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お盆の実家整理で亡き親のカードを発見。相続放棄「3か月」の期限に注意

税金 相続・贈与
お盆の実家整理で亡き親のカードを発見。相続放棄「3か月」の期限に注意
お盆の実家整理で亡き親のカードを発見。相続放棄「3か月」の期限に注意

お盆の帰省で実家を整理し、亡くなった親の財布からクレジットカードが見つかることがあります。すぐに解約したくなりますが、相続放棄などを判断する熟慮期間は原則3か月です。財産に安易に手を付けると、相続を承認したとみなされる可能性もあります。確認事項と手続きの順番を整理します。

死亡後も自動では止まらないカードの仕組み

名義人が亡くなっても、カード会社との契約は自動的には終わりません。会員資格を失う時期は各社の規約次第です。たとえばJCBの会員規約(個人用)では、会員が死亡したことを当社が知ったとき、または会員の親族等から死亡した旨の連絡が当社にあったときを資格喪失の事由として挙げたうえで、「当社が会員資格の喪失の通知をしたとき」に会員資格を喪失すると規定しています(JCB会員規約(個人用)第39条第4項)。

一方で、加盟店で使えなくなる時期は、資格喪失と必ずしも一致しません。同規約は、この場合には会員資格の喪失の通知の有無にかかわらず、カード会社は加盟店にカードの無効を通知することができると定めています(同規約第39条第6項)。遺族が時期を選べるものではありません。

遺族が連絡せず、カード会社も死亡を把握していなければ、退会手続きは進みません。年会費や月額サービスの引き落としだけが続くトラブルはここから生まれます。まずはカード会社への連絡が第一歩です。

解約手続きの3ステップ

順番を守らないと生活に支障が出ます。流れは次の3ステップです。

お盆の実家整理で亡き親のカードを発見。相続放棄「3か月」の期限に注意

まずステップ1では、自宅や財布を調べます。商業施設のポイントカードや会員カードにクレジット機能が付いていることもあるため、くまなく確認しましょう。現物が出てこないときの信用情報機関への開示請求ができるのは、法定相続人など所定の申込資格がある人です。申込資格や開示対象は機関ごとに異なります。

次のステップ2が、見落とすと痛い工程です。公共料金や携帯電話、インターネット回線、定期購入や各種会費をカード払いにしていた場合、解約すると支払いができなくなります。家族が使い続けるものは、解約前に支払い方法を変更しておきましょう。

そのうえでステップ3として、カード会社へ連絡します。相続手続きを弁護士や司法書士に依頼しているなら、代わりに連絡してもらってもかまいません。提出書類は事例により異なりますが、戸籍謄本、住民票(除票)、死亡診断書等の写しを求められる場合があります。

動く前に押さえたい熟慮期間3か月

カードの解約に追われているあいだにも、相続の期限は動いています。民法は、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について単純承認、限定承認、放棄のいずれかをしなければならないと定めています(民法915条1項)。この3か月を熟慮期間と呼びます。

見落としやすいのが、この期間を過ぎたときの扱いです。期間内に限定承認も相続放棄もしなかったときは、単純承認をしたものとみなされ(民法921条2号)、単純承認をした相続人は無限に被相続人の権利義務を承継します(民法920条)。放置は「保留」ではなく「承継」を選んだことになり、カードの残債を含めた借金を引き継ぐことが自動的に確定します。

お盆の実家整理で亡き親のカードを発見。相続放棄「3か月」の期限に注意

負債が多そうなら、相続放棄という選択肢があります。相続の放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人とならなかったものとみなされるため(民法939条)、カードの残債の支払義務も負いません。ただし放棄はすべてを一括で手放す手続きで、カードの残高だけを放棄して預貯金や不動産は受け取るという使い分けはできません。

財産と借金のどちらが多いか読めないときは、限定承認という選択肢もあります。相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務および遺贈を弁済すべきことを留保して、承認する方法です(民法922条)。借金が財産を上回っても、超える分まで自分の財産から返す必要はありません。ただし、相続人が数人いるときは共同相続人の全員が共同してのみ限定承認ができ(民法923条)、熟慮期間内に財産目録を家庭裁判所へ提出して申述する必要もあります(民法924条)。目録づくりに時間がかかる分、3か月の期限はいっそう重くのしかかります。

残高を使う前に知っておきたい落とし穴

相続放棄や限定承認を考えるなら、亡くなった方の財産に手を付ける前に立ち止まってください。相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされます(民法921条1号。ただし保存行為等は除かれます)。カードに紐づく電子マネーの残高が相続財産に当たるか、それを使う行為が「処分」に当たるかは、自己判断せず専門家へ確認しましょう。あわせて、亡くなった方のカードを遺族が使うこと自体が規約違反にあたる点も押さえておきましょう。

限定承認や相続放棄をした後であっても、相続財産の全部もしくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、または悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったときは、やはり単純承認とみなされます(民法921条3号。ただし、その相続人の放棄によって相続人となった人が相続の承認をした後は、この限りではありません)。

残債の支払いと口座凍結への備え

カードに未払い金が残っている場合、相続人は、被相続人の一身に専属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するため(民法896条)、カード残債の支払義務を引き継ぎます。家族カードで使った分も、支払債務は本会員に帰属すると規約に定められているのが一般的で(JCB会員規約(個人用)第1条第4項)、結果として相続人が支払います。

見落としやすいのが口座凍結です。金融機関へ相続の連絡をすると、亡くなった方の口座での入出金は原則として制限されます(全国銀行協会)。カードの引き落としより先に口座が止まれば、従来どおりの引き落としはできません。単純承認の方針が固まっている場合でも、カード会社に精算方法と時期を確認してください。

ただし、相続放棄や限定承認が視野にあるなら話は別です。亡くなった方の口座の預貯金も相続財産です。方針が固まるまでは口座を動かさず、カードの引き落としへの対応を先に弁護士などの専門家へ相談してください。

期限から逆算して、順番に片づける

亡くなった方のカードは、死亡しただけで自動停止するとは限りません。一方で、相続財産を処分すれば相続放棄の道が狭まり、自己のために相続の開始があったことを知ってから原則3か月何もしなければ、借金ごと承継することになります。動く順番は、カードと引き落とし契約の把握、支払い方法の変更、カード会社への連絡、そして財産と負債を見たうえでの判断です。お盆で家族がそろう今は、通帳を一緒に確認する好機です。迷ったら、熟慮期間が過ぎる前に弁護士や司法書士へ相談してください。

《編集部》
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執筆者: 編集部 編集部

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