
「葬式はしなくていい」と親に言われたとき、最低限どこまでが必要なのか迷う人は少なくありません。法律が定めているのは儀式ではなく、届出と許可、時間と場所です。必ず要る手続きと、決まりは無くても実際に要る手配を分けて紹介します。
父から「葬式はいらない」と言われた50代会社員の戸惑い
「葬式はしなくていい、と父に言われたんです。」地方の実家で暮らす父を持つ50代の会社員は、最低限どこまでが必要なのかを調べ始めました。通夜も告別式もしないなら、届け出だけで済むのか。調べると、法律が決めているのは儀式の有無ではなく、届出・許可・時間・場所の4つでした。
法律が決めているのは届出・許可・時間・場所の4つ
最初に要るのが死亡届で、国内で死亡した場合、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ出します。国外で死亡した場合は、その事実を知った日から3か月以内です(戸籍法86条)。同居の親族などの順序が定められていますが、同居していない親族も届け出ることができます(87条)。
次が埋葬または火葬の許可です。埋葬(死体を土中に葬ること)と火葬は法律上別の行為で、どちらも死亡届を受理した市町村長の許可が要ります(墓地、埋葬等に関する法律5条)。火葬場は火葬許可証を受け取った後でなければ火葬を行えません(8条・14条)。
埋葬も火葬も死亡後24時間を経過した後でなければ行えず、例外は他の法令に別段の定めがある場合と妊娠7か月に満たない死産です(3条)。埋葬は墓地でしかできず、火葬した焼骨を埋めるのも墓地で、火葬は火葬場に限られます(4条)。

2つの法律が定めているのは届出と許可、時間と場所であって、通夜や告別式を行うことではありません。儀式の実施は、法律の定めに無いのです。
決まりは無くても、火葬までに実際に要る手配
法律の外にも、火葬までに要る手配があります。横浜市の市営斎場の案内では、搬送や棺の手配、火葬までの安置や納棺は火葬業務外の作業で斎場の職員は手伝えず、火葬日までの安置を含めて申込者で対応できる場合に限り、個人でも予約できるとしています。
予約は葬儀社なら斎場予約システムから、個人なら使用を希望する斎場に直接電話で相談します。当日は火葬許可証と、焼骨を持ち帰るための容器を持参し、火葬後の焼骨は持ち帰ります。搬送や安置を自分で担えないときの頼み先は、葬儀社や搬送業者です。

儀式を省くかより先に、4つの手続きを押さえる
儀式をしないとしても、死亡届と許可、時間と場所の4つは省けません。そのうえで搬送と安置、火葬場の予約、焼骨の持ち帰りをどう手配するかを決めておけば、当日に迷うことは減ります。父と話す機会があれば、儀式の話より先にこの4つと手配の分担を確かめておきましょう。


