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手数料を値上げしたい銀行の本音

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手数料を値上げしたい銀行の本音

「〇〇銀行両替手数料引上げ」といったニュースはいつでも目にしていると思います。

社会全体では

・ 手数料無料
・ 手数料が安い

と売りにしているのに、なぜ銀行は手数料を値上げするのでしょうかか?

そこには2つ、銀行の本音があります。

本音1:ATMにはお金がかかる

本体価格と維持費がかかる

銀行の手数料で代表的なものにATM手数料があります。

現在ではコンビニ、駅、ドラッグストアにもATMが設置されており、利用手数料が無料というケースも少なくありません。

それなのにATM手数料がなくならないのはなぜでしょう?

ATMに手数料が必要なのは、ATM自体にお金がかかるからです。

本体価格

ATM機1台は、コンビニなどの小さいもので200万円、銀行にある高性能のものでも800万円くらいだそうです。

私が入社したころはATM機1台で家が建つと言われていました。

バブル期の自宅ですから数千万円で、その頃に比べると価格が下がり、機能は飛躍的に向上しています。

しかし、価格が低下したと言っても、1つの銀行で保有する台数は多いので全体では相当な金額です。

維持費

ATMを設置するにも、外なら専用の建物が必要ですし、ショッピングセンターや駅に置けば家賃が必要です。

また現金補充や故障対応は警備会社への委託が主流ですが、そのコストも大きいです。

ネットなどでは「ATM機1台の年間維持費は800万円」という記載もあります。

ATMの維持費をまかなうには現在の手数料水準では間に合わず「本当はもっと値上げしたい」というのが銀行の本音です。

ATMがある利便性や集客力アップなど相手側(駅やショッピングセンターなど)にもメリットがあり、手数料だけにこだわってやめるわけにはいかないという事情もあります。

本音2:おつり用の両替はやりたくない

おつり用両替は無償のサービス

つり銭用に硬貨などを両替するサービスは、以前は無料でした。

USドルなど外国通貨への両替は銀行の手数料収入では稼ぎ頭(かせぎがしら)になっています。

おつり用の両替は、サービスとして長年行い、取引がある商店や会社に銀行員が集金に行き、そのときに両替を届けるなどし、その見返りとして預金や融資を獲得していました。

預金金利と貸出金利の利鞘で銀行が儲けることができた時代は、

顧客獲得のツール

として両替がありました。

時代は変わり低金利の現在、利鞘(りざや)では儲からなくなった銀行が手数料獲得のため投資信託や外貨預金などを販売しています。

これと同じく手数料獲得のため、無料だった両替でも手数料をもらうようになりました。

銀行は両替の手数料をアテにしていない

両替機など専用の機械の費用やランニングコスト、人の手で両替する場合の人件費など、銀行の業務の中で両替は手間と費用がかかる1つです。

現在では少数派になってしまいましたが、信金など一部の金融機関では無料で両替を続けているところもあります。

銀行でも預金残高や取引内容で無料にするなど工夫をしていますが、顧客から見ればタダで両替してくれるところを選びたいはずです。

そして、両替手数料を取る銀行はそれでもいいと考えています。

両替手数料は、
50枚までは無料
51枚~100枚までは100円
100枚ごとに〇円
など枚数で金額が増える「従量制」が多いのですが、実は枚数と手間はそれほど変わりません

手数料が無料の金融機関があるので、両替手数料を払う人は少なく、銀行の両替は縮小傾向にありますが、銀行はそれを承知しています。

みずほ銀行手数料値上げ

≪画像元:みずほ銀行

銀行の本音おさらい

銀行の本音を聞いてほしい

「イヤなら他に行っても良いです」

スマホ取引の特典やキャンペーンなどで、「ATM手数料がかからずに出金するには?」といったサイト記事もあり、利用者もATM手数料を払う人が減ってきています。

また提携するコンビニなどは数多くあり、銀行独自のATMはどんどん減っています。

しかし給料振込やカード決済で銀行口座を使う人がいますので、そちらで収益はカバーできる仕組みになっていて、ATM手数料は減少傾向にあったとしても、銀行は困りません

手数料をもらっても割に合わない両替はやめてしまいたいのですが、銀行として「両替しません」とは言えないので、どんどん値上げをしています。

これが銀行の本音です。(執筆者:加藤 隆二)


《加藤 隆二》
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加藤 隆二

執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二 加藤 隆二

バブル期に入社して、以来銀行一筋30年。お金にまつわるさまざまな相談にこたえてきました。時には返せなくなってしまった人からの相談にも、可能な限り親身になって対応してきたつもりです。銀行員として「あなたのために、なにができるか考えます」 最初の挨拶はいつもそう言ってきました。年を重ねた今も、気持ちは変わっていません。銀行員として、読者である「あなたのために」役に立つ文章を書いていきたいと思っています。 寄稿者にメッセージを送る

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