国民年金の保険料を掛けていた方が亡くなった場合、「遺族基礎年金(※1)」や「寡婦年金(※2)」が出ない遺族の方もいます。
その場合「死亡一時金」が支給されることがあります。
今回はその「死亡一時金」を取り上げたいと思います。
※1 「遺族基礎年金」の詳細は、2016年3月31日の記事「手続き忘れのある「遺族基礎年金」について」をご参照ください。
※2 寡婦年金については、2016年4月6日の記事「60歳から65歳になるまで「妻」に支給される「遺族年金」があります」をご参照ください。
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目次
「死亡一時金」とは
国民年金の保険料を納めた方が亡くなった場合、その方が年金の支給を受けていなかったとき、保険料の掛け捨て防止として遺族の方に「死亡一時金」が支給されます
「死亡一時金」の支給要件
「死亡一時金」は、以下のような時に支給されます
「亡くなった方」の要件
(1) 国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた月数が3年(36月)以上あること
(2) 老齢基礎年金又は障害基礎年金を受けたことがないこと
受給できる「遺族」の要件
(1) 亡くなった方と生計を同じくしていた遺族であること
遺族とは亡くなった方の
2. 子
3. 父母
4. 孫
5. 祖父母
6. 兄弟姉妹
の中で優先順位が高い方に支給されます。
(遺族全員に支給されるわけではありません。)
(2) 遺族基礎年金を受給できないこと
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「死亡一時金」の額
「死亡一時金」は、保険料を納付した期間(保険料免除期間も含む)をもとに、支給額が決まります。
保険料納付済月数(保険料免除月数を含む)
180月以上240月未満 → <死亡一時金額> 14万5千円
240月以上300月未満 → <死亡一時金額> 17万円
300月以上360月未満 → <死亡一時金額> 22万円
360月以上420月未満 → <死亡一時金額> 27万円
420月以上 → <死亡一時金額> 32万円
なお、付加保険料(※3)を3年以上納めた方は、8,500円が加算されます。
※3 付加保険料については、2015年12月15日の記事「年金を無理なく増やす方法 国民年金にある「付加保険料」を納めましょう」をご参照ください。
遺族基礎年金を受けられるときは、「死亡一時金」の請求はできません。
また、「死亡一時金」と「寡婦年金(※2)」の両方の支給要件を満たす場合は、どちらか選択することができます。
そして、お亡くなりになってから2年を経過すると時効のため請求できなくなりますので、請求し忘れないように注意してください。
住所地の市区町村役場の窓口又はお近くの年金事務所にて手続きできますので、心配な方は一度相談をしてみるとよいでしょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)