実は、筆者自らも株主優待投資を実践している。株主優待狙いの銘柄選びのポイントを解説しよう。
目次
株主優待狙いの銘柄選びのポイント
まず、株主優待は、どんなに魅力的で、金額換算した実質的な優待利回りが高くても、自分がもらって使えるものでなければ、基本的にメリットはない。よって、株主優待狙いの銘柄選びのポイントは、自身の生活の中で使用し、なおかつお得感のあるものを選ぶことが重要だ。そして、株主優待目当ての投資は、最小投資単位で優待を獲得した方が、実際の利回りは有利であることを知っておこう。
「ビックカメラ」を例に解説
私自身もよく利用する家電量販店の「ビックカメラ」が、実施している株主優待を例にとってみる。
ビックカメラの株主がもらえる買い物優待券は、100株以上で3,000円分、500株以上で5,000円分、1,000株以上で1万円分、10,000株以上で5万円分となっています。利回りだけから考えると、最少投資単位である100株だけの保有が一番お得なのは、以下の計算例から一目瞭然だ!
ビックカメラ株の場合、最少投資単位78,500円(6月30日時価)という比較的小口資金で、3.8%の優待利回りが得られる。しかも、株主優待へは課税はされない。投資資金が比較的小口で済むため、今年夏に支給されるボーナス資金の一部で、十分に投資可能であろう。また、幸いにもボーナスが増えていて、投資する余力がある人は、他の複数の優待銘柄に分散投資をすることも可能だ。
100株保有で、優待利回りは3.8% [3,000円買い物券÷(785円×100株)]
1,000株保有で、優待利回りは1.2% [10,000円買い物券÷(785円×1,000株)]
10,000株保有で、優待利回りは0.6% [50,000円買い物券÷(785円×10,000株)]
ビックカメラ株の場合、株式配当も1株あたり10円(予想)実施される見込みであり、配当利回りは税引き前で1.27%(1,000円÷78,500円)とそれほど高くはないが、株主優待と配当金を合わせた、トータルの株主還元利回りは、5.1%[(3,000円+1,000円)÷78,500円]にもなる計算だ。
もちろん、株式投資である以上、株価は日々変動をしており元本保証はない。投資した購入価額より株価が5%以上、下落すれば、株主還元利回りで得た利益は、計算上帳消しになってしまう。
そこで、株主優待を目当てにした賢い投資を実施するうえでも、投資タイミングが重要になってくるのだ。株主優待と配当の権利確定月が2月と8月なので、権利落ちした直後の2月末~3月初旬もしくは、8月末~9月初旬頃、株価がある程度下落したタイミングを見計らって、安くビックカメラ株を購入するのが賢いかもしれない。
個人的にお勧めする優待銘柄
尚、ビックカメラ株と比べて、最低投資金額が増えてしまうが、個人的にお勧めする優待銘柄は、コロワイド株である。優待利回りは、なんと6.3%(6月30日の株価終値1,267円をもとに計算)にもなる。500株保有で、優待利回りは6.3%[株主優待カード40,000円分÷(株価1,267円×500株)]
株主優待として、全国のコロワイドグループで使えるポイントが年間に40,000円分ももらえる。1円単位でポイントが使えるため、お金を一切払わずポイントだけで食事ができてしまう。また、ポイントを使えるお店は全国に相当の数あるため、利用価値は非常に高いと言えるだろう。ちなみに、筆者が優待カードを使って食事をするお勧めの店は「ステーキの宮」である。
株式投資の最大の魅力は、あくまでハイリターンの値上がり益であり、株主優待はおまけ程度に考える方が無難かもしれない。株主優待ばかりに目を奪われるあまり、高値で優待銘柄株へ投資してしまい、何年も含み損を抱えて塩漬け株にしてしまうのは本末転倒だからである。
しかしながら、個人投資家を増やすため、魅力的な株主優待を提供している上場株が多数あることは確かであり、それらの企業へ投資し、お得な株主優待を利用することは株式投資の楽しみでもある。夏のボーナスをきっかけに、株主優待投資を始めてみてはどうだろう?NISA・少額投資非課税制度が始まった今年は、小口資金からでも投資を始める絶好の環境・好機なのかもしれない。(執筆者:完山 芳男)