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「若年性認知症」
「若年性認知症」皆さんは一度は耳にされたことはありますか?
認知症といえば高齢者がかかるというイメージが強いのですが、65歳に満たないうちに認知症が発症してしまうことがあります。
働き盛りである64歳以下の世代が若年性認知症になると、高齢者の認知症とは少し違った問題点がみえてきました。今回はこの若年性認知症にクローズアップしていきたいと思います。
若年性認知症とは
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64歳以下で認知症が発症した場合を若年性認知症といいます。
原因としては脳梗塞などの脳血管障害による後遺症が1番多く、アルツハイマー型や頭部外傷による後遺症、アルコール性の認知症があります。
若年性認知症の初期症状
高齢者の認知症の症状と同じように、物忘れから気づくことが多いようです。
・記憶障害
同じことを何度も尋ねたり、約束を忘れるようになります。電話の伝言も難しくなります。
・気分が落ち込む
仕事や日常での失敗が増え気分が落ち込み、出かけたり人に会いたがらない、不眠の訴えなどが聞かれるようになります。
・怒りっぽくなる
仕事や日常のことができないために落ち込むだけでなく、今まで怒ることがないような人でもおこりっぽくなることがあります。
・嗜好の変化
同じものを食べ続けたり甘いものや味の濃いものを好むようになることがあります。
子どもに優しかった人が急に無関心になることもあります。
・頭痛、めまい、耳鳴り
初期症状として、頭痛やめまい、耳鳴りなどがある場合もあります。
・言語障害
言葉がスムーズに出て来なかったり、単語の意味がわからなくなることがあります。
若年性認知症はあまり知られていないことから、落ち込んで仕事に行きたがらないという気分のムラはうつ病と考えられてしまうことがあります。
また、女性の場合にはイライラと怒りっぽくなったり、めまいや頭痛などは更年期と間違われることもあるようです。
高齢者の認知症との違い
医学的にみると、前に述べたように高齢者も若年者も病気としては大きな違いはありません。
社会的な面からみると高齢者は現役を退いている場合が多いのですが、若年性認知症の世代はまだ現役という意識を持ち、積極的に社会に関わろうとします。
若年性認知症になると、認知症の症状から仕事にも支障をきたし、最終的には職を失い経済的な困難に陥ってしまうこともあります。また、本人や配偶者の親の介護と重なり、介護の負担が大きくなることもあります。
若年性認知症の場合は若いがゆえに受け止めきれない葛藤が、本人を苦しめたり追い詰めています。また、高齢者に比べて若年性認知症の場合はプライドが強く不本意な関わり方をされることを嫌います。
若年性認知症も早期発見が重要
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若年性認知症の場合は、働き盛りで社会生活も活発な世代ですから、
高齢者以上に早期発見が求められます。早期に気づき治療を始めることで進行を遅らせ、その後の人生に大きく影響を与えることができます。
若年性認知症の初期の段階で進行を遅らせることで、家や仕事の整理、引き継ぎなどを行うことができ、進行する前に判断能力が低下した場合の介護や財産、後見人などについての自分の意思を伝えておくことも可能になります。
若年性認知症と思ったら
生活の中で心配な点がでてきたら、まずはかかりつけ医に相談してみましょう。
認知症かどうかの判断をして、疑いがあればより専門的な医療機関を紹介してもらえます。
本人が受診を希望してくれることは理想ですが、本人が否定して行きたがらないケースも多いので、無理強いして受診させる前に保健所の保健師や相談員に相談に行きましょう。
若年性認知症は介護保険制度対象
若年性認知症は介護保険制度が定めている特定疾病の初老期における認知症に該当します。
40歳から64歳までの医療保険に加入している人で日常生活において介護や支援を要する状態であると認定されると対象となります。
若年性認知症についての社会資源はまだまだ少なくニーズに合った資源を用意していく必要がありますが、国が掲げているオレンジプランの中でも、若年性認知症について重要視しています。
各地域でも若年性認知症サポートセンターが増え始めています。
他人事ではない若年性認知症について、これからも少しずつ紹介していきたいと考えています。(執筆者:佐々木 政子)