物件検索と選定・購入、購入した物件のリフォーム内容の検討、入居者の募集と物件の管理はどこにお願いするかなど、経営手腕を振るうことができることも不動産賃貸業の醍醐味ではないでしょうか。
その一方で、ビジネスパートナーとの煩わしいやり取りを億劫に感じるような人や、一定の家賃収入が保証される安定志向を望む人の中には、サブリース契約を結ぶことで経営者としてではなく、アパートのオーナーとしての道を選ぶ人もいます。
このような人にとってサブリースはとても便利ではありますが、その実態を知って契約しないと「こんなはずではなかった…」ということにもなりかねません。
そんなサブリース契約の実態について、今回は説明いたします。
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目次
サブリース契約とは
サブリースとは、建物1棟を一括して借り上げ、一定の家賃を一定期間保証する制度のことをいいます。
サブリース会社は、オーナーから借り上げたアパートやマンションをより高い賃料で入居者に転貸(また貸し)することです。
サブリース会社が借り上げている賃料と入居者に転貸している賃料の差額が、サブリース会社の儲けということになります。「30年一括借上げ」というものを、テレビのCM等で耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これはサブリース契約の一種ということになります。
サブリース契約をすると、入居者の有無にかかわらず一定の家賃収入が保証されるようになります。
また、入退去時の手続きや家賃収納、入居者のトラブル対応から解放されるので、不動産賃貸業を始めたばかりの人にとっては安心です。
不動産賃貸業に関わる必要がほとんどなく、保証された一定額の家賃収入を得られるというのがサブリースのメリット。
一方、サブリースによって保証される賃料は、相場の80~90%程度ですので、賃貸経営に自信がありより高い収益を上げたい人は、サブリースのメリットを十分に享受することはできません。
そうはいっても、相場の80%の家賃収入が30年もの長期間保証されるなんて、とても魅力的に感じますよね。とてもオイシイ話を謳っているサブリースですが、契約を検討する際には注意が必要です。
サブリース契約の注意点について、これから説明いたします。
注意点1 新築アパートの建築
サブリース会社がアパートの建築工事もセットで請け負う場合、サブリース会社が負う空室リスク相当額がアパートの建築費用に含まれていることが多くあります。
つまり、アパートを建てた時点で、サブリース会社が損をしないような仕組みが構築されているということです。
このような理由から、多くのサブリース会社が建築や不動産賃貸の知識に乏しい高齢者などをターゲットにています。このような人たちは知らない間に不当に高額な建築費用を負担しているということになります。
注意点2 免責期間
サブリース契約には「賃料免責期間」というものが規定されていることがあります。
「賃料免責期間」とはサブリース会社からオーナーへの賃料の支払いが一定期間猶予される期間のことで、サブリース会社が契約後に入居者を募集する期間として設けられています。
一般的な賃料免責期間は30~180日ということで、長ければ半年もの間、オーナーは無収入になってしまうのです。
注意点3 なかなか解約できない
サブリース契約は、原則として中途解約ができません。契約満了時の解約も難しいのが現状です。オーナーから見てサブリース会社は賃借人ということになります。
賃借人が契約更新を希望する以上、その希望を拒絶することは非常に難しいのです。
サブリース契約を結んでいる物件では、売却の際の自由度が制限されることがあります。これはオーナーにとっては大きなデメリットです。私もサブリース契約を結んでいる物件を持っていました。
購入する前から前オーナーがサブリース契約を結んでいたため、それを継承することになったのです。当時の私は知識が少なかったため、サブリース契約の継承をそれほど重くは受け止めていませんでしたが、いざ売却するとなるとそれが足かせとなることを実感しました。
問い合せはあるものの、この物件はサブリースがネックとなってなかなか売却することができませんでした。サブリースの契約は、物件の売却まで見据えて行う必要があります。
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賃料下落リスク
サブリース会社が入居率を優先しすぎるあまり、入居者の質の低下を招いてしまうことも。質の悪い入居者が増えると、優良な入居者は徐々に退去していきます。
そのような物件では入居者が決まりづらく家賃を下げざるを得ないといった悪循環に陥ってしまいます。その結果、更新のたびにオーナーが受け取る家賃も引き下げられてしまうといったことにもなります。
新築当初の家賃が将来にわたって保証されるわけではないのです。このように、サブリース契約にはさまざまな注意点があります。
もちろん上記の内容が全てのサブリース会社に当てはまるわけではありませんが、ご紹介した注意点を踏まえて、自分の投資スタイルに合わせて、サブリースの検討するようにしてください。(執筆者:内田 陽一)