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退職金も増税対象になる? 退職所得の課税関係と今後の動向を解説

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退職金も増税対象になる? 退職所得の課税関係と今後の動向を解説

SNSで話題になるのは、残念ながら減税よりも増税の話の方が多く、令和4年10月に行われた政府の税制調査会では、退職金に対する実質的な増税が議論されました。

今回は退職金に対する課税のしくみと、税制調査会で議論されたポイントについて解説します。

退職所得の課税関係と 今後の動向を解説

退職所得に対する課税のしくみ

退職所得とは、退職時に勤務先から受ける退職手当てなどをいいます。

長年勤めていた職場を退く際に受け取る退職金は高額になることも多く、税制改正で課税関係が少しでも変わると、納税額が大幅に増加する可能性も否定できません。

退職所得の金額は、以下の計算式により算出します。

<退職所得の計算式>

(収入金額-退職所得控除額)×1/2(※)=退職所得の金額

※退職手当等が「特定役員退職手当等」に該当する場合、上記の2分の1計算の適用はなく、「短期退職手当等」は退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額のうち、300万円を超える部分も2分の1計算の対象外です。

退職所得控除額は、勤務年数に応じて控除額が増えるのが特徴で、勤務年数が20年を超えると1年あたりの控除額が上乗せされます。

たとえば10年1か月勤務した会社を退職した場合、退職控除額は440万円となりますので、退職金が440万円以内であれば退職所得に対する税金は発生しません。

<退職所得控除額の計算式>

勤続年数(※)退職所得控除額
20年以下の場合40万円×勤務年数

(80万円に満たない場合には80万円)

20年超の場合800万円+70万円 × (勤務年数-20年)

※1年未満の勤務年数は切り上げて1年とする。

税制調査会で議論された退職金課税のポイント

退職所得は勤務年数に応じて控除額が増えますので、同じ会社で勤めている期間が長い方ほど控除額が多くなる仕組みです。

ただ現在の日本では働き方が多様化しており、税制調査会では退職所得控除額が勤務年数によって増額するのは、転職の妨げになる可能性があるとの指摘がありました。

そして退職金課税を現在の働き方に合う形にするために、勤務年数に応じて退職所得控除額に差が生じないよう、制度を見直す意見も出ました。

今回の退職金課税の見直しは税制調査会における話でしたので、退職金の増税がすぐに行われるわけではありません

しかし税制改正は税制調査会の意見も踏まえて実施されることもあるため、将来的に退職金課税関係が変わることは十分考えられます。

iDeCoも退職所得の対象

政府が推進しているiDeCoは、掛金が全額控除されるなどのメリットがある一方、受取時には所得税の課税対象となります。

年金のように分割で受け取る場合は雑所得一括受け取りする際は退職所得の対象です。

一括受け取りする最大のメリットは、退職所得控除を適用できることでしたが、税制改正で退職所得控除の見直しが行われた場合、将来受け取るiDeCoの金額に対して課される税金が増える可能性があります。

税金は受け取るタイミングや方法によって課税関係等が変わりますので、税金に関する法律改正が行われるときは、概要だけでもチェックすると対策を講じやすくなります。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

《平井 拓》
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平井 拓

執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

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