会社に就職したものの、「思っていた業務内容や環境ではなかった」と入社した月にすぐに退職する場合もあるかと思います。
このような会社に入社した月と退職した月が同月にあることを「同月得喪(どうじつとくそう)」と言います。
社会保険料は、月単位で計算するため会社に勤めた期間が1日であろうが、社会保険料が1か月分掛かってきます。
しかし、退職後の条件によっては厚生年金保険料を取り戻せる場合がありますので、その場合を紹介します。

目次
すべての国民が医療保険に加入
我が国では「国民皆保険制度」と呼ばれるすべての国民が医療保険に加入できる制度として1958年に国民健康保険法が制定されました。
適用事業所と呼ばれる事業所に入社すると、一定の条件を満たしている方は健康保険および厚生年金保険に加入します。
社会保険の加入条件を満たす従業員は、加入を希望する・しないに関わらず全員強制加入となります。
保険料は、資格を取得した日の属する月から資格を喪失した日の属する前月分まで徴収
健康保険料と厚生年金保険料(以下、社会保険料といいます)は、
・ 資格を喪失した日(退職日の翌日)の属する前月分まで
月単位で徴収します。
例えば、4/1に入社すれば4月分から徴収されます。
喪失日について少し間違えやすいのですが、資格喪失日というのは退職した日の翌日です。
例えば5/31に退職した場合は、6/1が資格喪失日となり、5月分まで社会保険料を徴収することとなります。
同月得喪の場合は、1か月分徴収
先ほど、社会保険料の徴収について、資格喪失日(退職日の翌日)の属する月の保険料は徴収しないとお伝えしました。
例えば、5/30退職の場合であれば、5/31が資格喪失日となるため、5月分の社会保険料は徴収しないのです。
ただし、例外として、入社後すぐに退職してしまい、同じ月に資格取得と資格喪失があった場合は、1か月分の社会保険料を徴収します。
同月得喪の後も社会保険料が必要
4/1に入社をして4/15に退職した場合、4月分の社会保険料が掛かります。
我が国は、「国民皆保険制度」と呼ばれるすべての国民が医療保険に加入する仕組みのため、4/16から他の事業所の加入している社会保険や、国民健康保険など、他の医療保険に加入する必要があります。
社会保険料は日割りではなく、1か月単位のため、4月は2か月分の保険料の支払いが必要になります。

厚生年金保険料を取り戻す方法
厚生年金保険の保険料について、次に該当した場合は徴収されません。
・ 同月得喪後、同じ月中に国民年金に加入した場合
平成27年10月までは、同月得喪後、同じ月内に国民年金に加入した場合、厚生年金保険料と国民年金保険料をそれぞれ納付する必要がありました。
平成27年10月以降は取り扱いが変わり、国民年金保険料のみを納付すればよいことになりました。
健康保険料は、特例がなく2か月分納付しますので、注意してください。
厚生年金保険料は還付される
同月得喪であっても、会社は社会保険料を徴収するのが一般的です。
なぜなら、退職後、同じ月中に再就職をするかどうか事業主は把握できないためです。
この場合、いったんは社会保険料を徴収しておいたうえで、要件に該当すれば還付することになります。
還付する流れは、次のようになります。
2:事業所が年金事務所に還付請求書を提出することによって還付処理が行われる
還付の連絡がない場合は会社に問い合わせを
社会保険料は、会社と従業員で折半負担しています。
還付される厚生年金保険料は、会社と従業員の負担合計額が会社へ返金されます。
会社に全額が還付されますので、退職した従業員へは会社から返金してもらうことになります。
要件に該当していて、前に勤めていた会社から還付の連絡がない場合は、会社に問い合わせしてみましょう。
厚生年金保険料は、給与の額によって違いますが決して安くはないです。
退職後どういった場合に還付されるのかを知っておくと、退職後の手続きも抜かりなく行えそうです。(執筆者:社会保険労務士、2級FP技能士 望月 葵)