政府が副業を推進していることもあり、本業とは別に副業で収入を得る人も増えてきました。
中でも在宅で隙間時間に取り組めることからライターは人気の副業です。
さて、そんな副業ライターさん、たとえば
何かを天引きされているみたい。どういうこと?」
と疑問に思ったことはありませんか?
ライターの仕事では、報酬を受け取るときにクライアントから「所得税の源泉徴収」をされていることがあります。
この報酬から天引きされている所得税を取り戻す方法があります。
詳しく見ていきましょう。

目次
源泉徴収とは?
所得税の「源泉徴収」は、「源泉=収入の発生源」から、「徴収=税金」を納めていることをいいます。
「支払元からの天引き」ということです。
会社員の給料は、会社が従業員の口座に振り込む前に税金を「天引き=源泉徴収」してから振り込まれます。
所得税はどの部分にかかる税金?
所得税は、収入から経費や各種控除を差し引いた残りの金額に対して課される税金です。
例えば同じ給料500万円の会社員でも、独身の人と扶養家族が多い人では、収入から差し引ける控除の金額が異なるため、所得税の税額に差があります。
副業ライターの源泉徴収の落とし穴
ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシング仲介サイトの利用や直接契約にかかわらず、ライター報酬を得ている人は、クライアントから所得税を源泉徴収された金額が支払われていることがあります。
このとき源泉徴収される所得税は、契約金額 × 10.21%で計算されています。
契約金額にそのまま税金がかけられていますが、副業などの雑所得は必要経費を差し引いて計算することが可能です。
雑所得の金額は、次の(1)と(2)との合計額です。
(1) 公的年金等
収入金額-公的年金等控除額=公的年金等の雑所得(2) 公的年金等以外のもの
総収入金額-必要経費=その他の雑所得
つまり「副業の年間収入-副業の経費=副業の所得」となり、本来はこの経費を差し引いた後の「副業の所得(雑所得)」で所得税の計算をするはずです。
副業ライターの主な経費
以下のような経費は、副業で得た収入から差し引くことができます。
・ クラウドソーシング仲介サイトの手数料
・ Office365や有料チャットワークなど仕事に必要なアプリの利用料
・ 仕事で使った通信費
・ 仕事のために必要な書籍・資料代
・ 打ち合わせに要した交通費や飲食代
・ シェアオフィス利用料
経費のあり・なしで所得税額に大きな差が
たとえば年間の副業収入が40万あり、クライアントから全額源泉徴収を受けていた場合
40万円 × 所得税率10.21%=所得税額4万840円
年間の副業収入が40万あり、経費が年間10万円かかっている場合
(40万円-10万円) × 所得税率10.21%=所得税額3万630円
上記の例では、経費を差し引いて計算したことで所得税額が1万210円もお得になりました。
クライアントから全額源泉徴収を受けていた場合、1万210円は払いすぎの税金ということになります。
源泉徴収された所得税を取り戻す方法

副業で経費を計上した結果、クライアントから源泉徴収されている所得税が「実は払い過ぎだった」場合は、どうすれば良いのでしょうか。
結論から言うと、取り戻すためには確定申告しか方法はありません。
確定申告で雑所得を申告する
確定申告では、給与所得と雑所得を合計した総所得金額に対して所得税の計算を行います。
・ 副業でクライアントに源泉徴収されていた所得税
この2つは「すでに支払った所得税」として計算します。
副業収入から経費を差し引いた「副業の所得(雑所得)」に対する所得税を確定申告で正しく計算しなおし、クライアントに源泉徴収された「既に支払った所得税」のうち「実は払い過ぎだった分」を還付金として国から返してもらうことができます。
雑所得の申告時に経費はどう申告するのか
確定申告の申告書第二表には、雑所得の「所得税の源泉徴収税額」と「必要経費等」を記入する欄があります。
(参考元:平成30年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き(確定申告書A用)9/44ページ)
所得税の源泉徴収税額
クライアントから受け取った源泉徴収票もしくはクラウドソーシングサービスの報酬管理ページに書かれた源泉徴収税額を記入します。
必要経費等
自分で計算した金額を記入します。
税務署から「内訳を提示して欲しい」と求められたときに対応できるよう、経費に関する領収書やWebサービスの決済画面をプリントアウトしてまとめて保管しておきましょう。(執筆者:2級FP技能士 久慈 桃子)