
仲間と買った宝くじが当たったら、誰の名義で、どの割合で受け取るでしょうか。今年のサマージャンボプレミアムは1等・前後賞合わせて最高12億円です。当せん金自体に所得税はかかりませんが、1人が受け取った後で仲間へ渡すと、別の財産移転として贈与税の対象になることがあります。受取期限、税金の境目、共同購入の手続きを順に整理します。
当せん金の受け取り方は金額で変わる
今年のサマージャンボシリーズは、発売期間が6月30日(火)から7月31日(金)まで、抽せん日は8月12日(水)です。シリーズのうちサマージャンボプレミアムは1等8億円・前後賞各2億円で、合わせて最高12億円という大きな当せん金が用意されています。
もし当たっていたら、まず確認したいのが受け取りの手順です。売り場で購入した宝くじは、当せん金の額によって受け取り場所と必要なものが変わります。

宝くじ公式サイトで購入した場合は、窓口での手続きは不要です。当せん金とお預かり当せん金の合計額が1万円以上なら、登録した口座へ自動で振り込まれます。ジャンボ宝くじなどの場合、振り込みは支払開始日(抽せん日の5日後)から1週間程度です。なお合計額が1万円未満の場合は、いったん「お預かり当せん金」として公式サイト側で預かられる仕組みになっています。
受け取りの期限は支払開始日から1年
見落としやすいのが、当せん金の受け取りに期限がある点です。宝くじの当せん金は、支払開始日から1年以内に受け取る必要があります(スクラッチは券面に記載の支払期限まで)。ロト、ビンゴ5、ナンバーズは抽せん日の翌日から1年間です。
期限を過ぎた当せん金は、発売元である全国都道府県及び20指定都市へ全額納められ、収益金とともに公共事業などに役立てられます。つまり、せっかく当たっていても、受け取らなければ権利そのものが消えてしまいます。当せん番号の確認と受け取りの手続きは、後回しにしないことが大切です。
当せん金そのものに税金がかからない理由
宝くじの当せん金には、所得税がかかりません。当せん金付証票法という法律の第13条に「当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない」と定められているためです。したがって、いくら高額の当せんでも確定申告は不要です。
個人住民税でも、当せん金付証票(宝くじ)の当せん金品は非課税所得の例として挙げられており、課税の対象にはなりません。
「購入時に税金を払っているから非課税」と説明されることがありますが、これは正確ではありません。宝くじは販売総額のうち約40%(令和6年度の実績では36.2%)が収益金として発売元の全国都道府県及び20指定都市に納められ、公共事業などに使われています。ただしこれは税金そのものではなく、非課税の根拠はあくまで法律の規定です。
注意したいのが、非課税なのは当せん金そのものだけという点です。当せん金を預金や投資に回して生じた利子や配当には、通常どおり税金がかかります(例えば預貯金の利子には20.315%の源泉分離課税)。
当せん後の資金移動には別の税ルールがある
当せん金を受領した人が、その後に家族や友人へお金を移す行為は、宝くじの受け取りとは別です。無償で渡した額には贈与税がかかる場合があり、申告・納税をするのはお金を受け取った人です。
贈与税(暦年課税)には年110万円の基礎控除があります。もらう人1人につき、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計が110万円以下なら贈与税はかからず、申告も不要です。110万円を超えると、超えた部分に金額に応じて10%から55%の税率で課税されます。
ここで見落としやすいのが、相続への跳ね返りです。相続や遺贈で財産を取得する人が生前の被相続人から受けた贈与は、相続開始前の一定期間の分が相続財産に加算されます。加算の対象期間は現在は相続開始前3年以内ですが、令和9年1月1日以後に始まる相続から段階的に延び、令和13年1月1日以後は7年以内になります。令和9年1月2日以後の相続では、延長された期間のうち相続開始前3年以内より前の贈与について、総額100万円までは加算されません。この加算は年110万円以下の贈与も対象になるため、「毎年110万円ずつ渡せば税金の心配はない」とは言い切れません。
また、当せん金を使い切らずに遺した場合は相続財産になります。正味の遺産額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると相続税がかかり、死亡を知った日の翌日から10か月以内に申告と納税が必要です。
なお、相続時精算課税は、原則として贈与年の1月1日時点で60歳以上の父母・祖父母等から、18歳以上の子・孫等への贈与で選べる制度です。選択届出書等が必要で、いったん選ぶと、その特定贈与者からの贈与を暦年課税へ戻せません。令和6年1月1日以後の贈与では年110万円の基礎控除が別枠で設けられています。
共同購入は「後で配る」形を避ける
職場や家族で資金を出し合ったなら、代表者の口座へ全額を入れてから送金する流れは避けます。代表者だけの当せん金として受領した後の送金は、共同購入時の負担割合にかかわらず、代表者から各メンバーへの贈与と判断されるおそれがあるからです。
宝くじの高額当せん者向け冊子は、グループ買いの受取時にメンバーの委任状が必要になると案内しています。家族や親戚のグループでも扱いは変わりません。購入前に出資者と負担割合を記録し、窓口には全員で行くか、来られない人の委任状をそろえます。それぞれが自分の持ち分を当せん者として直接受け取れる形にすることがポイントです。
あわせて、受け取りの際には「宝くじ当せん金支払証明書」の発行を依頼しておくと安心です。後日、住宅の購入などで税務署からお金の出どころを尋ねられたときに、当せん金であることを証明できます。
期限・名義・割合を先に確認する
高額当せんを周囲へ知らせるほど、金銭トラブルの可能性も増えます。知らせる相手を絞り、使途を急いで決めないことも大切です。共同購入なら、支払開始日から1年という期限だけでなく、受取人の名義と各人の持ち分を窓口へ行く前に確認しましょう。大きな金額を動かす前には、税理士などの専門家へ相談すると安心です。


