ふるさと納税は、自治体に寄附をすることで税金の還付を受けられるだけでなく、返礼品をもらえるのも魅力の制度です。
しかし返礼品が魅力的で、限度額を超えて寄附をしてしまうこともあります。
そこで今回は上限を超えてふるさと納税を行った場合の取扱いと、対処法について解説します。
目次
限度額を超えた部分の寄附は控除対象外
ふるさと納税は、2,000円を差し引いた金額が所得税または住民税から控除され、税金が還付される仕組みです。
控除対象のふるさと納税の額は、所得税の場合は総所得金額等の40%、住民税は総所得金額等の30%が上限と決まっていますので、上限を超えた分の寄附については控除対象外となります。
ふるさと納税自体に金額の上限はないため、地方を活性化させるために節税面を度外視して沢山の寄附を行っても問題はありません。
超過分に対する応急処置は原則無し
ふるさと納税を利用する際、寄附金控除の対象となる金額の上限だけでなく、節税効果のある金額も確認しなければなりません。
所得税や住民税は、課税される所得金額に応じて納税額が算出されますので、納税額よりもふるさと納税の額が多いと、控除しきれず余ってしまいます。
会社員や公務員は、その年の所得が決まっていますので、超過した分の寄附も控除対象とする方法はほとんどなく、後から寄附した年分を変えることもできません。
そのため、ふるさと納税を行う前に、節税効果が得られる上限の額は確認しておきましょう。
寄附した後に控除限度額を引き上げる方法
寄附した金額が控除限度額を超えてしまった場合、寄附した年分の所得を増やすことで限度額を上げる対処法があります。
事業を行っている方であれば、その年分の利益を伸ばすことで控除限度額を引き上げることが可能です。
会社員・公務員の方でも、不動産や株式を所有している場合には、資産を売却して利益を確定させるのも一つの方法です。
また仮想通貨取引やFX取引による利益を確定させることで、控除限度額を引き上げることもできますので、寄附した金額を無駄なく活用したい場合は、所得を増やしてください。
控除限度額を見極める際の注意点
ふるさと納税の控除限度額の計算シミュレーションは、ふるさと納税サイトに掲載されていますので、そちらで確認することもできます。
しかし具体的な控除限度額を知るためには、申告する本人が対象年分の所得金額や所得控除、税額控除の額を正確に把握していることが前提条件です。
確定申告を行ったことが無い人は、自分の所得金額等を知らないことも多いですので、自分の所得状況等を確認してから、ふるさと納税を行ってください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)