

その理由として老齢基礎年金の財源の2分の1は、消費税などの税金を元にした、国庫負担になっているからです。

マイナンバーカードでスムーズな年金手続きを

なおマイナンバーカードを保有している方は、マイナポータルにログインすると、全額免除や一部免除の電子申請ができます。

これにより市役所や年金事務所まで足を運ぶ必要がなく、かつ書類を郵送する必要もないので、従来よりも簡単に申請ができると思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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