自宅売却で損をしないため、リフォームをせずに売却したほうがいいですが、現状のままでの売却はお勧めしません。

汚いままで放置された物件は、内覧(購入希望者が室内を見学すること)してもらえません。

設備が壊れっぱなしでは、買主は物件に不信感を持ち、他にも不備があることを疑います。

買主の希望は、取得後になるべく費用が掛からない物件です。

リフォームしたい箇所に、集中して費用をかけることです。

今回は再販物件のリフォーム工事を、3年間で70戸行った筆者が「自宅売却で損をしないため、リフォームをせずに売却する対策」をお伝えします。

売主の生活感をなくす

内覧のときに生活感があると買ってもらえない

中古物件の買主は、ほぼ間違いなく内覧をします。

買主が物件購入に前向きになるかは、内覧中に具体性な話にかかっています。

設備や家具の配置などを検討しだしたとき、契約の可能性は高くなることは、宅建士として不動産仲介をした経験から、実感があります。

購入希望者が契約を決断するためには、物件内で具体的に話ができる場所に限るので、汚い部屋では話は進みません。

そのために掃除は必須です。

衛生設備や壊れている設備は処分

便器に取り付けるウォシュレットの部分など、前所有者が使用した衛生設備は、できるだけ廃棄してください。

リフォーム業者が廃棄すると産業廃棄物として高額な処分費がかかるので、個人で区町村にて安価に処分することをおすすめします。

私物を置いておかない

内覧中の具体的な会話から、買主の発想が膨らみますが、私物は発想を妨げます。

よく買主が「次の入居者があると便利だろう」と思って家電などを置いておくことがあります。

筆者の経験では、ほとんどの場合、売主に撤去をお願いしております。

上記家電等とは、

・ 家具,電化製品
・ カーテン
・ 居室部の照明
・ 置き式のカーペット
・ 物干し台
・ 掃除道具
・ 使用していない文房具、生活雑貨

まれに、売主が「買主がリフォームするときに、廃材と一緒に処分してもらいたい」との要望が出ますが、これでは売れる物件も売れません。

修理・修繕の徹底

中古物件の買主は、リフォームしたい設備は故障していてもかまいませんが、利用したい設備は、そのまま使いたいと考えます。

売主は設備の経年劣化は致し方ないとしても、故障個所は修理しなければ値引きの根拠になります。

買主は希望箇所のリフォーム費用は承諾しても、故障個所の修理代を支払うのは不愉快です。

買主に修繕工事をさせないことが肝要です。

中古物件のリフォーム工事に携わって感じるのは、設備の一部部品の決戦や紛失のために、その設備全体を交換せざるを得ません。

その一部品のために、利用できるものも廃棄しないといけなくなります。

たとえばキッチンや洗面台の収納扉です。

売主が生活中に穴をあけてしまったなど致し方ない例もありますが、何かの都合でとり外しておいて、紛失してしまう例が多いようです。

最近は収納扉を1枚から制作してくれる会社があります。

しかし一枚だけ新品になると、木目調の違いなど、経年劣化しているその他の扉との違和感があります。

結局、使用するつもりだったキッチンや洗面台を交換することになります。

紛失すると、修理や再取得の際に、思わぬ出費がかかるもの

・ ドアノブ

ロットごとにサイズが変わる恐れあります。また扉と枠の交換が必要な場合あります。

・ 鍵

コピーキーも含めたすべての鍵を渡さないと、前所有者が入室できるためシリンダー交換が必要です。

分譲マンションだとのオートロック設定変更も必要です。

・ 網戸の枠

・ エアコンのリモコンやフィルター

・ カーテンレール

築年数,建物の種別の注意点

建物の築年数と種別毎に、注意点を紹介します。

1. 築浅物件と古い物件

築年数は古くても新しくてもいろいろと問題

a. 新築10年未満位の築浅物件

築浅物件は、売価が高くリフォーム等の必要性が低いことが特徴です。

再販業者にとって築浅物件は、仕入れ値が高く利益が出る案件ではありません

また借入利息を少なくするために「素早く仕入れて、早く売りぬく、手離れ良くしたい」と考えます。

できるだけ早く入居できる状態にすることが肝要で、「即入居可」状態が理想です。

手離れの良さも重要なので、修繕をしっかり行い、設備等の取扱説明書をそろえておくのがポイントとなります。

b. 古い物件

古い物件はフルリフォームやリノベーションが前提となります。

マイホームの「ベース」として内覧しますので、清潔感を出すため、清掃を行ってください。

売主の生活感を出さないため、残置物を置いておかないことが前提です。

売主が住居中にリフォーム等を行った場合は、その履歴(契約書や仕様書、取扱説明書)を明確にしておくのが肝要です。

2. 分譲マンションと戸建て

a. 分譲マンション

分譲マンションは建物内に同じような間取りの居室が並んでいます。

また東京カンテイ等の不動産調査の会社から、分譲マンション販売当時の資料や過去の売却事例を手に入れられます。

それらを使えば、相場や販売状況を把握できます。

その情報に沿えば、物件のレベルに見合う売買ができます。

ランク、立地に合わない販売方法やリフォームをすると、市場とのミスマッチを起こす可能性があります。

・ ハイランク → 利便性が高い物件で、安価な設備だと見劣りする。

・ ローランク → 利便性に劣る物件で、高価な設備を入れても、購入者の上限以上の売価は見込めません。

上記の状況を把握しているかどうかで、売却の方向性が大きく変わります。

b. 住宅

一般的にハウスメーカーの住宅は担保価値が高く、地場の工務店の受託は担保価値が低い傾向があるが、中古物件の相場は値付けが難しいとされます。

住宅の場合は売買事例も少なく、建物の査定が難しいこともあり、売値が決めにくい状況にあります。

最近は大手ハウスビルダーが、とても安価に建売戸建て住宅を販売しています。

ハウスメーカー等の中古住宅よりパワービルダーの新築住宅の方が安くなってしまい、売却に苦労する事例をたびたび耳にしております。

再販会社でも、リフォーム等再投資に慎重にならざるを得ません。

買主のニーズを知り売る

買主の希望は、リフォーム工事での出費を抑えることです。

その対策として買主が継続して使いたい設備は使えるようにしておき、リフォームしたい箇所に、資金を集中できるようにします。

人口減で住宅が余るようになり、中古住宅市場は拡大し続けています。

売却について競争相手の存在を意識して、買主のニーズをつかむと良い条件で売却できます。(執筆者:金 弘碩)