1990年代から15年間以上、田中貴金属工業の純金積立をしました。

日本がバブル崩壊に見舞われた1990年前後は、世界的にも歴史の転換点でした。

1989年にベルリンの壁がなくなり、1991年にソ連が崩壊して東西冷戦が終結しました。

中国のGDPが日本を抜いて世界第2位になったのは2010年のことです。

今ふり返ると1990年から2010年までの20年間は、米中2大強国時代が訪れる前の落ち着かない時代でした。

現在の米中対立は世界に大きな影響を及ぼしていますが、対立の構図は分かりやすくなりました。

今回は私の純金積立の失敗経験から「金投資の目的」をテーマにお伝えします。

目的を見失って金を売却

落ち着かない時代に始めた純金積立投資

ヨーロッパの人々は紙幣を信用せず、財産を貴金属や宝石類で手元におくといいます。

戦争や動乱で、紙幣がいち夜にして紙くずになることはめずらしくありません。

日本も戦争、天災などで国家が破綻し、紙幣、株式、債券等が無価値になることは十分考えられます。

首都直下型大地震、南海トラフ大地震などの巨大災害は、いつ来てもおかしくありません。

日本の意思と関係なく戦争が始まることもありえます。

金価格は世界情勢が緊張すると上昇します。

1979年にイラン革命とソ連のアフガン侵攻があり、金価格は1980年1月に1gあたり6,495円の高値をつけました。

その後、米ソ緊張緩和で金価格は沈静化し、1990年には1gあたり2,000円を割り込むところまで下落しました。

このとき

「金購入を始めるタイミングが来た」

と思いました。

投資目的は明確で、戦争、天災に備えた永久資産を形成することです。

当時最も有名だった「田中貴金属工業の純金積立投資」に申し込み、毎月一定額の銀行引き落としによる金の積立購入を始めました。

落ち着かない時代ゆえの不安感が、金投資を始める背中を押したのかもしれません。

超低空飛行が続く金価格

ところが買い始めてからも金価格の下落は止まりません

やがて1gあたり1,000円から1,300円の間にへばりつき、一向に動かなくなりました。

超低空飛行が続く金の価格をグラフにしてみた

参照:田中貴金属工業 金価格推移

こうした時、母親の何気ないひと言が胸に突き刺さりました。

「金はどれだけ持っていても、利子も配当も生まない」

買っても買っても動かない金価格に嫌気がさしていた私は、ここで1度目のミスを犯しました。

新規の購入を停止しました。

安い時にたくさんの量を購入する「長期定額購入」のメリットを放棄したのです。

この時点での平均購入価格は1gあたり約1,300円で、そこそこの量がたまっていました。

新規購入は停止しましたが、初期の投資目的は忘れず保有は続けました。

じわりと上がり始めた金価格、その時悪魔が耳元でささやく

すると2005年に入った頃、金価格はじわりと動き始めます。

何の前触れもなく、ゆっくりと上がり始めました

投資家たちに気づかれないよう、息をひそめてひそかに動き始めたという感じでした。

この年、金価格は2,000円を突破します。

1gあたり1,300円から見れば50%以上の上昇です。

株式なら、利食いの局面です。

私は迷いました。

金購入の目的は戦争、天災に備えた永久資産の保有であり、値上がり益ではありません。

ここで売却すると、金投資を始めた意味がなくなります。

売るか持ち続けるか心は揺れましたが、そのとき悪魔が耳元でささやきました。

「今がピークだ、早く売らないと売り時を逃すぞ」

売り時と考える理由は、他にもありました。

その頃のドル円レートは110円台の後半でしたが、徐々に円高が進んでいました。

円高は金国内価格を押し下げます

インターネット取引が普及する以前の話で、近い将来の海外駐在が内定していたので、

「海外にいながら国内金価格をタイムリーに把握して売買するのは難しいだろう」

と考えました。

迷ったあげ句私は2度目のミスを犯し、2006年に何度かにわけて売却しました。

売り平均価格は1gあたり2,100円でした。

積み立てた金を売却

投資は目的を明確に、決して見失うべからず

2020年9月金価格は1gあたり7,400円を超えるところまで上昇しました。

「あの時売らずに持っていれば」という思いはあります。

しかし、投資の「たら」「れば」は何の意味もありません。

それよりも悔やむのは、戦争や天災に備えたはずの永久資産を中途半端に手放した愚かさです。

少し金価格が上昇すると、当初の投資目的を見失いすべてを売却してしまいました。

将来日本が戦争や天災に見舞われたときこそ、本当に己の愚かさを悔やむことになるでしょう。

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投資は目的を明確にして取り組む必要があります

目的がはっきりしないと、あわてて買ったりつい売ってしまったり、迷走します。

「投資は目的を明確に、決して見失うべからず」を忘れないようにしてください。(執筆者:根元 直角)