先日、読者の方から質問が寄せられました。
要約するとこういうことです。
一体どのくらいのCFがあれば不動産から得られる収入1本で生活の糧を得られるようになるのか、不動産投資をしている人にとっては関心の高いテーマではないでしょうか。
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セミリタイアを夢見て不動産投資を始めたという人も多いと思いますが、サラリーマンとしての収入を捨てて独立するとなるとチョット勇気がいるものです。
目次
与えられた2つの選択肢
まず、私が専業大家の道を歩むこととなった経緯を簡単にお話ししましょう。
3年前(2014年)まで、私は某外資系通信機器メーカーのエンジニアでした。
そんなある日、いつも通り出勤しミーティングをしている最中に1本のメールを受信しました。
私たちが属している事業部が近く解散するという内容のものでした。
つまり、
「転職して自分が希望する職種の仕事に就く」
「退職して自分でビジネスを始める」
のいずれかを選択しなければならないということです。
私の頭には後者の2つの選択肢しかありませんでした。
ところが、転職がいかに困難で消耗するものか、転職経験が豊富だった私は身にしみて分かっていました。
私がここまで不動産賃貸業を拡大してきたのは何のためか?
それは、サラリーマンとしてピンチに立った時のバックアッププランを準備することでした。このような局面に立つのはこれで2度目のことです。
実は、以前にも会社都合での退職という苦い経験を味わいました。
それ以来、外資系企業に勤めている限りはいつかまた同じ目に遭うと思い、会社に頼らずとも自分でお金を生み出す仕組みを作るべく不動産賃貸業の拡大に努めてきたのです。
正直なところリタイアはもう少し先を予定していたのですが、当時不動産から得ていたCFなどを勘案し転職せずに専業大家として独立する道を選ぶことにしました。
そのとき不動産から得られていたキャッシュフローは…
大家として独立した当時、私が不動産から得ていたCFは、サラリーマンとして受け取っていた給与(月給)の手取り額の7割弱です。
手取り額のほとんどを使い切ってしまうような生活をしていたのであれば生活レベルを落とさざるを得ませんが、私は比較的つましい暮らしに慣れていたので、独立の前後で生活が変わることはありませんでした。
勘違いしないでいただきたいのは、「独立できるCF」=「サラリーマン時代の所得の7割」という公式は必ずしも成立しないということです。
可処分所得が300万円のサラリーマンであれば、不動産からのCFがそれと同等またはそれ以上なければ独立は難しいでしょう。
可処分所得が500万円のサラリーマンでも、その8割程度のCFが欲しいものです。
生活のレベルを落とすのは非常につらいので、できれば同等の生活を維持できる程度のCFを確保する必要があると思います。
将来の収支についても考えてみること
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また、リタイアする際は将来の収支についても考えてみることをおすすめします。
私の場合、1年以内に完済する借入れが1本あり、CFにして11万円の改善が期待できました。
また、当時から自宅の売却を視野に入れており、周辺の不動産相場の推移から売却益が出ることも期待できました。
売却益を繰り上げ返済に充てればCFは改善しますが、私の目的は売却益を預金しそれを担保とした借り換えでした。
4.5%の金利をいかにして引き下げてもらうかが、当時の私にとってはそれが最重要課題だったのです。
スムーズにはいかなかったものの、2年半の歳月をかけて借換えにも成功し、それにより改善したCFは実に27万円にも達しました。
このように、セミリタイアするには将来確実にCFを増やしていけるような布石を事前に打っておくことも重要ではないでしょうか。(執筆者:内田 陽一)