先日、あるTV番組で、日本NO.1のドラッグストアの番組があり、濃厚なアイスクリームを販売している内容が紹介された。
「より良い品質を提供すれば、商品は売れる」というロジックである。
小売店の差別化戦略として、処方箋、プライベートブランド開発等はごく自然の流れである。
ただ、小売店に対してメーカーの立場から、若干違和感を覚えてしまった。
それは、ブランド価値がないがしろにされているからである。
そこで、神戸の有馬温泉の題材に、マーケティングの視点から観光客を増やす仕掛けを紹介したい。
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目次
日本に来る外国人観光客を増やす仕掛け
日本は1990年から、GDPが日本円ベースで全く成長していない。
失われた30年になろうとしている。
その間に少しでも安いものを提供することで経済成長させようとしていた。
しかし、これはこの約30年の経過を見れば明らかである。
単に商品が良いとか、安いから売れる時代は過ぎ去っている。
今後は商品、サービスの意味を伝えることが求められる。
それが差別化戦略であり、継続して成長するヒントとなる。
有馬温泉のコマーシャルパネル
先日地元である神戸の有馬温泉に行った際に、それを体現している壁に掛けたコマーシャルパネルがあった。
写真と共にメッセージを紹介する。

清少納言、豊臣秀吉、福沢諭吉
神話時代から数えきれない偉人達に愛されてきた有馬の湯
いにしえから育まれた風情と人情の味わい
自慢の金泉、銀泉で身も心もごゆるりと
ブランドマーケティング観点から、非常に重要なメッセージがあることがわかる。
ブランドの3つの価値体系
ブランドの分野での権威であるDアーカー氏は、ブランドの3つの価値体系を規定している。
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これを整理していくと、下記の通り
金泉、銀泉(=肩こり、神経痛、リウマチ等に有効)心温まるおもてなし
情緒的便益:
快適、リラックス
自己実現価値:
偉人たちに愛されてきた温泉(素晴らしい温泉という価値)
そして
清少納言、豊臣秀吉、福沢諭吉
神話時代から数えきれない偉人達に愛されてきた有馬の湯
新神戸駅の地下鉄の駅の中の壁に掲載されていた宣伝パネル
である。
単なる金泉、銀泉であれば、温泉でも体現できる。(アルカリ温泉)
ただし、偉人達に愛されてきた有馬の温泉というメッセージが入ることによって、全く付加価値が変わってくる。
もちろん、このメッセージはもう少し付け加えないと、理解できない側面があったりする。
(豊臣秀吉が、ケガを温泉で癒していたなどの歴史的な記載)
そういう独自性、温泉に入る意味を込めてメッセージが加わると、人間の心理としてぜひ入ってみたいという意欲にかられる。
利用したいという意欲があれば、加わった付加価値で、ある程度の対価を払ってでも利用する可能性が高くなる。
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あとは、メッセージの対象者をもっと絞り込むと、もっといいかもしれません。
個人的には、アジアからの観光客に対しては非常に有効的である。
清少納言であれば、奈良時代の時代背景、豊臣秀吉であれば、戦国時代。
日本の歴史に興味を持っているためである。
あとは宣伝方法の工夫があれば、もっと良くなるでしょう。
例えば中国人がよく使う「We Chat」や、東南アジアの人達が依然として使う「PCのHP」。
マーケティング活動を一貫して構築し、サービスの体系を作り、ターゲットに刺さるメッセージを作成していけば、有馬温泉も繁盛すること間違いないでしょう。
(神戸牛、明石焼き等食文化の紹介も必要)
特に日本に観光に来る中国人は、日本人よりもブランドに対する価値に対価を払う傾向がある。
それは、ブランドの名前の由来(ブランドとは牛の焼き印)の通り、日本の中国人に対して蓄積された信用、安全などである。
そのブランドと有馬温泉の歴史をつなげると、有馬温泉はきっと魅力的に映るに違いない。
まとめ
現在、大阪が中心に関西空港の整備、及び阪急、地下鉄整備による関西の経済圏が活性化している。
京都や奈良にはない、神戸の有馬温泉の独自性を訴えていけば、関西圏ももっと活性化するのは間違いない。
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地元でもある神戸の有馬温泉を題材に記載したのですが、商売のネタは、こういう独自性の価値追及によるマーケティング活動が付加価値を加えるキーになりそうです。
基本的な便益の競争から、早く脱却することが求められる。
(「海鮮がおいしい」、「日本酒が飲める」は日本全国どこでもできる。)
「豊臣秀吉がけがをいやした温泉」が有馬温泉だということは、熱海温泉、草津温泉には模倣できない。)
商品、サービスがあるから自然と観光客が増えるのではなく、マーケティングによる仕掛けで観光客を増やして、観光客の満足度を増やせることを期待します。(執筆者:廣田 廣達)