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外国人労働者の日本での年金制度 いつから加入? 脱退一時金とは?

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外国人労働者の日本での年金制度 いつから加入? 脱退一時金とは?

日本ではコンビニエンスストア等の小売業等を中心に外国人労働者が増えている状況です。

年金制度に着目すると、外国人と日本人との相違点として、外国人のほうが日本の年金制度に加入できる期間の少なさが挙げられます。

今回は外国人労働者の日本での年金制度について解説します。

外国人労働者の年金

日本の年金制度には加入しなければならないのか またいつから加入するのか?

平成24(2012)年7月9日から外国人登録制度が廃止され、外国人の住民にも日本人と同様に住民基本台帳法が適用されることとなりました。

よって、観光ビザ等で短期滞在の場合等を除き、適法に在留する外国人であり、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の外国人は国民年金第1号被保険者となります。

この場合の国民年金第1号被保険者としての資格取得年月日は原則として外国人住民となった日となります。

ただし、厚生年金に加入していた外国人が退職により、厚生年金(国民年金第2号被保険者)の資格を喪失する場合は、国民年金第2号被保険者でなくなった日が種別変更年月日となります(第3号被保険者から種別変更して第1号被保険者となる場合も同様)。

他方、国民年金第1号被保険者の外国人が出国により日本国内に住所を有しなくなった場合は出国の日の翌日に資格を喪失することとなります。

在留資格を取り消されたことによって、市区町村により外国人の住民票を消除した場合の資格喪失年月日は消除事由該当年月日の翌日となります。

注意点として、住民基本台帳に記録されない短期滞在者等の場合であっても、日本国内に住所を有することが明らかな場合は、国民年金法の対象となります。

脱退一時金とは

外国人の場合、日本の年金制度から年金を受給するには10年以上保険料を払うこと、障害年金の支給要件を満たす程度の障害を有するようになること等の極めて限定的なケースでなければ、保険料を納めたとしても受給に結びつかないという問題があります。

国によっては社会保障協定を締結していますが、社会保障協定には次の2つのメリットがあります。


・保険料の二重負担の防止

・年金受給に必要となる加入期間の通算


社会保障協定の対象となる国は、現在、20数か国であります。

制度上、5年未満の滞在であれば母国の年金のみに加入となりますので、そこまで大きな問題にはなりません。

他方、5年以上の滞在となれば滞在国の年金制度に加入することなり、保険料納付が年金受給に結びつかない問題が浮上します。

そこで、脱退一時金制度があり、日本国籍を有しないかたが、日本の年金制度に6か月以上加入しており、老後の年金受給資格(10年)を満たしておらず、障害年金の受給権を有したことがなければ申請できる制度です。

また、日本国内に住所を有しないことが前提であることから出国を前提とした転居等の手続後に申請しなければならず、資格喪失日から2年以内が期限となります。

脱退一時金は、端的には納付した保険料の一定額が一時金として戻ってくるということですが、注意点があります。

脱退一時金を受給すると、当然、既に年金ではないにせよ金銭を受領していることから、脱退一時金の請求前のすべての期間が年金加入期間ではなくなります。

よって、脱退一時金を請求場合には、将来的に日本の老齢年金を受け取る可能性はないのかを十分に検討する必要があります。

脱退一時金の額は、3年が上限でしたが現在は法改正によって5年が上限になりました。

また、社会保障協定は国によっても協定内容が異なり、事前の確認が極めて重要です。

特に脱退一時金を受け取った場合の取り扱いは、理論上、将来的なデメリットに繋がる部分も想定されますので十分な検討が求められます。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

《蓑田 真吾》
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執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾 蓑田 真吾

社会保険労務士 独立後は年金などの社会保険制度、人事労務管理に関する講演活動を行い、また、労務トラブルが起こる前の事前予防対策に特化。現在は有効的な社会保険制度の活用、様々な労務管理手法を積極的に取り入れ、企業をサポートしています。 【他保有資格】2級ファイナンシャル・プランニング技能士、労働法務士 等 寄稿者にメッセージを送る

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