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注文建築の「坪単価」について 建築費が影響を受ける要因など解説

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注文建築の「坪単価」について 建築費が影響を受ける要因など解説

注文建築を考えるときに少し困るのは「建築費はいくらか」が最初には分からないことではないでしょうか。

建売住宅とは違い、オーダーメードですから、これから打ち合わせを進めて、どんな間取りでどんな仕様にするのかが明確にならなければ、見積書も作成できないので当然です。

一方で金額の目安が分からなければ、このまま商談を進めてもよいのかを判断しづらいのも事実です。

打ち合わせが進んでいない段階では、営業マンも過去の実績としてこんな仕様でこんな面積で建築した方は建築費がこれくらいだったと参考程度に応えることしかできないものです。

それだって「三丁目で昨年建築した佐藤さんの家はいくらだった」とは言えないので、大雑把に伝えるしかありません。

そんな時に目にする情報の一つに「坪単価」というものがあります。

今回はこの「坪単価」について触れたいと思います。

注文建築の「坪単価」について

「坪単価」ってなに?

恐らく今、坪単価の「坪」は不動産や建築に関わっているときにしか耳にする機会はないかもしれません。

「坪」は、日本古来の尺貫法の面積の単位です。

正式な契約書には㎡で表記されますが、不動産や建物の面積を表す単位として、今も慣習として使われています。

大雑把に言うと、1坪=3.3124㎡(約3.3㎡)です。

建築における坪単価は、単純に「坪単価に建築したい面積を掛ければ建築費が出てくるもの」と捉えている方も少なくありません。

筆者もかつて住宅展示場に勤務していた頃、来場される方の中には「おたくの坪単価はいくらなの?」と玄関先で聞いて回っている人もいました。

何も打ち合わせをしていない段階で「当社は坪単価60万円で建築を請け負っています」なんて言えるものではありません。

なぜなら、建築費は図面ができ上がってから、使用する建材の数量を積み上げる積算をしないと出せないからです。

あらかじめ面積当たりの単価が決まっていて、面積を掛ければ出てくるわけではないのです。

坪単価は積算をして算出して出した建築費を面積で割って出てくるものなので、最後に計算できるようなものです。

そして全く同じ間取りで同じ仕様の建物を建築しようとしてもAさんとBさんでは建築地の条件が違えば建築費も変わってきます

ですので、営業マンもいきなり「坪単価は?」と聞かれても明確に答えづらいものです。

建築費は何に影響を受けるの?

建築費が影響を受ける要因は大きく3つあります。

1. 社会情勢による影響

2. 建築地による影響

3. 仕様などご自身の選択による影響

最近は日常用品も値上げラッシュです。

その要因もニュースでいろいろと解説されていますので、物の値段って実はさまざまな要因に影響を受けているのだなとあらためて実感します。

建築費も同様です。

1. 社会情勢による影響

木材を始め、家を建てるのに必要な建材の多くは輸入されています。

その為、燃料費の高騰は他の日用品同様に建材も影響を受けています。

それだけではなく、東日本大震災の後には石膏ボードの工場が被災し、製造ができずに品薄になるようなこともあり、そもそも入手しづらい状況になり、仕入れ値に影響していたこともありました。

数年前には、コロナ禍での海外の木材生産拠点の操業停止などの影響による「ウッドショック」と呼ばれる木材が手に入らなくなる状況が生じました。

建築費はこういった外部要因による影響も受けています。

2. 建築地による影響

同じ間取りで同じ仕様の建物を建築しようとしても建築地による条件で建築費が変わることがあると触れました。

具体的に上げると次のようなことに影響を受けます。

A)地盤の良し悪し
B)施工のしやすさ

A) 地盤の良し悪し

地盤の良し悪しによる影響はイメージが付くと思いますが、地盤が悪ければ地盤改良工事や杭工事が発生します

一方で地盤が良い場合はそういった費用は発生しません。

地盤の良し悪しは、正確には、地盤調査を行い判断する必要がありますが、建築地周辺に建築実績がある会社であれば、おおよその傾向は掴めます。

建築する建物の面積と必要な地盤改良の程度により費用は数十万円から数百万円まで幅があります。

B) 施工のしやすさ

施工のしやすさとは、クレーンなどの重機やどの大きさのトラックが入れるか?ということです。

敷地が広くても、敷地に至るまでの道が狭いと重機が入れず、建材の運搬や作業そのものに多くの人出を投入しなければいけないことで建築費が増える可能性があります。

敷地まで問題なくクレーンは入れるけど、敷地周辺は建物が迫っていて、クレーンを回せないなど施工上の制約が出てくることもあります。

使えるクレーンがもしなければ、最終的には人手を多く投入しなければいけないということになり、やはり建築費が増える要因になります。

また、地域のルールで工事できる時間に制約がある場合なども本来ではあれば2日間で終えられる工程を3日間確保しなければいけなくなれば、その分、建築費も増えることにつながります。

3. 仕様などご自身の選択による影響

1も2もご自身ではどうしようもない要因ですが、3はご自身で調整が可能な要因かもしれません。

建物の面積や仕様による建築費への影響です。

どんな間取りにして、どんな設備を選ぶかによる影響です。

ご自身で予算を踏まえながら調整できる部分ではあります。

ただ予算ばかり気にして、何も要望が実現できないようになるのも本末転倒ですが、打ち合わせで夢が膨らみ過ぎて、建築費が増えないように冷静な部分も残しておかなければいけません。

こんな感じに建築費はさまざまな要因の影響を受けます。

その為、単純に同じ間取りで同じ面積でも建築費が同じにならないことはご理解いただけるかと思います。

では、坪単価を聞くことは無駄なのかというとそうでもないと思います。

ただ聞くときに気を付けたいことがあります。

坪単価ではなく、建築費総額の実績を聞いてみる

坪単価は何も打ち合わせが進んでいない段階で聞いても正確性は正直、低い可能性が高いです。

初期段階では、その会社のおおよその建築費の目安を知りたいのも事実です。

それなら坪単価ではなくこんな風に質問してみてはいかがでしょうか。

「御社で〇坪くらい(ご自身が検討している広さ)の家を建築する場合、どのくらいの予算で契約されている方が多いですか?」

「御社で建築されている方は〇坪くらいの家を建築する場合、総額でどれくらいの金額で計画している方が多いですか?」

これでもまだ答え辛さはありますが、実績の話なので漠然と坪単価を聞かれるよりは答えやすいと思います。

想定される回答は

「〇万円~〇万円くらいです」と幅を持たせたものになるかもしれません。

その場合、金額の差は何が原因ですか?と質問してみると何か特殊な要因があったのかそうではないのかなど金額の目安が掴みやすくなるのではないでしょうか。

商談を進めるかどうかを判断する要因のひとつに建築費の目安が含まれるのは当然のことです。

建売住宅のように販売価格が明確になっているのなら比較もしやすいですが、注文建築の建築費の目安は見積書が作られる前にはなかなか把握しづらいと思います。

金額を知る手段を知っておくと、無駄な出費を回避できます。()

《佐藤 陽》
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佐藤 陽

佐藤 陽

FPオフィスケルン 代表 住宅取得相談専門のFPとして住宅取得に伴う資金計画・住宅ローン相談、不動産購入に伴う様々な不安を解消するサポートを行なっています。特に住宅ローンについては机上の相談だけではなく、融資申込~融資実行までの実務サポートを行っています。15年間在籍したハウスメーカーでの年間300件超の住宅ローン業務の経験を活かし会社経営者や個人事業主など住宅ローン審査が厳しい方のローン付けも全面的にサポートしています。ケルンという事務所名は登山道の道標からもらっています。相談者の人生の道標を作るような仕事をしたいとの想いから付けました。 <保有資格>:ファイナンシャル・プランニング技能士(2級)(AFP) / 宅地建物取引士 / 建設業経理事務士 寄稿者にメッセージを送る

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