そんな経験はありませんか?
そんな共済保険のメリット、デメリットについて考えてみましょう。
目次
共済保険とは?
共済保険とはそもそもなんでしょうか?
保険会社が扱っている保険とはどこが違うのでしょうか?
まず第一に営利目的ではない、という点がポイント。
その成り立ちは、仲間内での助け合いから。皆で少しづつお金を出し合って、困った仲間やその家族を助けるという、相互扶助の考え方が源になっています。
そのため、次のような特色が備わっています。
・加入するには、その団体の組合員である必要がある。
・余剰金がでると、割戻金として保険料を一部が変換される。
保険料が安いうえに割戻金の返還を受ければ、実質の保険料は、民間の保険に比べたら本当に安いです。
共済保険の種類は?
共済保険を取り扱うのは、主に次のような団体です。
2. 県民共済や都民共済など、各都道府県の共済
3. JA共済
4. CO-OP共済など
いずれも共済事業の認可を受けている団体で、目的は組合員の助け合いによる保障制度の運営です。
運営にかかる出資金は、組合員は負担することになっているので、保障を受けるには組合員になる必要があるわけです。
しかし、その出資金は高額ではなく、退会するときには返還されるので、特に問題にはなりません。
共済保険の保障内容は?
では、保障内容を具体的に見ていきましょう。
全般的に言えることは、一つの契約で、死亡保障、医療保障を兼ね備えることが出来る体系になっているところです。
と言いたいところなのですが、実際のところ、どうでしょうか?
いずれも、35歳男性でのシミュレーションです。
1. 全労済 「総合保障大型タイプ」

・入院 1万円(病気のときは6,000円)
・通院 3,000円(病気は対象外)
・身体障害時 1,350万円
※60、65、70、80歳時に「移行タイプ」契約更新可能。85歳契約満了。
※保険料 5,400円(60歳以降80歳まで。80歳以降は1,800円)
まずネックになるのが、死亡保障
ですね。
病気のときには1,200万円というのは、いかにも不安です。
医療保障は入院、通院のみ。
手術給付金や、先進医療を受けたときの備えはありません。
また、60歳以降は「移行タイプ」に契約更新できますが、保障内容は順次大幅に逓減されていきます。「総合60歳以降タイプ」だと、死亡保障は交通事故のとき300万円、病気のとき100万円、入院日額は8千円(病気は4,500円。70歳以降は保障がなくなる)
いずれも、民間の保険で一般的に用意されている内容からは、大きく見劣りがします。
2. 都民共済 「総合保障型 月掛金4,000円」

・入院 1万円(病気のときは9,000円)
・通院 3,000円(ケガでも病気でも同額)
※保険料 4,000円(60歳まで、変更なし)
死亡保障は全労災よりさらに少なくなってしまいます。
その代わり、入院、通院は病気のときとケガのときの差が少ないところが勝っていますね。
しかし、全労災同様に手術や先進医療への備えには、別途の保障への加入が必要になります。
全労災、都道府県民共済はこのように死亡保障を要因によって差別化していること、死亡保障と入院、通院の医療保障を一体化しているところが特徴的です。
では、それとは異なる特徴を持つJA共済とCO-OP共済を検証してみましょう。
同じく、35歳男性の場合です。
3. JA共済 「終身共済」

(60歳まで。60歳以降は80歳まで900万円)
・死亡保障(掛け捨て) 年金で120万円
(死亡時から60歳まで支払われる)
・死亡保障(解約返戻金あり) 一時金で200万円
(死亡時に必ず受け取ることが出来る)
※保険料 15,307円
(60歳迄。60歳~80歳:死亡保障(掛け捨て)900万円分の継続が可能。保険料の支払いが必要)
JA共済は
一生涯保障が続く、終身の死亡保障が掛け捨ての保障にセットされている点が、前述の2団体とは異なります。
60歳までは掛け捨ての大型保障、それ以降は200万円の終身保障が残ります。
いわゆる、お葬式代の準備ができるわけです。
万が一があったときから60歳まで(存命であった場合のことです)、年金120万円が支払われるので、受け取る保険金の総額は、お亡くなりになる時期によってケースバイケースですが、例えば35歳で加入して、45歳時に万が一があったとすると、60歳までの15年間支払われるので、年金総額は1,800万円。
全てを合算すると、3,300万円。
ケガでも病気でも同額です。
死亡保障は手厚い分、保険料がぐっと上がっていますね。
そして、この「終身共済」には、医療保障は全く含まれていません。そのため、医療保障については別途「医療共済」が用意されています。
このように別契約になっている方が、中途半端にオールインワンになっているより結局は合理的と言えます。
自分が必要と考える保障だけを選ぶことが出来るからです。
以上のようにJA共済は、共済各社の中では契約内容を細かく設定できます。
民間の保険会社ほど多様な商品はありませんが、プランの自由度は高いと言えそうです。
見かけの保険料は民間より割高ですが、割戻金があるので、詳細についてはJA共済に問い合わせた上で判断する必要があります。
4. CO-OP共済 「あいぷらす」

※保険料 4,800円(10年更新、60歳まで。更新時の年齢で、保険料増額あり)
CO-OP共済は、共済の中では珍しく、必要な保障を選択できます。
一番シンプルな60歳までの死亡保障で比べると、民間の方が安そうです。
例えば、オリックス生命のネット申込専用の「ブリッジ」であれば、3,000万円の10年更新で、4,055円。
ただし、「あいぷらす」には割戻し金が発生します。年度によって異なりますが、2016年度で22%程度。すると保険料はオリックス生命より安くなる可能性がありますね。
一方、オリックス生命であれば、60歳までの更新なしで、保険料の上がらない契約を選ぶことも出来ます。
総支払額でどちらが有利なのかを判断するためには、CO-OP共済に過去の割戻金の変遷を質問して、今後の予測を立て比較する、ということになりますね。
さて、一通り、共済の商品内容を検討してみましたが、まとめてみましょう。
共済のメリット・デメリット
・保険料が安い。
・1本の契約で、死亡保障も医療保障用意できる。
共済のデメリット
・自分の家庭におけるリスクをきちんとカバーできる保障を準備するが難しい。
というところになります。
さて、それではもし私が選ぶとしたら、どこの共済の商品でしょうか?
答えは「すぐにはどこと選べない」ということになってしまいます。
死亡保障として、病気のときとケガのときで大幅に金額が異なるリスクは負いたくないので、全労災、都道府県民共済は選びません。
JA共済、CO-OP共済はケガでも病気でも保障に差がないのは安心ですが、商品の多様性、割戻金を含めた保険料の点で、民間保険とどちらがお得なのか、かなり比較検討が必要だと感じます。
最後に~どんな人が共済向き?
それでは、どんな人が共済に向いているでしょうか。
おそらく、
・残された家族に、ある程度の生活力が見込まれる人。
共済保険は、保険料が安く、保障もシンプルに一つにまとまっていますから、人生におけるリスクを全体的にカバーすることができます。
ただ、その網の目はあまり細かくなく、素材も強度が十分ではありません。
他にカバーする手立てを持っている場合には、非常に使い勝手が良いと言えますが、それだけに頼るのは不安です。
「万が一」時のリスクが高い子育て世代の家庭においては、保険料だけでなく、保障内容を十分に吟味して、必要な期間、必要な保障を用意することが大切です。
民間の保険と共済保険をうまく組み合わせることを検討してみると、より丈夫で細かい目の網を準備できるかもしれません。(執筆者:夏目 翠)