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新紙幣から2年、「タンス預金のあぶり出し」は本当だった?家計の現金が減った理由

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新紙幣から2年、「タンス預金のあぶり出し」は本当だった?家計の現金が減った理由
新紙幣から2年、「タンス預金のあぶり出し」は本当だった?家計の現金が減った理由

2024年7月の新紙幣発行から、この夏で2年になります。当時は「本当の狙いはタンス預金のあぶり出しではないか」という憶測も広がりました。財務省が掲げた公式な目的は偽造防止などですが、民間の推計では、新紙幣発行前後の約8か月間にタンス預金が約9.6兆円減ったとされています。2026年3月末の日銀統計でも、家計が持つ現金は前年を下回りました。新紙幣との関係をどう考えるべきか、現金を自宅に置くリスクとともに整理します。

新紙幣の公式な目的は偽造防止

2024年7月3日、約20年ぶりとなる新しい日本銀行券が発行されました。発行の前後には「本当の狙いはタンス預金のあぶり出しではないか」という憶測も広がりましたが、財務省が掲げたのは偽造抵抗力の強化などです。新紙幣には、見る角度によって肖像が回転する3Dホログラムや高精細すき入れ、紫外線をあてると一部が発光する特殊発光インキといった最新技術が導入されています。

あわせてユニバーサルデザインも取り入れられ、額面数字の大型化や識別マークによって誰にでも分かりやすい設計になりました。進歩する偽造技術に対抗するための刷新であり、財務省の発表にタンス預金対策は掲げられていません。

新紙幣発行の前後にみられたタンス預金の減少

では、発行から約2年がたった今、家計の現金には何が起きたのでしょうか。日本銀行の資金循環統計(速報・2026年6月25日公表)によると、家計が保有する現金は2026年3月末時点で100兆6,303億円。前年比マイナスが続いており、長く増加傾向とされてきた家計の現金は減少へ転じています。

タンス預金そのものの推計もあります。第一ライフ資産運用経済研究所の推計では、タンス預金は改刷直前のピークだった2024年1月の60.0兆円から、新紙幣発行後の2024年9月には50.4兆円へと約9.6兆円の急減を記録しました。同研究所は、改刷に加え、インフレ防衛策として金投資などへ一部がシフトした可能性を指摘しています。

新紙幣発行をきっかけに現金が動いた可能性はありますが、減少分のすべてが銀行預金や消費に回ったとは限らず、新紙幣との因果関係も断定できません。

「旧紙幣は使えなくなる」が誤りである理由

ここで注意したいのが、「旧紙幣は新紙幣に交換しないと使えなくなる」という誤解です。財務省は、現行の日本銀行券は新紙幣の発行後も引き続き通用すると明言しており、交換の手続きは不要です。タンス預金の還流は交換義務によるものではなく、あくまで自発的な預け入れや使用によって起きています。

さらに財務省は、「現行のお札が使えなくなる」とうたって現金をだまし取る詐欺行為への注意喚起も公表しています。旧紙幣を持っていても慌てる必要はまったくありません。むしろ「交換が必要」と持ちかけられたら、その時点で詐欺を疑ってください。

タンス預金のメリットとリスクの整理

タンス預金は違法ではなく、手元に現金を置くことには相応の理由もあります。一方で、まとまった額を長く置くほどリスクが重くなります。両面を表で整理します。

新紙幣から2年、「タンス預金のあぶり出し」は本当だった?家計の現金が減った理由

銀行破綻への不安から現金を選ぶ人もいますが、預金保険制度の保護範囲は正しく知っておきたいところです。一般の預金等は預金者1人当たり1金融機関ごとに合算して元本1,000万円までとその利息等が保護され、当座預金や利息の付かない普通預金などの決済用預金は全額保護されます。「破綻したら預金が全部消える」わけではありません。

見落としやすいのがインフレです。インフレとは物価が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が目減りする現象で、現金のまま保管していると物価上昇の影響を直接受けます。災害や停電でATMが使えない事態に備えて当面の生活費を手元に置く考え方はありますが、その金額は目安の一例にすぎず、家計に応じて必要最小限にとどめるのが現実的です。なお、焼けたり破れたりしたお札は、表・裏両面があることを条件に、残った面積が3分の2以上なら全額、5分の2以上3分の2未満なら半額として日本銀行の本支店で引き換えられます。

「タンス預金で節税」が通用しない理由

タンス預金のメリットとして「家族や国に知られずに貯められる」と語られることがありますが、税務上の効果を期待するのは誤りです。現金も相続税の課税対象財産であり、国税庁は「金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのもの」が課税対象になるとしています(タックスアンサーNo.4105)。

「銀行口座はマイナンバーと紐付くから現金で」という発想も、現行制度とはずれています。2024年4月1日に施行された口座管理法では、預貯金口座へのマイナンバー付番は本人の希望に基づく任意で、公金受取口座の登録も任意です。義務的な全口座紐付けは存在せず、むしろ付番しておけば相続時や災害時に口座の所在を確認できる仕組みになっています。相続の場面では、あらかじめ付番しておけば、相続人が複数の銀行等に被相続人の口座があるかを一度に照会できます。

現金は「備え」、まとまった資産は記録が残る形へ

新紙幣の発行から約2年、新紙幣発行の前後にタンス預金は推計で大きく減り、2026年3月末の家計の現金残高も前年比で減少しています。旧紙幣は今もそのまま使えるため、交換をあおる話は詐欺と疑ってかまいません。手元の現金は災害時などの備えとして必要な範囲にとどめ、まとまった現金は、使う目的や時期に応じて、預金など所在と金額の記録が残る方法で管理することが、相続の混乱や税務トラブルを避ける堅実な管理につながります。この夏、自宅に眠る現金の置き場所を一度見直してみましょう。

《編集部》
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