株主優待制度は縮小や廃止の傾向がありますが、小売店や飲食店は株主優待（割引制度）を目的に株式を保有されている個人の方も多いことからまだまだ健在です。
今回は、8月に権利が確定する百貨店の株主優待制度をご紹介します。
最後に株主優待目的で購入される際の注意点についてもお伝えします。
各優待内容は、2022年6月28日時点での内容になっております。今後、各社の方針により内容が変更になることがございますので、ご注意ください。
目次
高島屋（8233）
【特色・事業内容】
東京、大阪、名古屋、福岡と大都市を中心に全国展開する創業1831年の老舗百貨店。
上海、シンガポール、サイゴン、ホーチミンと海外展開も行う。
【株主優待の内容】
●株主様ご優待カード（10%割引）
高島屋各店でのお買い物（割引対象商品に限る）において、限度額の範囲内（※）で10％を割引き（割引額の1円未満は切捨て）。高島屋オンラインストアでの利用も可能。
・割引対象外の品目（一部抜粋）
商品券、タカシマヤギフトカードなど商品券類、たばこ、食堂（イートインコーナー含む）、喫茶、旅行費用、送料、ブランド品（エルメス、カルティエ、シャネル、ティファニーなど）など
（※）100株以上500株未満：利用限度額 半年間30万円、500株以上：利用限度額なし
●高島屋文化催の無料入場
株主様ご優待カードの提示により、3名まで高島屋各店で開催する有料文化催に無料で入場できます。
参照：高島屋
【最低購入金額】
約13.2万円（2022年6月28日時点）
J.フロントリテイリング（3086）
【特色・事業内容】
百貨店事業の「大丸」「松坂屋」が主力。全国主要都市に13店舗を展開。また、ショッピングセンター「PARCO」を18店舗展開している。
【優待内容】
●大丸・松坂屋お買い物ご優待カード
大丸・松坂屋各店でのお買い物（割引対象商品に限る）において、限度額の範囲内（※）で10％を割引き。
2022年6月1日より大丸松坂屋ONLINE STOREでの利用も可能。
（※）100株以上500株未満：利用限度額 年間50万円、500株以上1,000株未満：利用限度額 年間100万円など
8月末の新規株主の場合には、上記の限度額を半額に設定したカードを発行
100株以上を3年以上継続保有し続けた場合には、利用限度額が100万円増
・割引対象外の品目（一部抜粋）
書籍、たばこ、切手・印紙類、商品券類、送料・箱代・修理代、レストラン・喫茶、理容・美容室、エステティックなどの施術サービス、旅行代金、ブランド品（ルイ・ヴィトン、ティファニー、ブルガリ、カルティエ、エルメス、シャネルなど）、石井スポーツ、ユザワヤ、ラオックス、ヨドバシカメラなど各社が指定したもの。
●有料文化催事の無料入場
「大丸・松坂屋お買い物ご優待カード」の提示で、大丸・松坂屋各店、パルコ各店の直営ギャラリーでの有料文化催事に持参人と同伴者1名が無料で入場できます（一部優待の対象外となる場合もある）。
●パルコ買物優待クレジットカード（希望者に限る・申し込み要。100株以上）
パルコ各店舗およびPARCO ONLINE STOREでこのクレジットカードでお買い物をすると、請求時に5％割引。（一部のショップ、商品・サービスは対象外、PARCOポイント付与の対象外）
参照：J.フロントリテイリング
【最低購入金額】
約11.5万円（2022年6月28日時点）
近鉄百貨店（8244）
【特色・事業内容】
近鉄グループの主要企業。あべのハルカス近鉄本店を中核として、大阪南部、奈良を地盤に展開している。また、商業施設も大阪市内にて運営。
【株主優待の内容】
●株主様お買物優待カード
近鉄百貨店でのお買い物（割引対象商品に限る）が10％割引(CD・DVD、書籍等は5％割引)。利用限度額は有効期間内につき一律300万円(税別)。
・割引対象外の品目（一部抜粋）
たばこ、ギフト通信販売商品およびインターネット販売商品、各種商品券類、各種サービス類(レストラン、喫茶、美容室、理容室、写真室、修理代など)、送料、ブランド品（ルイ・ヴィトン、ティファニー、カルティエなど)など。
●有料文化催事への無料入場
「株主様お買物優待カード」の提示により２名まで、近鉄百貨店各店で開催する有料文化催事に無料でご入場できます。
●株主様ご優待クーポン券
食事、レジャーなどで使用できる優待券冊子を1冊贈呈。
＜クーポン内容＞
・近鉄百貨店レストラン街ご優待券：10枚
あべのハルカス近鉄本店、上本町店などの各レストランなどで3,000円以上(税別)の飲食代金(税別)を10％割引。（優待券1枚で30,000円(税別)利用可能。一部割引対象外のメニューあり)
・近鉄文化サロンご入会優待券：1枚
・近鉄百貨店全店の無料駐車1時間延長券(※東大阪店・名古屋店は除く)：5枚
・近鉄百貨店オリジナルエコバッグお引換券1枚（2月末のみ）
・あべのハルカス展望台「ハルカス 300」入場ご優待（割引）券：2枚
・志摩スペイン村「パルケエスパーニャパスポート」ご優待（割引）券：2枚 など
・都ホテルズ＆リゾーツご優待（割引）券：宿泊5枚、ご婚礼1枚
参照：近鉄百貨店
【最低購入金額】
約24.1万円（2022年6月28日時点）
株主優待目的で株式を購入する前に確認しておきたいこと
他の優待・割引制度（友の会）などとの比較を行う
百貨店の優待・割引制度は株主優待制度だけではありません。
例えば、各百貨店ではデパート積立（友の会）を実施しているところも多くあります。
1万円ずつ12ヶ月積立てることで、積立額に1万円（1か月分）がプラスされることや、友の会会員用の宿泊・食事・美容などの優待施設も特典として用意しているケースもあります。
また、百貨店独自のクレジットカードとのサービスの比較も必要です。
株主優待制度で欲しい買い物にも利用できるのか？
株主優待（割引）制度は、百貨店で取り扱っているすべての商品が対象となる訳ではありません。
特にブランド品については優待（割引）の対象外となっていることが多いです。
それぞれ、割引を目的とした商品が優待制度の対象になっているのかを各百貨店のホームページの株主優待の項目で確認しておきましょう。
価格変動リスクに注意
百貨店業界はコロナ禍前ではインバウンドの需要もありましたが、売上高は減少傾向にありました。
最近は、コロナ禍における行動制限の解除や緊急事態宣言の休業の反動により百貨店の売上高は対前年比プラスの月が多くなっていますが、インバウンド需要の回復はまだまだ先だと言われています。
したがって、株価にも一時的なものも含めて影響があります。株価に一喜一憂しないとともに、優待が目的なので株式は持ち続け配当も受け取ることで元は取る、など個々の方針は必要でしょう。（執筆者：CFP、FP技能士1級 岡田 佳久）
