今回は、不安定化する金利市場に着目し、外国債券とREIT(不動産投資信託)の動向について解説していきたいと思います。

不安定な金利市場が続く

新興国通貨は不安定な相場が続く

新型コロナウイルス感染拡大、米国が金融緩和により政策金利をゼロ誘導したことで新興国通貨の値動きは不安定な状況が続いています。

一般的には、米国の政策金利が低下すると高利回りである新興国に資金が流入し、円安となる傾向にあります。

しかし、今回の新型コロナウイルス感染拡大による影響で、新興国も自国経済を安定化させるために政策金利を過去最低の水準にまでさらに引き下げなければならなくなりました。

先進国と比べて医療体制が不十分であることも新興国に資金が流入しない原因とも言え、さらに新興国の中にはエネルギー資源価格の変動が国の財政に多大な影響を及ぼす国が多いため、原油先物価格が暴落したことも逆風として押し寄せています。

これにより、「新興国通貨建て外国債券」を保有している投資家の含み損は膨らみ続けており、償還間近の商品を保有している投資家にとっては最悪な状況となっています。

特に、「円貨決済型債債券」は満期時に強制的に円での償還を迎えるため、外貨で保有できません

また、「外貨決済債券」も償還を迎えたとしても従来のような高利回りの債券がないのが現状であるため、次の債券にロール(新たな債券に乗り換える)したくても簡単には判断できない状態となっています。

REIT(不動産投資信託)市場の変化

新型コロナウイルス感染拡大以前は、世界的な好景気を背景に不動産投資による高利回り商品は投資家にとって最も魅力的なものの1つとして位置づけられていました。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大による悪影響が表れ始めており、2020年5月12日には、ホテル系のインヴィンシブル投資法人が、主要テナントであるホテル運営会社の倒産を回避するために、賃料を減額し大幅な分配金の引き下げを発表しました、

これにより、投資家の警戒感が強まり、ホテル系のREITが軒並み大きく下落し、各企業がテレワークを推奨していることからオフィスの解約が相次いでおり、その影響が今後懸念されています。

例えば、ダイワJ-REITオープンを例に挙げると、20年2月末時点でのオフィスの組み入れ比率は全体の4割と最大であり、最大市場であったオフィスの動向が劇的に変わることにより、高利回り商品としての魅力が低下してしまう可能性が懸念されているのです。
 
こうした動きは日本だけではありません。

世界各国で似たような状態となっているため、その動向には引き続き注目しておく必要があります。

特に、分配利回りの下落により元本回収ペースが大幅に低下してしまう可能性があるため、現在保有している商品もしくは、今後REIT系の投資信託の買い付けを検討している投資家は、減配の可能性を意識しながら、

どの水準まで分配金が引き下げられたら、元金回収までにどれだけの期間を要するのか

をあらかじめ想定しておく必要があります。

あらかじめ、しっかりと想定して注視

リーマンショック後の動向と比較

リーマンショック時の新興国通貨の値動きを見ると、新興国通貨は暴落した後に元の水準までは戻っていません

外国債券で運用している投資家には、

超長期投資により外貨数量を金利で増やしていくことが解決策の1つ

として考えられます。

または、株による値上がり益での回復を目指すことも検討すべきですが、それにはリスクが伴いますので慎重に判断する必要があります。

REIT市場においては、リーマンショック以降経済が低迷期を迎えましたが、分配金を加味した推移ではその値は順調に回復に向かい、資産価値は上昇しました。

リーマンショック以降は主だった減配リスクがなかったために資産価値は増加基調となりましたが、現在の相場環境下では減配リスクが考えられます。

コロナショック以前に買い付けた投資家にとっては、元金相当額の回収が遠のいてしまう可能性があるのです。

そのため、分配利回りが低下しても以前と変わらない水準となるように買い増しの検討が必要になる可能性があります。

または、

分配金を受け取らずに再投資コースに切り替え、元本払戻金が続く間は口数を増やすことも打開策の1つ

として検討してみてもよいかもしれません。

先が見えずに不安でも冷静に

今回のコロナショックにより、外国債券で損失を抱えている投資家は、その回復までにかなりの期間を要する可能性があるため、

・ ロールして期間を延長し超長期運用をする

もしくは、

・ 株型の商品で値上がり益を期待する

など、慎重に判断をする必要が出てきています。

また、REITにおいては、分配利回りが極端に減配されるようであれば他の高利回りの投資信託に切り替え、元金回収ペースを引き上げるなどの対応が今後必要となってくる可能性があります。

損失を認めて撤退する方もいるかもしれませんが、現在の状況がどうなっているのかを冷静に見極め、慎重に投資行動に移るように心掛けましょう。(執筆者:白鳥 翔一)