空前の低金利による後押しを受け、不動産の購買意欲が高まったことで、不動産価格は上昇を続けています。
そして、この低金利の恩恵にあずかっている不動産投資家も多いことでしょう。
しかし、不動産価格が上昇した結果、利回りは低下。融資の審査も以前より厳しくなったという声も聞くようになりました。低金利によってもたらされた弊害が出始めたようです。
目次
いままでのやり方で良いのか?
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「利回り10%以上」、「築10年以内」の条件で首都圏の物件を検索してみてください。
何かに気付きませんか?
そう、ヒットする物件の少なさです。
実際に検索してみたところ、収益物件検索のポータルサイト「楽待」では58件、「建美家」では37件のみでした。入力した条件は上記の2つのみです。
たった2つの条件で、ここまで絞られてしまうのです。好条件の物件が減ってきている。そう感じている人は多いことでしょう。この数字は、それを裏付けるものです。
このように、不動産投資を取り巻く環境が変わりつつあるいま、希望の条件を100%満たしてくれる物件を見つけるのは不可能に近いでしょう。
よって、このような環境下で収益物件を購入しようとするのであれば、何かを妥協しなければならないことになります。
入居者の特性を考える
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入居者が求めるニーズはエリアによって異なります。何を優先して何を妥協すべきか、大都市圏と地方を分けて考えることにしましょう。
つぎの表は、優先すべき要素と優先度の低い要素を、都会と地方のそれぞれについてまとめたものです。
ここでは、「利回り」、「立地」、「築年数」の3つの要素について優先順位を付けていますが、必要と思われる要素を適宜追加して考えてみてもよいでしょう。
多くの人が電車を利用する都会では、入居者にとって最寄り駅からの距離は重要なポイントです。
また、不動産価格の上昇傾向は都会でより顕著に現れているため、高利回りを期待することはできません。その一方で、車を多用する地方では、必ずしも駅近である必要はありません。
そして、購入価格を低く抑えられる分、高利回り物件を狙えるのが地方物件の特長です。
注目すべきは、両エリアとも築年数の優先度は最下位であること。築年数の優先度を上げると、エリアに関係なく利回りは必然的に低下してしまい、いわゆる「儲からない物件」になってしまうことも。
築浅に魅力を感じて入居を決める人もいることでしょう。しかしそれは、クロスの色遣いがお洒落であったり、家賃がリーズナブルであったり、他に何か惹かれる要素があってこそ。
つまり、築年数は入居者が求める最優先条件にはなり得ないということです。投資物件を検索する際に築年数を重視する必要がないのは、そのためです。
敢えて条件の悪い物件を選ぶ
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これまでは対象から外していたような物件への投資を検討してみることも、これからは必要になるかもしれません。
例えば、稼働率の低い物件などいかがでしょう。
私は、敢えて入居率の低い物件に投資してきました。それは、投資家から敬遠されそうな物件は安値で販売される傾向があるうえ、値引き交渉を有利に進められる可能性もあり、高い利回りが期待できるためです。(執筆者:内田 陽一)