少子高齢化の影響により、親の介護と子育ての両方が降りかかる「ダブルケア」の状態に直面している人が増えてきています。
しかし、ダブルケアという言葉を初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ダブルケアの現状と対策について解説します。
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目次
ダブルケアを取り巻く現状とは
育児と介護の両方を同時期に行う状況である「ダブルケア」に直面している人は、どれくらいいるのでしょうか。
平成28年に内閣府が行った調査によると、ダブルケアを行う人は約25万人と推測されています。
このうち、女性が17万人、男性が8万人と女性の方が倍近く多くなっています。
これは「子育てや介護の担い手は女性」という旧来の考え方がいまだに根強く、女性が当事者にならざるを得ない現状を示していると言えるでしょう。
ダブルケアに関する問題はまだあります。
現在の日本では、まだダブルケアに特化した施策はありません。
介護と育児の両方を相談できる場所はまだ少なく、ダブルケアを行っている人の精神的負担が非常に大きくなっています。
そのため、民間レベルでは少しずつですが、ダブルケア当事者を支援する取組みが始まっています。
ダブルケアでは介護費と子供の教育費の両方のお金がのしかかる
ダブルケアにおいて最も気になる問題の1つに、介護や育児の費用があります。
介護費用は親に十分な年金や預貯金があれば、子供が費用を負担する必要はないでしょう。
しかし、在宅介護でも要介護5であれば年間100万円以上がかかると言われており、親のお金だけでは不足する可能性もあります。
ダブルケアでは、この介護費用に子供の教育費も必要です。
子供一人を大学まで全て国公立に通わせたとしても、その費用は約1,000万円かかるといわれており、家庭の経済状況によっては進学をあきらめざるを得ない可能性もあるでしょう。
このように、ダブルケアでは精神的負担だけでなく金銭的負担も大きいことがわかります。
今からダブルケアに備えよう

今後ダブルケアを行う可能性がある場合、事前に準備できることはあるでしょうか。
まず大切なのは、両親や兄弟姉妹などとダブルケアが起こった場合の負担や分担について事前に話し合っておくことが大切です。
事前に誰が何を負担するのかを決めておくと、実際にダブルケアが始まった時に、家族で揉めることなくスムーズなケアを行うことができます。
また、子育てや介護に関する経済的な準備も早めに始めた方が良いでしょう。
小さな金額でも長い期間をかけることで、いざというときに必要なお金を準備することが可能となります。
さらに、子育てや介護の支援制度についても先に知っておけば、必要な時にすぐに手続きをすることができます。
いつ自分がダブルケアに直面するかは誰にもわかりません。
ですから、今のうちからダブルケアに備え、将来の負担が少しでも減らせるようにしておきましょう。(執筆者:中村 楓)