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日本の年金制度が「破綻しない」3つの理由 制度改正とあわせて解説

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日本の年金制度が「破綻しない」3つの理由 制度改正とあわせて解説
「日本の年金制度はもうもたない、将来破綻するのは確実だから払うのはバカバカしい」

誰かの言葉で耳にしたり、一度は自分もそう思ったことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

少子高齢化、現役世代と高齢世代の人口構造の歪み、老後資金の問題など多くの不安材料が背景にあるからだと言えます。

日本の年金制度が「破綻しない」3つの理由

結論、年金制度は破綻しない

日本の年金制度は本当に破綻するのでしょうか。

結論からいえば、破綻しません。

理由を一言でいうとしたら、破綻しないように設計されているからです。

ちなみに、ここで言う「破綻」とは、制度が持続できなくなる状態のことを指しています。

「年金だけでは生活が苦しい状態」を破綻と解釈するということではありません。

年金制度が破綻しない根拠

では、年金制度が破綻しない理由とは何でしょう。

理由1:長期的に収支バランスがとれる仕組みで設計されている

公的年金は長期的に収支のバランスがとれるような仕組みを随所に取り入れているからです。

年金が保険である限り、現役世代の保険料と高齢者への給付金のバランスを工夫することで、論理的には破綻を防げます。

具体的には、現役世代の適用範囲を拡大したり、加入期間を増やすなどで調整することが可能なのです。

実際にその方向で制度改正が進んでいます。

長期的に収支バランスがとれる仕組み

理由2:マクロ経済スライドが制度の破綻を防ぐ

次に、日本の年金には「マクロ経済スライド」という制度が導入されているからです。

マクロ経済スライド」は、年金の給付水準を調整するためのものですが、一言でいえば、

賃金や物価が上昇するほどは、年金額は上昇しないという仕組み

です。

2004年の制度改正「100年安心プラン」

実は、2004年に年金制度を破綻させないための大きな制度改正がありました。

俗にいう「100年安心プラン」です。

その概要は、

1. 保険料の水準が徐々に上昇して負担増にならないように、上限が固定された

2. 国の負担割合(税金)を増やすことにした。

3. 積立金を少しずつ切り崩しながら活用することにした。


上記1.~3.で、公的年金財政の収入のサイズが決定しました。

さらに、この収入の範囲内で給付を行うために、

4.「マクロ経済スライド」を導入して、給付と負担(収入)を調整することにした。

のです。

これで、100年間制度が継続される状態を常に維持します。

「マクロ経済スライド」の導入によって、子や孫の将来のために現在の高齢者世代に少々痛みを負担してもらい世代間格差を和らげることができるのです。

公的年金制度とは、まず制度が持続することが最優先事項です。

諸外国では、「マクロ経済スライド」のような調整機能がないために、年金支給開始年齢を一律に67歳~68歳へ移行させて、財政健全化を図ろうとしています。

「マクロ経済スライド」制を採用している日本は、他国と比べて相対的に世代間の公平性が高く、持続性も高い

ともいえるのです。



理由3:国は年金制度の破綻という選択は絶対にしない

年金制度が破綻しないもう1つの理由として挙げられるのは、仮に

年金制度を破綻させてしまうと、国は巨額の生活保護費を負担しなければならなくなる

ということです。

国にとっては、加入者と企業の保険料、国庫金を投入して回している現在の制度を維持させたほうが、破綻させるよりはるかにお得なのです。

したがって、国は制度の調整はあっても、制度そのものの破綻といった選択はしないはずです。

年金議論を冷静に注視する

くれぐれも「年金制度は破綻する」という極論に振り回されることがないように、冷静に今後の年金議論を注視していきましょう。(執筆者:長崎 寛人)

《長崎 寛人》
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長崎 寛人

老後に備えたマネープランの本を出版したり、時々セミナーもやっているファイナンシャルプランナー(CFP)です。得意分野は年金や保険などですが、現在は実家で父親の介護に携わっていることもあり、「介護とお金」について関心があります。介護の話題はできるだ感情論にならずに、経済的な視点からクールにアプローチしていくことを心がけたいと思います。 寄稿者にメッセージを送る

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