皆さんは、「孤独死保険」というものをご存知でしょうか? 賃貸住宅で自殺や孤独死が起こった場合、オーナーが被る損害を補償してくれる、損害保険の一種です。
今回は、この孤独死保険の必要性について考えてみようと思います。
目次
今後ますます増加する孤独死
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誰にも看取られることなく自室で死亡。その後、長期間経ってようやく亡くなったことに気付いてもらえる。そんな亡くなり方をする人が、都市部を中心に増えています。
人口集中が加速する都市部ではコミュニケーションの希薄化が顕著となり、お隣にどのような人が住んでいるかも把握していない人は、意外と多いものです。
そんな都市部を中心に、ひとり暮らしをする人が誰にも気づかれずに死亡する「孤独死」が社会問題となっています。
東京23区における孤独死(65歳以上)の数は、2015年に初めて3,000人を突破。統計を取り始めた2002年の2倍以上に増加しています。
今後高齢化が進めば、その数はますます増加することでしょう。
賃貸物件における孤独死の影響
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もし、自分が所有するマンションやアパートで孤独死が起きたら… そう考えると、私も含めて不動産オーナーの皆さんは、ゾッとすることでしょう。
孤独死が起きた場合、発見までの期間が長くなるほど、部屋の損傷や近隣住民への影響は大きくなります。
死亡した入居者に身寄りがない場合などでも、遺体は自治体の費用で荼毘に付してもらえます。
ところが、遺品整理や清掃といった原状回復に要する費用は、大家が負担を求められることも珍しくはありません。
また、孤独死のあった部屋は「事故物件」として扱われるため、大幅に家賃を下げない限り、次の入居者がなかなか決まらないことも。
孤独死保険の補償内容
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最近は、賃貸住宅における入居者の孤独死や自殺など、大家が負うリスクをカバーしてくれる保険が少しずつ増えてきています。
その一つが「孤独死保険」です。
例えば、アイアル少額短期保険株式会社が提供する「無縁社会のお守り」という保険は、被保険者が所有または管理する賃貸住宅で、自殺や孤独死などの事故が発生した場合、次のような補償を受けることができます。
1. 原状回復費用
遺品整理費用、清掃消臭費用、事故によって破損・汚損が生じた箇所の補修費用を、1事故に付き最大100万円まで補償。
2. 事故後の家賃損失
空室期間や事故に起因する家賃の値引き分を、最長12か月間、1事故に付き最大200万円まで補償。
3. 事故見舞金
事故が発生したものの、破損や汚損等がないために被保険者の費用負担が生じず、1に該当する保険金の支払いを受けられない場合、5万円の見舞金を支給。
原状回復費用だけでなく空室期間の家賃補填まであるのは、大家にとってはありがたい内容です。
実際、私が所有する物件にも、65歳以上の高齢者が何人かいらっしゃいます。
実は万が一のときに備えて、孤独死保険への加入を検討し始めたところでした。そのような経緯もあって、孤独死保険を皆さんにも紹介させていただきました。(執筆者:内田 陽一)