
遠方にある親の代からのお墓。管理料の請求が届いたまま手をつけられず、いつかお墓がなくなるのではと気になっている方もいるでしょう。ただ、縁故者のいないお墓として遺骨を移すには、官報と立札で1年の公告を経て、市町村長の許可を受ける決まりがあります。慌てる前に、墓地の管理者へ今の状況を伝えておきましょう。
払えなくなったときの扱いは、墓地ごとの規則と契約しだい
管理料が滞ったときの扱いを決めるのは、まず墓地ごとの使用規則や契約です。厚生労働省の「墓地経営・管理の指針」は、使う期間の定め方として、期限のないもの、管理料が払われる間は権利が続くもの、期限が来たら納骨堂などへ移すものといった型を挙げています。
同じ指針は、料金をまったく払わないといった合理的な理由がない限り、経営者側が一方的に契約を解除する規定は認められないとしています。指針と同時に示された標準契約約款(雛形)も、一定の年数の管理料の不払いがあったときは、期間を決めて支払いを催告し、それでも払われないときに書面で解除する形です。約款では年数が空欄で、実際の年数や手順は手元の使用規則か墓地の管理者に確かめることになります。
縁故者のいないお墓は、1年の公告を経てから改葬の許可へ
遺骨をほかのお墓や納骨堂へ移す「改葬」には、墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)第5条により、市町村長の許可が要ります(特別区の区長を含みます)。縁故者がいないお墓(無縁墳墓等)の遺骨を移すときは、施行規則第3条が、許可の申請に次の段取りを踏んだことを示す書面などを添えるよう定めています。

この手続きは通常の改葬より慎重なものだと、総務省行政評価局が令和5年9月に公表した調査報告書も説明しています。
墓石の行方は、令和7年12月8日の事務連絡で考え方が示された
厚生労働省が令和7年12月8日に自治体へ出した事務連絡は、無縁改葬の手続きが墳墓の所有権などの私法上の権利を処置するものではないとしたうえで、残った墓石などの扱いの考え方を示しました。公営墓地では条例などに定めがあれば基本的にその定めに、民営墓地では原則として経営者と使用者の契約の定めに従うという整理です。
さらに、どの扱いをとるにしても、使用許可の取消しや契約の解除で墓地を使う権利が適法に消えていることと、無縁改葬そのものが適法に行われていることが前提になるとしています。官報と立札による公告だけで、お墓が片づくわけではありません。
立札や連絡に気づいたら、期間のうちに申し出る
公告は、墓地使用者や縁故者に1年以内の申し出を求めるものです。立札や官報、管理者からの連絡に気づいたら、墓地の管理者へ早めに申し出て、管理料の状況と使用規則を確かめましょう。続けるのが難しいなら、親族と話し合い、自分で改葬の許可を受けて遺骨を移す道もあります。申請先は遺骨のある地の市町村長なので、市区町村の窓口で手順を聞いておくと安心です。


