特別養護老人ホームなど、一部の施設をのぞいては、入居する際や月額費用は高額なイメージがあります。
でも実は、自宅で介護を行う場合にも、思わぬ経済的な負担がかかることがあります。
では、在宅介護での経済的な負担とはいったいどのようなものがあるのでしょうか?
自宅での介護にかかる思わぬ負担についてご説明します。
目次
1. 状態の悪化による介護サービス費の増大
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介護を必要とする本人が自分でやれることがあるうちは、たとえ家族の介護が必要であったとしても、利用する介護サービスの量はそれほど多くないのでご家族の負担も少ないでしょう。
ですが、その状態はいつまでも続くとは限りません。
認知症の方が初期症状の頃は少しサポートすれば、日常生活もスムーズにできていても、症状が進行して徘徊してしまうようになることがあります。
例えば、初期の頃は、認知症の進行を予防する目的で週に2回程しかデイサービスを利用していなかったとします。
ところが、徘徊に対応する家族が就労などでいない場合、デイサービスやショートステイの回数を増やさざるを得なくなり、介護サービスにかかる費用が増大します。
2. 独居や高齢者世帯では自宅の維持にかかるお金も考慮
同居する家族がいる場合、その家族が自宅の維持管理を行います。それについては、それほど問題は多く発生しないでしょう。
世代交代の時期がきたというだけのことであって、いずれはその時がくるのは事前にわかっていたことだからです。
ですが、これが独居の方や高齢者世帯となると違ってきます。
高齢になってくると、自分のことで精一杯になりがちです。
そうなると、自分たちが生活する場所の掃除で精一杯か、それすらも難しくなります。
ホームヘルパーさんたちにできること、できないこと
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介護を必要とする方が使う空間については、ホームヘルパーさんをお願いして掃除してもらうことができますが、それ以外の部屋は頼めません。
また、庭の草抜きなどもホームヘルパーさんにはお願いできません。
家族が遠くに住んでいるなどで自宅の管理をサポートできない場合、お金を支払ってサポートしてくれるサービスを探す必要があります。
3. 介護離職など介護をする側の収入の減少
家族に介護が必要になった際、仕事と介護の両立が難しく仕事を辞めざるを得なくなることがあります。
介護をしながらできる仕事探して再就職しても、フルタイムでは働けなかったり、役職がつかないなどの理由で、それまでと同等の収入が得られなくなったりします。
そうなると、介護を行う家族自身の生活にかかる費用についても、大きな問題となります。
貯蓄などでなんとか切り抜けても、自分が介護を受ける頃にはその費用がないなんてこともあります。
予想外の出費への対処
家族に介護が必要になると、予想外に経済的な負担が増えてしまうことがあります。それら全てを予測して、準備しておくのは難しいかもしれません。
ですが、対策法が全くないわけでもありません。
1. ケアマネジャーに確認
介護サービスを増やさなければならないと感じた時に、少しでも安く済むサービスの形がないかをケアマネジャーに確認しましょう。
2. 自治体などの活用
自宅の庭の草抜きなどをお願いしたい場合、シルバー人材センターにお願いするのもいいでしょう。
費用は庭の広さや行う作業の内容や自治体によって変わりますが、一般の業者さんにお願いするよりは安く済むことがほとんどです。
3. すぐには離職しない
介護離職に関しては、介護休暇・介護休業といったシステムを活用して回避できるように工夫しましょう。
まとめ
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介護生活は終わりがいつなのか予測ができず、今後どのような状態になっていくのかもわからいものです。
ご自宅で介護をされているご家族の方々はみな、介護費用の不安を抱えて介護と向き合っています。
そんな中で発生する予期せぬ事態への対処は大変です。
今後訪れるかもしれない事態に備えて、役立つ制度やシステムについて調べておきましょう。
日々介護に疲れていらっしゃるかと思いますが、新しい情報は気持ちを軽くしてくれたり、気持ちに余裕を持たせてくれることがあります。(執筆者:佐々木 政子)