昨年は初めての緊急事態宣言下ということもあり、新入社員研修が急遽キャンセルとなるケースが多々みられました。
今年はオンラインでのセミナー開催等、企業側の努力によってスムーズに、新入社員の方々も学んでいます。
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目次
例年に比べて危機意識の高い方が多い傾向
今年の新入社員の傾向は、総じて「真面目」です。
コロナショックによる採用減少等を反映し、例年に比べて危機意識の高い方が多い印象です。
肌感覚として、リーマンショックの時と同じ雰囲気を有していると感じています。
さて、筆者自身は44歳の年齢となり、新入社員の皆さんとは20歳以上の差があります。
自分の見る風景は毎年変わらないものの、新入社員から見える筆者は、確実に「おじさん」となっていることを否定できません。
経済や金融を新入社員に話す際の注意点
ここで、私たちおじさん、つまり中高年の世代が、経済や金融を新入社員に学ばせようと考える際、つい使ってしまうのが「バブル経済」と「リーマンショック」です。
日本経済を語る上で、欠かすことができない二大転換点と呼べるかもしれません。
しかし、新入社員の立場になってみると、リーマンショックの頃は小学生か中学生、バブル経済に関してはもはや生まれる前のことです。
どれだけ私たちが熱く語ったところで、魔法瓶(ステンレスボトル)のごとく、脳内まで伝わることなく跳ね返されてしまうことでしょう。
「現状把握」・「将来予測」から
振り返ってみると、現在45歳前後の人たちが新入社員だった頃、先輩方からよく聞かされたのが、プラザ合意による円高不況やオイルショックでした。
思い出してみて、それらの知識を社会人生活に役立てたことがあったでしょうか。
せいぜい、コロナ禍で起こったマスクの買い占めが、トイレットペーパーに置き換わるくらいのものでしょう。
もちろん、その中身を分析すれば、将来のヒントとなるべき情報がたくさんあるでしょうが、金融関係で働く人以外は、しっかりと学ぶ必要性はそれほど高くなかったかもしれません。
それでも、歴史は繰り返すと言います。
だからこそ、私たちは過去にあったことを伝え、若者に役立ててもらいたいと思います。
しかし、話の受け取り手が同じ思いでいるとは限りません。
今さら「Japan as No.1」だったと言っても、「今は違うんだから関係ない」とスルーされることがほとんどでしょう。
つい中高年の私たちは、「過去から学ぶ」ことから始めてしまいがちですが、「現状把握」・「将来予測」から始めないと、若い人たちに興味を持ってもらえないのではないでしょうか。

現状を語りつつ、やるべきことを明確に
たとえば、「バブル経済の頃の日本はすごかった。でも、今は中国にもGDPで抜かれ、低成長が続いている」と話しても、新入社員の学習意欲に結びつかないことでしょう。
そこで、
といった形で、現状を語りつつ、やるべきことを明確にしてあげることが必要ではないでしょうか。
若かりし頃に「課長の話、なげぇ~な~」と感じたことを思い出し、新入社員に同様の思いをさせないよう、私たち中高年も伝え方に工夫をしていきましょう。(執筆者:小山 信康)