東京ビッグサイトで7月25日・26日に開催された日本最大級の不動産オーナー向けフェア、「賃貸住宅フェア2017」に行ってきました。
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コンサルタントや実際に成功している投資家などが講師を務める数多くのセミナーが行われるほか、不動産関連企業が出展するブースも多数あり、まさに不動産業界の一大イベントといった様相。
昨今の不動産投資熱を反映してか、会場内は活気に満ちあふれていました。
なかでも興味深かったのは、人間社会だけでなく不動産市場にも格差時代が到来しつつあるというセッションです。不動産の格差とはどのようなものなのか、これから説明いたしましょう。
目次
不動産市場に生まれつつある格差
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2008年にピークを迎えた日本の人口。平成29年2月現在の日本の人口は1億2,679万人と、ピーク時の1億2,808万人に比べて129万人減少しました。
今後加速するとされている人口減少のスピード。平成60年(2048年)、日本の人口は1億人を割り込むと予測されています。
それに伴って、空き家問題もより顕著になることでしょう。
平成25年に820万戸あった日本の空き家は、2018年には1,000万戸を突破。
人口が減少するなか中古住宅の活用がされずに新築住宅の供給のみが続けば、2033年には総住宅数は7,130万戸に増加、空き家の数も激増し空き家率は30.4%に上昇するとの予測も発表されています。
その一方で、アベノミクスやトランプ氏がアメリカ大統領に就任した影響から、株価は堅調に推移しています。
こうした追い風が不動産市場にも恩恵をもたらすという期待が持たれていることも事実です。
そして、これらを総合して考えると、今後は不動産市場が次のように3極化すると予想されるのだそうです。
2. 徐々に価値を下げていく(70%)
3. 価値なし、あるいは価値がマイナスに転じる(15-20%)
1に該当する不動産に投資するのがベストですが、不動産投資では投資対象となる地域や予算によっても制約を受けざるを得ません。
1に該当する不動産を見つけることが困難なエリアを投資対象としている場合は、2に該当する不動産での勝負を強いられます。
高利回りで不動産価値の下落に見合う収益を上げられる物件であれば、2に該当する不動産への投資も考えられるでしょう。
大切なのは、3に分類される物件を掴まないことです。
地域間格差
1に属する不動産の大部分は、東京・大阪・名古屋の3大都市圏や大都市に存在し、そうした不動産は地方都市においては極端に少ないというのが現状です。
このように、不動産市場には地域間の格差が存在します。
また、資産価値が高く将来的に価値が下がりづらいとされる不動産が比較的多いとされる大都市のなかでも、とりわけ1に該当する不動産が多いのが東京です。
先日路線価が発表されましたが、東京で最も路線価が高かった銀座4丁目の路線価はバブル期超えの5,050万円/平方メートル(バブル期は3,850万円)。
一方、大阪市における今年の最高地点の路線価は1,400万円と、バブル期の3,500万円の半分にも及びません。
このことから、いかに東京の不動産に対する評価が高いかお分かりいただけるのではないでしょうか。
格差は地域内にも
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財政難から行政サービスを限定せざるを得ない自治体も出てきています。限られた予算で従来通りの行政サービスを続けるために、居住誘導区域を設ける自治体も出てきています。
集中的に行政サービスを提供する地域に住民を誘導することで、コストを削減することができるためです。
居住誘導区域に指定された地域に対する行政サービスはおろそかになり、そこに存在する不動産の価値は下落してしまうことになります。
一方で、同一自治体であっても、都市機能誘導区域に指定された地域であれば投資を検討してみる価値はあるのではないでしょうか。(執筆者:内田 陽一)