バブル崩壊以降、あまりにも長く超低金利時代が続いている日本ですが、海外の金利もそうなのでしょうか?
実は、日本がずっと低金利に喘いでいるこの20年の間、先進国の金利情勢は上がったり下がったり、結構動いています。
特にアメリカは景気情勢に対して敏感に金利政策を変えていく国で、最近の政策金利は2%弱と、比較的良い水準で推移しています。
この時代、日本に住んでいるからと言って「日本円」だけに拘らず、海外通貨(外貨)にも目を向けてみてはどうでしょうか?
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目次
基本は基軸通貨である米ドル
外貨で運用する上で、まず考えていただきたいのは米ドル(USD)です。
米ドルは世界の「基軸通貨」であり、貿易等の決済に使われるため、とにかく流通量が多い。
流通量が多いということは、一定の需給があり、流通量の少ない通貨よりも変動しにくいという特徴があります。
また、「その通貨に対しての信用度 = 発行している国の信用度」ですので、新興国等の流通量が少ない通貨に比べて、米ドルという通貨がなくなるリスクが圧倒的に低いのです。
つまり、「ゼロになるリスクがほぼゼロ」と言っていいでしょう。
最近の米ドル金利と為替
日本の低金利はそもそもバブル崩壊から始まり、デフレの進行やITバブル崩壊等で経済政策を平常に戻すことができず、ズルズルと続いている、というのが現状です。
日本以外の先進国においては、ちょうど10年前のリーマン・ショックが経済政策の1つの大きな転換点となり、2008年後半から米国やEUはゼロ金利・マイナス金利政策をとってきました。
その後、米国では雇用・消費等の数値が回復し、2015年からゼロ金利政策を解除、段階的な金利引き上げ局面に入っています。
リーマン・ショック直後、米ドル/円の為替相場は1ドル = 80円台が長らく続きましたが、金利引き上げ局面に入って以降、円安ドル高が進行しています。
2018年はおおよそ1ドル = 110円前後での推移となっています。
なぜ30円も円安ドル高が進行したのでしょう?
答えは単純。
だって、金利の高い通貨と金利の低い通貨、どちらを持ちたいですか?
→「金利の高い通貨」ですよね? 実際には他にもさまざまな条件が加わって相場が形成されていきますが、同リスクであれば金利は高いほうが良いに決まっています。
または、リスクが高くても、それに見合った高い金利が得られるならそちらが良い、ということになります。
日本円と米ドルの2通貨のみの関係で言えば、ゼロ金利同士だった通貨の一方の金利が上がったので、円を売ってドルを買う人が増加し、円安ドル高が進行した、ということです。
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今、米ドルは高い…?
1ドル110円という水準をどう感じるかは人それぞれではありますが、一時より円安に進んだ今であっても、米ドルは持っておくべきだと思います。
なぜなら、日本にいても、海外のモノを買う生活をしているからです。
日本の食料自給率は40%以下。
日本人の胃袋は半分以上を海外のモノで満たされているということになります。
つまり、海外の値段で計算されたものが入ってきているのです。
為替相場が円安に進むことで、輸入品の物価は上がります。
円しかもっていない人は、より高い金額を出してその商品を買うしかありません。
でも、ドルを持っておけば、そのドルも一緒に上がりますから、輸入物価を資産価値が連動し、結果的に資産価値を守ることにつながるのです。
円しか持たないのもリスク
為替リスクについて正しく理解し、外貨がどういうものなのか、よく知ることが大切です。
私自身、日本国内は生産人口が減少し、国の財務が改善されない以上、円を売る動きはいずれ出てくると考えています。
つまり、円しか持たないことのほうが、ドルを持つことに対するリスクよりも高いのではないか、ということです。
今の日本を見れば、ある程度外貨を持たなければいけないと思います。
自分にあった方法で、外貨での運用方法を検討してみてください。(執筆者:鈴木 みゆき)