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1ドル=162円台、夏休みの海外旅行を直撃。円安から家計と資産を守るには

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1ドル=162円台、夏休みの海外旅行を直撃。円安から家計と資産を守るには
1ドル=162円台、夏休みの海外旅行を直撃。円安から家計と資産を守るには

夏休みの海外旅行に向けて両替をし、受け取れる外貨の少なさに驚いた方もいるでしょう。2026年7月21日の東京市場では、ドル・円相場が1ドル=162円台となりました。円安は海外旅行だけでなく、輸入食品やエネルギーの値上がりを通じて日々の家計にも影響します。円高・円安が起きる仕組みと、資産を円だけに偏らせないための考え方を整理します。

円高・円安の仕組み、10ドルのランチで考える円の価値

円高とは、ドルなど他国の通貨に対して円の価値が上がることです。たとえば1ドル=100円が1ドル=80円になれば、同じ1ドルを手に入れるのに必要な円が少なくて済みます。海外のレストランで10ドルのランチを注文する場合、1ドル=100円なら1,000円ですが、1ドル=80円なら800円で食べられる計算です。

円安はその逆で、円の価値が下がった状態を指します。1ドル=100円が1ドル=150円になると、同じ10ドルのランチに1,500円が必要になります。一方で、1ドル=100円のときに100万円で1万ドルを買ってそのまま持っていた場合、1ドル=150円になれば円換算で150万円に増えます。金額が大きいほど、為替の影響も大きくなるわけです。

為替を動かす要因、転換期を迎えた日米の金融政策

為替レートを動かす要因には、国どうしの金利差、金融政策や財政政策、世界経済の変動、投資家心理などがあります。なかでも近年の円安の背景として大きいのが日米の金利差です。金利の高いドルを買う動きが広がると、ドル高・円安が進みやすくなります。

ここで押さえておきたいのが、金融政策の転換です。日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後段階的に利上げを進め、2026年6月の金融政策決定会合では無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.75%程度から1.00%程度へ引き上げました(賛成7・反対1)。米FRBは2024年9月以降、利下げ局面を挟んでいます。日本の金利も上昇局面に入っていますが、日米の金利差はなお円相場を動かす要因です。

構造面にも変化が出ています。財務省貿易統計の令和7年度分(確報)によると、2025年度の貿易収支(通関ベース)は、輸出113兆2,203億円、輸入114兆9,783億円、差し引き約1兆7,580億円の赤字と前年度から67.6%縮小しました。一方、国際収支ベースでは2025年度に貿易収支が1兆3,631億円の黒字に転じ、経常収支は34兆5,218億円の黒字となりました。このほか、新NISAを通じた海外投資に伴う円売りや、海外デジタルサービスへの支払いが増える「デジタル赤字」が円安の背景にあるとの指摘もあります。

歴史的円安の歩みと、政府・日銀による為替介入

具体的な推移を振り返ります。2024年は春から夏にかけて1ドル=160円台まで円安が進み、財務省は4月29日・5月1日、7月11日・12日に円買い・ドル売り介入を実施しました。2025年度のドル・円相場は、財務省の国際収支資料では東京市場中心値の期中平均で150.72円でした。そして2026年7月21日にも、日銀が公表する東京市場のドル・円スポット相場で1ドル=162円台となっています。

見落としやすいのが、政府・日銀による為替介入の存在です。財務省の公表によると、2024年4月29日・5月1日に計9兆7,885億円、同年7月11日・12日に計5兆5,348億円の円買い・ドル売り介入を実施しました。2026年も4月28日から5月27日までの月次実績で11兆7,349億円の為替介入を実施しました(財務省2026年5月29日公表)。なお、財務省が6月30日に公表した5月28日から6月26日の介入実績はゼロで、直近の確定分では追加介入は行われていません。急激な円安に当局が対応してきた事実を知っておくと、相場のニュースが読みやすくなります。

円高・円安それぞれの家計への影響、値上げと賃上げの現在地

円高と円安のどちらがいいかは、立場によって変わります。家計目線での主な影響を表に整理しました。

1ドル=162円台、夏休みの海外旅行を直撃。円安から家計と資産を守るには

円安のメリットは輸出企業など外貨建て売上の比率が高い企業に表れやすく、円安が業績を押し上げる場合があります。ただし、為替感応度は企業ごとに異なり、原材料高や海外生産比率の影響も受けるため、円安が一律に増益要因になるとは限りません。

一方、円安は、原材料費やエネルギー費などを通じ、食品値上げの一因になります。帝国データバンクの調査(食品主要195社)によると、飲食料品の値上げは2024年に12,520品目と3年連続で1万品目を超え、2025年は20,609品目と前年比64.6%増まで拡大しました。同社が2026年6月30日に公表した7月調査では、7月の値上げは2,566品目、1月から11月の判明分は1万4,902品目にのぼり、通年では前年並みの2万品目台での着地が想定されています。夏以降に広範囲な値上げラッシュが本格化し、9月は単月で3,000品目超と年内最多になる見通しです。

賃金側も動いています。春闘の賃上げ率は2024年以降3年連続で5%を超えました。連合の2026年最終(第7回)回答集計(7月3日公表)では、規模計の平均は5.01%と前年の5.25%を下回った一方、300人未満の中小組合は4.69%と前年の4.65%を上回りました。実質面でも、厚生労働省の毎月勤労統計調査(2026年5月分速報)では実質賃金(現金給与総額)が前年同月比1.4%増となり、2026年5月は実質賃金が前年同月を上回りましたが、単月の結果だけで家計の購買力が継続的に回復したとは判断できません。

円安局面の資産防衛、円に偏らない持ち方

ここまで見たとおり、円安は生活必需品の値上がりを通じて家計を直接圧迫します。さらに、資産をすべて日本円で持っていると、円安による輸入物価の上昇に資産価値が対応しにくくなる場合があります。では、どう備えればよいのでしょうか。

まず、日々の買い物では国内原料・国内生産の製品に目を向けると、為替の影響を受けにくくなります。ただし国産品でも、製造や輸送でガソリンなど海外資源に頼る部分があり、かえって価格が上がる場合もある点は念頭に置きましょう。

資産面では、預貯金だけでなく、株式や海外も投資対象に含む投資信託、外貨資産などをリスク許容度に応じて組み合わせることが基本です。NISAやiDeCoといった税制優遇制度を使い、少額から国内外にバランスよく分散すれば、特定の国の動向に資産全体が振り回されるリスクを抑えられます。

注意したいのが、極端な行動です。「すべての資産をドルに換える」といった偏りは避けましょう。また、購入時より円高の局面で外貨資産を円に戻すと為替差損が出ますが、同じ外貨のまま保有し続けている間は、売却するまでは損益は確定しませんが、円換算した資産価値は日々変動しています。換金のタイミングは慌てずに判断することが大切です。

あわせて、外貨預金は預金保険制度(ペイオフ)の対象外である点も知っておきましょう。円と外貨の交換には為替手数料もかかるため、こうしたコストとリスクを踏まえて利用することが大切です。

為替は「自分ごと」、円と外貨のバランスから始める備え

円高・円安は、旅行や食卓、給料、資産の価値まで、暮らしの広い範囲に影響します。2024年以降に1ドル=160円台の円安が記録された事実を踏まえると、資産を円だけに置くリスクは無視できません。まずは家計の支出を見直しつつ、NISAなどを入り口に、円と外貨・国内と海外のバランスをご自身のリスク許容度に合わせて整えることから始めてみましょう。

《編集部》
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