農林水産省が東京都中央卸売市場に出荷される野菜の生育状況及び価格見通し(令和5年11月)について、主産地等からの聞き取りを行い、その結果について発表しました。
聞き取りを行った、14品目の野菜の11月の価格については
11月後半には多くの品目が平年並みの価格に落ちつく見込みです。
参照:農林水産省
※平年並みとは、平年(過去5か年平均)との比率が90%以上、110%以下である。
※14品目の野菜:大根、にんじん、白菜、キャベツ、ほうれん草、ねぎ、レタス、きゅうり、なす、トマト、ピーマン、ばれいしょ、さといも、玉ねぎ
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11月の14品目の野菜価格のそれぞれの見通し
それぞれの野菜価格の見通しについて見ていきます。
11月の大根の見通しは?
千葉(66%)
神奈川(19%)
北海道産・青森県産の出荷が減少し、千葉県産・神奈川県産中心の出荷へと切り変わります。
千葉県産の生育は順調である一方で、神奈川県産は9月中旬以降の干ばつの影響によりは種が遅れ、生育が遅延傾向。11月前半までは出荷数量は平年を下回る見込みです。
青森県産の出荷数量の減少も早く、全体として11月前半の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移。
11月後半は出荷数量・価格ともに平年並みで推移する見込みです。
11月にんじんの見通しは?
千葉(56%)
北海道(26%)
北海道産中心の出荷から、千葉県産中心の出荷へと切り替わります。
千葉県産の生育は順調。北海道産は8月から9月にかけての高温等の影響により残量が少なく、出荷数量は平年を下回る見込みです。
全体として、11月の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込みです。
11月の白菜の見通しは?
茨城(87%)
長野県産の出荷が減少し、茨城県産中心の出荷へと切り替わります。
茨城県産は9月の高温の影響によりは種が遅れ、生育が遅延傾向。
11月前半までは出荷数量は平年を下回る見込みですが、11月前半の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移することが見込まれます。
また、11月後半は出荷数量・価格ともに平年並みとなる見込みです。
11月のキャベツの見通しは?
千葉(48%)
茨城(23%)
愛知(16%)
群馬県産の出荷が減少し、千葉県産・茨城県産中心の出荷へと切り替わります。
茨城県産は9月の高温の影響によりは種が遅れ、生育が遅延傾向であるため、11月前半までは出荷数量は平年を下回る見込みです。
他主産地の生育は順調で、全体としては11月前半の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込み。
また、11月後半は出荷数量・価格ともに平年並みとなる見込みです。
11月のほうれん草の見通しは?
群馬(45%)
茨城(29%)
茨城(10%)
主産県において生育は順調であり、11月の出荷数量・価格は平年並みで推移する見込です。
11月のねぎの見通しは?
秋田(15%)
茨城(15%)
千葉(12%)
北海道産・青森県産の出荷が減少し、茨城県産・千葉県産の出荷が増加します。
主産地において、8月から9月にかけての高温や干ばつの影響により生育の遅延や細物傾向が見られるため、出荷数量は平年を下回って推移する見込み。
全体として、11月の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込みです。
11月のレタスの見通しは?
茨城(58%)
長崎(9%)
長野県産の出荷が減少し、茨城県産中心の出荷へ切り替わります。
茨城県産の生育は順調。
長崎県産は9月以降の干ばつの影響により、生育が遅延傾向にあるものの、大幅な出荷数量の減少は見込まれません。
全体として、11月の出荷数量・価格は平年並みで推移する見込みです。
11月のきゅうりの見通しは?
群馬(25%)
埼玉(24%)
宮崎(22%)
福島県産の出荷が減少し、群馬県産・埼玉県産に加えて、宮崎県産の出荷が増加します。
主産県において生育は順調であり、11月の出荷数量・価格は平年並みで推移する見込みです。
11月のなすの見通しは?
高知(56%)
福岡(15%)
群馬県産・栃木県産の出荷量が減少し、高知県産・福岡県産中心の出荷に切り替わります。
主産県において生育は順調であり、11月の出荷数量・価格は平年並みで推移する見込みです。
11月のトマトの見通しは?
熊本(34%)
千葉(16%)
愛知(13%)
北海道産・福島県産の出荷が減少し、熊本県産・千葉県産・愛知県産中心の出荷に切り替わります。
8月から9月にかけての高温等の影響により、千葉県産は小玉傾向に加えて前倒しの出荷となっており、愛知県産は歩留まりの低下が見られ、11月の出荷数量は平年を下回って推移する見込みです。
一方、熊本県産の生育は順調であり、11月中旬以降出荷が増加する見込み。
全体として、11月前半の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込みです。
また、11月後半は出荷数量・価格ともに平年並みとなる見込みです。
11月のピーマンの見通しは?
茨城(46%)
宮崎(20%)
高知(12%)
茨城県産に加え、宮崎県産・高知県産の出荷が増加します。
茨城県産は、8月から9月にかけての高温の影響による樹勢の低下に加え、10月上中旬の低温により生育が遅延傾向にあり、11月前半までは出荷数量は平年を下回る見込みです。
他主産地の生育は順調。
全体として、11月前半の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込み。11月後半は出荷数量・価格ともに平年並みとなる見込みです。
11月のばれいしょの見通しは?
北海道(99%)
茨城県産に加え、宮崎県産・高知県産の出荷が増加します。
茨城県産は、8月から9月にかけての高温の影響による樹勢の低下に加え、10月上中旬の低温により生育が遅延傾向にあり、11月前半までは出荷数量は平年を下回る見込みです。
他主産地の生育は順調。
全体として、11月前半の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込み。11月後半は出荷数量・価格ともに平年並みとなる見込みです。
11月のさといもの見通しは?
埼玉(68%)
愛媛(11%)
主産県の一部において8月の干ばつの影響により小玉傾向が見られるものの、大幅な出荷数量の減少は見込まれません。
全体として、11月の出荷数量・価格は平年並みで推移する見込みです。
11月の玉ねぎの見通しは?
北海道(98%)
海道産は8月から9月にかけての高温の影響により歩留まりの低下に加え、小玉傾向となっています。
全体として、11月の出荷数量は平年を下回り、価格は平年を上回って推移する見込みです。
野菜の値上げが落ち着く
近年天候不順により野菜の価格変動が大きくなっている中で、農林水産省では産地の出荷判断と消費者の購買行動の最適化のために平成23年より、主産地、卸売会社等からの聞き取りを基に、野菜の生育状況や価格の見通しを情報発信しています。
夏から秋冬にかけて産地が切り変わることで、少しずつ出荷量が安定し、11月後半には価格も平年並みに戻る品目が増える見込みです。
冬が近づいても物価高が続く中、野菜の価格変動が落ち着くことは家計にとっても間違いなくプラスになります。
訳アリ野菜は節約効果大
値上げが止まるとはいえ、まだまだ油断はできません。
14品目の生育状況を見ると、小玉傾向となっている「玉ねぎ」や、生育の遅れが見られる「ピーマン」、残量が少ない「にんじん」など、平年を上回って推移するものもあります。
こういった価格が高い野菜については、見切り品・傷付き・かたちが不ぞろいなどの「訳アリ野菜」を活用するのもひとつです。
すぐに使い切るのであれば、期限が近い「見切り野菜」で十分。
運が良ければ、通常価格の半額やたたき売りのような安値でゲットできることもあります。
また、かたち・色・大きさなどに訳がある「規格外野菜」もねらい目です。
見た目はちょっといびつでも、味は正規の野菜と変わらないものがほとんど。
こうした訳ありの野菜たちを進んで購入することは、食費を節約できるだけでなく、フードロス削減にもつながります。
野菜の買い方・選び方もくふうしながら、11月の家計もうまくやりくりしていきましょう。