目次
10年を超える火災保険の新規契約廃止へ
先日の新聞報道で「10年を超える火災保険の新規契約の引き受けを来年(2015年)の秋にも停止する」と報じられました。すでに最大手の損害保険ジャパン日本興亜や三井住友海上火災保険などの主要社が、10年を超える新規契約を「来年度にはやめる」(大手首脳)方向で最終調整しているようです。
理由は、異常気象による建物被害が増加傾向にあり、長期契約での収支予測が難しくなったためとのことです。
*今年7月に損害保険料率算出機構により火災保険の参考純率の適用期間を10年までとする改定が実施されております。
住宅の火災保険は現状、最長36年
現状、住宅の火災保険は最長36年で新規契約が可能です。住宅だけがもともと特別扱いで、専用店舗や工場などは概ね、最長5年なのです。これは、住宅ローンが最終完済年齢などをクリアすれば35年で組めるところからきています。(金消契約時からだと36年が必要になるため)
余談ですが、幣代理店の過去の損保担当者から聞いた話ですが、過去にもこの10年超廃止案はあったそうです。ですが、金融機関からの抵抗があり無くなったとのことでした。金融機関は、住宅ローン債務者の“ 無保険状態リスク ”を恐れたのでしょう。
長期契約のメリットとは
では、長期契約にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリットは、もちろん保険料の割安さです。下記の表をご覧ください。
注)長期係数は損害保険会社によって異なる場合があります。
これは、火災保険の一括払いの長期係数表ですが、ご覧のように保険期間が長くなればなるほど割安になるようになっております。
例えば、10年であれば年払いで10.0となるところが8.2 、35年であれば年払いで35.0となるところが24.25 となり、18~30%強も割安となっております。
そのほかのメリットとして、保険料値上げの悪影響を受けません。
既に、損害保険料率算出機構は2015年7月2日に火災保険の参考純率を改定すると発表しており、住宅総合保険の参考純率は平均で3.5%引き上がる予定となっております。これによって概ね、損害保険会社の対応は値上げ方向となるでしょう。
注)全ての契約が一律値上げになるとは限りません。各社の対応次第です。
今後数十年の間に何回値上げされるかは定かではありませんが、自動車保険のようになれば、その恩恵はかなり大きくなります。
長期契約のデメリットとは
では、デメリットはというと、
(2) 保険料が割安とはいえ、一時的な負担が大きいこと。
(3) 保険料が万一、値下げとなっても考慮されないこと。
などです。
しかし、新価(再調達価額)・実損払いで補償される現行商品より補償が劇的に良くなる確率や保険料が値下げになる確率は、現状を踏まえれば低いといえるでしょう。又、一時的な負担が大きいとはいえ、住宅ローンの借入額を増額して対応しても現在の金利状況を踏まえれば、メリットがでる場合のほうが多いでしょう。
注)メリットの方が大きいかどうかは必ず、確認してください。
火災保険の見直しについて
まずは、現在加入中の火災保険の内容をご確認ください。時価額や新価特約のみでの補償になっている場合は、現行商品のほうが、補償が手厚くなっておりますので、補償内容を上げたい場合には見直しが必要です。
また、少しでも割安に火災保険を確保したい場合は、乗り換えを検討する余地もあります。未経過保険料は、あまり目減りせずに返還されますので、乗り換えて保険期間を今よりも長く確保することで割安になる場合があります。気になる方は、来秋までにシミュレーションしてみましょう。
注)乗り換える場合は、解約のタイミングは気を付けてください。
消費税増税、物価上昇と固定費はどんどん上がり、実質所得ではまだマイナスです。家計がますます悪化する傾向にありますので、出来得る対応策はとるようにしましょう。(執筆者:小木曽 浩司)