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年間を通して取っておきたい書類を把握していますか?
確定申告というと1月から2月にかけてのテーマと考える方も多いでしょうが、そもそも確定申告は1月から12月までの期間について申告を行うものなので、年を越してから書類をそろえようと思ってもできないものもあります。
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個人の確定申告では、
・ 寄付控除
・ 雑損控除
・ 特定支出控除
の4つのポイントを押さえて書類を取っておくことが大事です。
控除の対象になるかは1年間過ごしてみないことにはわかりません。
だからこそ、控除できる可能性を考えて取っておくことが大事なのです。
申請の仕方や適用できるかは後で考えればよく、必要な書類がなければ申請もできないので、まずは必要な書類を取っておきましょう!
医療費全体で控除を受けるか、薬のみで控除を受けるかを選べる医療費控除
個人の確定申告では主に医療費の領収書を取っておくのが大事です。
10万円を超えた分が医療費控除の対象。
病院に支払った医療費はもちろん、病院に通った際のタクシー代、交通費、市販の薬の一部も医療費控除の対象です。
公共交通で領収書が発行されないものは、移動経路をメモし、日付と金額を控えておきます。
また今年からは条件を満たせば、市販の薬局での領収書だけで、年間1万2,000円を超えた分が医療費控除の対象になりますので、分けて取っておいてください。
ただし、どの市販の薬でも対象になるわけではなく、医師の処方が必要だった医療用医薬品のうち、安全性が確認され店頭販売できるようになった薬についてのみが対象で、詳しくは薬局で確認するとよいでしょう。
この新しい特例制度は、診療費を含む10万円を超えた分が控除される今までの医療費控除とは併用できませんが、年額1万2,000円を超えた部分は最大8万8,000円まで控除され、10万円以上からでしか受けられなかった控除の敷居が低くなったので、こちらで申請することも可能です。
控除対象になるかどうかの判断が難しい場合もあるかもしれませんが、医療費に関する領収書やレシートはきちんと保管しておくのをお勧めします。
家族の分をまとめて申請できるので、できればエクセルなどで表にして管理しておくと確定申告の時期に慌てることないですよ。年間を通じての領収書の保管が肝です。
関連記事:【確定申告】平成29年分から医療費控除に「領収書添付」が不要になる 知っておくべき変更点3つを説明します。
転勤や資格取得では大きな助けとなるサラリーマンの特定支出控除
会社や仕事に関する自己負担額が大きくなりそうな場合は、会社に一度相談して領収書を取っておくとよいでしょう。
例えば、年収500万円の場合は、給与所得控除額の半分である77万円を超える部分の金額が特定支出控除として給与所得控除後の所得金額から差し引くことができます。
多くの項目で会社が負担してくれる場合も多く、なかなか超えることのない大きな金額かと思いますが、単身赴任などの帰省旅費や資格取得費は負担した分を会社に承認してもらえば、特別控除の対象になります。
業務に必要な図書費、衣服費、交際費等も65万円までの控除が受けられます。
転居や研修で必要になった住民票の発行手数料、印鑑証明書の発行手数料、パスポートやビザの交付手数料なども対象になる場合がありますので控えを取っておくとよいでしょう。
無いに越したことはないけれど、知っておくべき雑損控除
自然災害や火事などの被害、白アリなどの害虫被害、盗難や横領などでの金銭被害によって、生活に通常必要な資産に損害を受けた場合にも所得控除が受けられます。
この控除の特徴は、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合に、翌年以降3年間繰り越すこともできる点です。
全額ではなく、保険などで補填された額の半分などの条件がありますが、被害にあったときには警察等に届け出て証明をもらっておくことが大事です。
ただし、生活に通常必要な資産に該当しない30万円を超える貴金属などの嗜好品や、詐欺や恐喝の場合には雑損控除は受けられません。
幼稚園などの所得制限に関わってくる
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住宅ローン控除の場合は確定申告が必要なのは1年目だけです。
その他にふるさと納税や寄附などを行った場合も、各種団体などから交付された寄附金の受領証も保管しておき確定申告を行いましょう。
微々たる所得税還付だと、確定申告手続きの手間を考えれば面倒だと考える方もいるでしょうが、還付金が少なくても、少しでも還付されるのであれば、還付額以上のメリットがある場合もあります。
なぜなら、助成金の所得制限に関係してくるからです。
児童手当の場合は高額所得者で、所得制限がギリギリの場合にのみ意識すればいいでしょうが、保育園や幼稚園の所得に応じた助成に対しては、わずかな所得の違いが、毎月の保育料に関係してきます。
申告のしかたは、あとで考えればいいので、各種領収書や損失の証明はきちんと管理して保管しておくことが大切です。(執筆者:小柳 結生)