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危機感のなさがリスク
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「老後貧乏」という言葉を聞いたときは、ショッキングでした。そのショックも冷めやらぬまま、今度は「中年破産」という言葉が筆者の脳みそにボディブローのようにじわじわと効き始めています。
家計相談の現場にいると、「老後貧乏」も「中年破産」も、どちらも予想される家計が多いのは実感として持っています。しかし、いざそれを言葉として聞くと、定義が明確化されたようで身が引き締まる思いです。
そこで、今回は「中年破産」を取り上げてその問題点と改善策を考えていきましょう。
「なんとかなる」ではなんともならない
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弊社のご相談者の中で中年破産予備軍とも言える「老後まで家計が持たないであろう世帯」には大きな特徴があります。
それは、危機感が薄いということです。
家計が行き詰まるような、そこまで大きな危険のある家計であるとは感じていない傾向が見て取れます。「貯金を取り崩し始めて、なんだか家計が苦しいから相談に来た」と、いう人がほとんどです。
都内在住のYさんは、入学前の子供が2人いる4人世帯。住宅ローン以外に自動車のローンやキャッシングの返済もあり家計がかなり圧迫されています。貯金はとうに底をつき、生活費の足りない分をキャッシングしていたそうです。しかし、ボーナスが入ればなんとかなると思いズルズルと借入額が増えてしまったとか。毎月の家計がどんどん苦しくなってきたので、相談にいらしたそうです。
計画性が必要
Yさんもそうですが、老後まで家計が持たないであろうケースでは、家計簿をつけておらず、よって、家計の収支を把握していません。しかし、今月の生活をやり繰りしていくことだけでは足りないのです。
Yさんの場合は、これから教育費もかかってきますし、将来に想定されるイベントに必要な金額を貯金していかなければなりません。将来をも含めた生活設計が必要になるのです。簡単に言えば、人生におけるお金の計画です。
それを考えていくのに役立つアイテムが家計簿なのです。
まずは家計を把握する
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「中年破産」となる原因は様々でしょうが、
何か一つの条件が変わってしまうだけで大きくダメージを受けないような家計のリスクヘッジ対策は必要になります。
例えば、ボーナスのほとんどが住宅ローンをはじめとする支払いに当てられている場合です。ボーナスの支給や支給額は業績に影響されますから、もし支出決定分の金額より下回るボーナス額であれば、支払いが困難になってしまいます。
この様に、わが家の家計をしっかりと把握しなければ対策は立てられません。家計簿をつけて、わが家の収支とその内容を確認してみましょう。
CF(キャッシュフロー)表で将来を見る
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家計簿をつけたら、現在の収支を元に、時系列の表であるキャッシュフロー表を作成していきます。子供の入学や自動車の買い替えなど、将来のイベントも加味することにより、長期のお金の流れをつかんでいきます。
これを作成することによって、将来に渡って家計の健全性を確認することができます。老後まで持つ家計なのか、老後も安心な家計なのか。現状を知り、先を見通すことが「中年破産」を回避する有効な方法となりうるでしょう。まずは家計簿をつけ始めてみてはいかがでしょうか。(執筆者:大木 美子)