
お盆に実家を片づけていたら、通帳の間から互助会の会員証が出てきました。払い込みはとうに終わっている様子です。満期と聞くと、まとまったお金が戻ってくる場面を思い浮かべます。ただ互助会の積み立ては、法律のうえでは葬儀や婚礼の代金の前払いにあたります。満期は積み立ての終わりであって、契約の終わりではありません。
満期で終わるのは払い込みのほう
互助会の積み立ては、割賦販売法が「前払式特定取引」と呼ぶ取引にあたります。葬式のための祭壇の貸与や婚礼のための施設の提供といった役務について、提供より先に対価の全部または一部を、2か月以上にわたり3回以上に分けて受け取る形です(同法2条6項、同法施行令の別表第二)。業として営むには、年間の取引額が政令で定める額に満たない場合などを除いて、経済産業大臣の許可が要ります(同法35条の3の61)。
つまり満期とは、約束した回数の払い込みが済んだ状態を指します。役務はまだ受け取っていないので、契約そのものは残ったままです。預金とは違って利息はつかず、期日に現金が振り込まれる性質のものでもありません。
満期のあと、権利をいつまで使えるかは契約や約款によって異なります。会員証と一緒の書面を開き、期間の定めがあるかを先に確かめましょう。
満期後に選べるのは、使う道と解約する道
使う道を選ぶと、積み立てた分は婚礼や葬式のサービス費用に充てられます。気をつけたいのは、条文が前払いの対象を対価の「全部又は一部」と書いている点です。どこまでまかなえるかは契約によって違い、含まれない品目や後から足した内容は別に払います。
解約する道を選ぶと、返金を受けられます。ただし解約手数料が差し引かれ、積み立てた額より少ない返金になることがあります。国民生活センターは、解約手数料を契約書や約款で確かめ、不明な点があれば事業者に内訳の説明を求めるよう案内しています。

差し引かれた額に納得できないときは、消費者契約法により平均的な損害の額を超える部分が無効になる余地もあります。ただし線引きをめぐって争いになることもあります。
会社が立ち行かなくなったときに戻るのは一部
許可を受けた事業者は、営業保証金を供託します。そのうえで、基準日における前受金の合計額の2分の1が営業保証金の額を超える場合には、超える部分について前受業務保証金の供託または前受業務保証金供託委託契約による前受金保全措置が必要です(同法35条の3の62で準用する18条の3)。営業保証金と前受業務保証金を合わせ、前受金の2分の1に相当する額を保全する仕組みです。
守られるのは半分に相当する額が目安で、払い込んだ全額が戻る保証ではありません。預金と同じ感覚でいると見立てを誤ります。
破産手続開始の申立てがあったとき、支払を停止したとき、許可を取り消されたときなどは、まだ役務の提供を受けていない契約者がその契約を解除できます(同法35条の3の62で準用する27条1項)。これに反する特約は無効です(同法35条の3の62で準用する27条2項)。
会員証が出てきたら、まず書面を開く
満期で終わったのは払い込みだけで、権利をどう使うかはこれから決めます。婚礼や葬式で使うなら契約に含まれる範囲を、解約するなら手数料の定めを、手元の契約書と約款で確かめてください。分からない部分は事業者に説明を求め、納得できないときは消費生活センターに相談できます。消費者ホットライン188番が最寄りの窓口を案内します。


