やがて、「定年は65歳」という世の中が普通になるでしょう。
なぜなら、私たちの親の世代が働いている時代に「定年55歳」から「60歳」になり、いまの多くの人は「定年55歳」時代を知りません。
変革期には衝撃的なことも、20年~30年も経てばカラダに馴染んで普通になります。
今年51歳になる男性から、そして今年46歳になる女性から、厚生年金の受給開始年齢が65歳からになります。
現在は段階的に受給開始年齢が引き下げられています。
男性は、2013年度に61歳からとなり、以降は3年ごとに1歳上がって2025年には65歳開始となります(女性はその5年後)。
60歳代前半の無年金期間をどう過ごすか?・・・・これは大きな社会問題。
60歳で定年退職して最長5年間、無収入で年金を受け取れないとなると、貯蓄が急激に減っていきます。・・・年金がないために生活保護世帯が増えるとたいへんです。
安定的に収入が確保できる方法・・・それが、会社に65歳までの雇用を義務づけること。
これまでも65歳までの雇用の安定を図る仕組みはありました。
「高年齢者雇用安定法」という法律です。
しかし「義務」ではありませんでした。
8月にこの法律の改正案が成立。義務化されることになりました。
心身の健康状態が悪い場合などを除いた希望者全員が継続雇用の対象になります。
もちろん、希望しない人たちは対象外。
60歳の時点で十分な財産がある人で、他に生きがいを見つけた人は、継続雇用を希望しないでしょうね。
企業のなかには、60歳代前半の人たちの人件費を捻出するために、若い人たちの昇級を抑えて対応するところも出てきそうです。
収益の拡大によって、若い人たちの昇級も、60歳代の人件費もカバーできればよいのですが・・・
この7月に政府の国家戦略会議の分科会が、「40歳定年制」を打ち出しました。
狙いは、雇用の流動化を図るため。
マクロな観点から人材の適材適所を進めるため。
一時的に話題になり、非情なリストラ社会を招くと批判が相次ぎました。
制度や仕組みに正解はないのでしょうが、それに翻弄されるのではなく、働いている人自身が、主体的に自分の人生をよく生きるために「仕事」を捉えることが、これまで以上に必要になってきそうです。
年齢に関わりなく仕事ができて、しかもその仕事は単なる形式的な仕事ではなく、ちゃんと価値を提供できるもの。提供した価値の対価として相応な報酬を受け取る。
いつまでもそんな仕事を続け、心のどこかのそっと誇りも持っていたいものです。