租税特別措置法第39条に規定する「相続財産に係る譲渡所得の課税(取得費加算)の特例」があります。これは相続または遺贈により取得した財産で相続税が課税されたものを相続税申告書の提出期限(の翌日)から3年以内に譲渡した場合、課された相続税の一部を必要経費(取得費)に加算する特例です。
この加算する相続税額は、次のとおりです。
1.譲渡資産が土地等(土地の他、借地権等を含むという意味)の場合
譲渡した者の相続税のうち、全ての土地等(ただし物納した土地等などを除く)に対応する相続税額
2.譲渡資産が土地等以外の場合
譲渡した者の相続税のうち、その譲渡した財産に対応する相続税額
この特例ですが、平成25年度税制改正で上記1の土地に関する特例が廃止される模様です。そもそもバブル期の土地高騰期にこの土地特例が設けられました。これは相続財産のうち土地を売却して相続税の納税資金に充てることは多いのですが、当時は多額な譲渡所得税までもが課税されてしまうことから譲渡所得税の負担軽減を図って設けられた特例です。
しかし、地価が下がった現在、実際に譲渡していない土地等に対応する相続税額も必要経費に算入されるため譲渡所得課税がほとんど行われていないことに会計検査院より異議がでて、土地等を含めて上記2の取扱いに統一するようです。
なお、この計算方法は具体的には、措置法施行令第25条の16に規定されていることから法律(国会決議必要)ではなく政令(国会決議不要)の改正となりそうです。
いずれにしても相続税の納税資金対策に影響を与えることもあるため、平成25年度税制改正大綱の要チェックポイントでしょう。