わたしたちの人生には、「お金の貯め時」というものがあります。一般的な家庭なら、「教育費が少なくて済む子供の幼少期」や「教育費がかからなくなり自身の収入も上がっている子供の独立後」などがあります。しかし、それ以前の段階に、もう一つ大きなお金の貯め時があるんです!
それが、DINKS時代と呼ばれる、「結婚してから子供が生まれるまでの、共働きの期間(Dual Income No Kids)」です。
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目次
その後のライフイベントを見据えておこう
結婚してすぐの共働き夫婦は、お金のことをそこまで話し合うことをせずに、それぞれの収入を自由に使っているケースも少なくありません。しかし、幸せな新婚生活の後には、一般的にはこんなライフイベントが待ち受けています。
第一子妊娠
妊娠してすぐに仕事をやめるつもりはなくても、予想以上にツワリがきつかったり、切迫流産・切迫早産などで休職・退職を余儀なくされることもあります。それだけで、収入は一気にダウン。
また、妊婦健診に関しては自治体からの補助でほとんどまかなえるものの、出産費用は「出産育児一時金」を差し引いても10万円ほどの自己負担がある可能性が高いです。
さらに、赤ちゃんのための準備で肌着やベビーベッドなど、必要なものを買い揃えると10万円を超えることも珍しくありません。
第一子の育児(産休・育休)
産休中は、ざっくり言うと妻の収入が3分の2程度、育休に入ると半分程度にまで下がります(会社員の場合。自営業だとこの手当はありません)。
赤ちゃんの子育てにはさほどお金はかかりませんが、この期間中は収入がかなり減るために、家計は苦しくなりやすいです。
第一子の育児(仕事復帰後)
仕事に復帰しても、今までと同じ働き方ができるとは限りません。時短勤務に変更せざるを得なかったり、場合によっては転職しなければならないこともあるでしょう。
また、待機児童が多い地域の場合は保育所への入所が叶わないこともあります。仕方なく仕事を辞めて専業主婦になる方もいれば、高額な認可外保育園に預けて働き続ける方もいます。
その後も、第二子・第三子が生まれたり、子供の習い事にお金がかかるようになったりする中で子供の教育費と自分たちの老後資金を確保していかなければなりません。
結婚したらすぐに家計の戦略を立てるべき
お金の話は、「なんとなくしづらい」と思っている人が多いです。そのため、結婚しても夫婦別家計のままでろくに貯金も無いまま出産を迎えてしまう人もいます。
するとどうなるでしょう?
妊娠後から徐々に家計が苦しくなりはじめ、今までの生活水準を落とさなければならなくなるのはもちろんのこと、生活水準を落としても貯金が増えない、という事態に陥ってしまいます。
もちろん、いざというときには就学援助や生活保護などのセーフティネットはあるものの、できればゆとりのある生活を続けていきたいと思いませんか?
だったら、やはり結婚してすぐに、夫婦でお金の話をして、計画的に貯金しておくべきです。そして、必要な貯金を確保していくためには、家計全体を見渡して、お金のかけどころを見極め、ムダを排除していかなければなりません。
新婚夫婦向けの貯金の方法を知るには
書店に行けば、新婚夫婦向けのお金の貯め方に関する書籍もいろいろとあります。まずは、二人で本を読んでみて、できることから実践していくのがいいでしょう。
また、お互いに貯金が苦手、という場合は一度プロのファイナンシャルプランナーに家計診断をしてもらうのもおすすめです。FP相談では現在の家計の状況から将来のキャッシュフローまで幅広く、こまかく分析してくれる上、「今、何をすべきか」というところまでアドバイスしてもらえます。
書籍やネットで情報収集するにしても、FP相談に行くにしても、ポイントは「二人で」というところです。どちらか片方だけが危機感を持って一人で勉強してしまうことも多いのですが、それだと夫婦間で意識に差ができてしまい、家計管理がうまくいきにくいです。それよりも、新婚でまだラブラブな時期に二人で一緒に家計について勉強していきましょう。
結婚してすぐにお金の問題に向き合っておくことで、その後の生活がかなり楽になります。
DINKS時代は、ある意味では「自分の給料を好きに使える最後のチャンス」でもあるのですが、ここぞとばかりに自由なお金の使い方をしていると、将来の負担が大きくなってしまうだけです。まずは現状を把握して、可能な範囲で自由にお金を使いながら、適切な家計管理の方法を身に付けていきましょう。(執筆者:吉見 夏実)